【はじまらない結婚】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【はじまらない結婚】第10話をネタバレありで解説する
友人・住谷からの、あまりにも誠実で衝撃的なプロポーズ。第10話は、その言葉を受けた陽の心の葛藤と、彼女が自分自身の力で答えを見つけ出し、過去と決別するまでを、静かに、しかし力強く描きます。これは、一人の女性が絶望の淵から立ち上がり、自らのアイデンティティを取り戻す、物語の大きな節目となる回です。
優しさの代償、そして誠実な拒絶
住谷の「オレと産みましょう!」という言葉は、陽の心を激しく揺さぶります。彼の優しさは、弱った心にはあまりにも温かく、そしてあまりにも重いものでした。
「嬉しいんですよ」ただ、そばにいたいという想い
自分の提案に涙する陽を見て、住谷は彼女を優しく抱きしめます。「こんな時にしっかりなんてっ いいんですよ!!」「頼ってくれたら それで嬉しいんですよ」 。彼の言葉には、下心や同情ではなく、ただひたすらに陽の力になりたいという、純粋な想いが溢れていました。
「気持ちを無視できない」彼の誠実さゆえの苦悩
寒さに震える陽を、住谷は自分のアパートへと招き入れます。そこで彼は、自分の突飛な提案が「キモかったですかね…」と不安を口にします 。それに対し陽は、涙ながらに「そこまで想ってくれてるなんて嬉しいよ!」と感謝を伝えます 。そして、だからこそ彼の気持ちを軽々しく利用することはできない、と苦しい胸の内を明かすのでした 。
「私が何を信じたいかじゃない?」見出した答え
住谷との対話は、陽に自分自身を見つめ直すきっかけを与えます。彼の言葉は、陽が忘れかけていた、自分自身の「核」となる部分を思い出させてくれました。
「愛情深いのは陽さんです」住谷が気づかせた陽の本質
「私今 自分とお腹の子のことしか考えられてない」と自己嫌悪に陥る陽に対し、住谷はきっぱりと反論します。「自分のことばっかり考えてるなら そんなに人のこと見れますかね?」。そして、彼は陽の本質を突くのです。「愛情深いのは陽さんです」「大好きです」 。この言葉は、陽に自分自身の価値を再認識させる、重要なきっかけとなりました。
太陽のように、真っすぐに
住谷と別れ、一人になった陽は、これまでの出来事と自分の心を整理します。そして、彼女は一つの結論に達します。彼女が自分の「陽」という名前を好きなのは、「太陽みたいに真っすぐ光っていたいから」 。たとえ誰かに恨まれようとも、その生き方を誰かは好いてくれる。だから、他人の評価ではなく、
「なら私が何を信じたいかじゃない?」 という、自分自身の信念に従うことを決意するのです。
過去との決別、そして孤独な再出発
自分自身の生き方を見出した陽は、すぐに行動に移します。それは、彼女を縛り付けていた過去の人間関係を、自らの手で断ち切るという、あまりにも潔い決別でした。
「私とはちがうところで輝いてね」星への決別
陽は、全ての元凶である星のSNSアカウントを開きます。そして、何の躊躇もなく「ブロックします」を選択しました 。それは、憎しみの連鎖を断ち切るための、静かで力強い決別宣言でした。「いい人でいたいわけじゃない」「私とはちがうところで輝いてね」 。このモノローグには、相手を許すのではなく、自分の人生から完全に切り離すという、彼女の強い意志が込められています。
【はじまらない結婚】話あらすじから結末まで全てネタバレ解説「ブロック」夫との関係にも終止符
星との縁を断ち切った陽は、誰もいないアパートに帰宅します。そして、彼女はスマートフォンの連絡先から「坂戸木」の名前を探し出し、同じように「ブロック」するのでした 。夫との関係にも、自らの手で終止符を打ったのです。一人きりになった部屋で、母子健康手帳を手に、彼女は「どうしよっか」と、未来に向かって静かに問いかけるのでした 。
まとめ【はじまらない結婚】10話を読んだ感想
第10話は、これまでの物語の中でも特に、陽の内面的な成長が際立つ素晴らしい回でした。住谷くんの存在が、単なる「当て馬」や「救世主」ではなく、陽が自分自身の強さや愛情深さを再認識するための、重要な鏡の役割を果たしていたことに感動しました。
そして、陽がたどり着いた「私が何を信じたいか」という答えは、この物語のテーマを象徴する、非常に力強いメッセージだと思います。他人の評価や行動に振り回されるのではなく、自分の信念を貫くことの尊さ。彼女が自分の名前「陽」の意味を問い直し、アイデンティティを取り戻していく過程は、読んでいて胸が熱くなりました。
最後の、星と木を立て続けにブロックするシーンは、あまりに鮮やかで、一種のカタルシスさえ感じました。それは、誰かに依存するのではなく、たった一人で立つことを選んだ、彼女の孤独で、しかし希望に満ちた再出発の瞬間です。はじまらなかった結婚に、本当の意味でピリオドを打ち、これから始まる「陽自身の物語」に、大きな期待を抱かせる、見事な結末でした。
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