【はじまらない結婚】2話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【はじまらない結婚】第2話をネタバレありで解説する

第1話のラスト、愛する人に裏切られた絶望から「幸せな子なんていないよ」と叫んだ陽。第2話は、その言葉を受けた木が涙ながらに「でも絶対にそんなことない」「絶対に幸せにするから 産んでください」と陽にすがりつく、緊迫した場面から幕を開けます 。壊れてしまった信頼関係を前に、必死に未来を繋ぎ止めようとする木と、心を閉ざした陽。二人の痛々しいやり取りが、読者の胸を締め付けます。

懇願と拒絶、すれ違う二人の心

物語の冒頭で描かれるのは、あまりにも対照的な二人の姿です。一方は必死に許しを乞い、もう一方はそれを冷たく突き放します。その間にかつての幸せな記憶が挟み込まれることで、現在の悲劇性がより一層際立ちます。

「絶対に幸せにするから産んでください」

前述の通り、物語は木の必死の懇願から始まります 。涙を流し、これからの償いを誓う彼の姿は、一見すると深く反省しているように見えます。しかし、結婚式当日に、しかも妻の友人と過ちを犯した直後の言葉が、陽の心に響くはずもありません。彼の言葉は、お腹の子どもと陽への愛情からくる本心なのか、それとも、失いかけている全てを取り繕うための自己満足なのか。陽だけでなく、読者も彼の真意を測りかねる、そんな幕開けです。

思い出される幸せだった入籍日

現在の冷え切った空気とは裏腹に、回想シーンで描かれるのは温かな光に満ちた入籍日の一コマです 。木は「今日から『日向』じゃなくて 坂戸陽になっちゃうのかぁ」と、少し照れくさそうに、そして嬉しそうに呟きます 。「これからよろしくね」という言葉と共に、陽を優しく抱きしめる姿は、確かに彼女を愛していた過去を物語っています 。この幸せな記憶があるからこそ、陽の傷は深く、裏切りの事実はあまりにも重くのしかかるのです。

言い訳が招くさらなる亀裂

退院し、二人の部屋に戻った陽を待っていたのは、木の反省の言葉でした。しかし、その言葉は陽の心を癒すどころか、さらなる怒りと軽蔑を呼び起こす結果となってしまいます。

「ほぐれすぎでしょ!!」

木は自らの過ちを「緊張して お酒少し飲んだらほぐれるかと思って」と弁明します 。人生の晴れ舞台を前にした緊張は理解できなくもありません。しかし、陽は怒りを爆発させます。

「それでほぐれて浮気!?」「ほぐれすぎでしょ!!」

当然の怒りです。彼の言い分は、あまりにも自己中心的で想像力に欠けていました。自分の感情を優先した結果、最も大切な人をどれほど傷つけたのか、全く理解できていないことが露呈してしまいます。この言葉が、二人の心の溝をさらに決定的に広げました。

「何も思ってない相手とするんだ?」

木の言い訳はさらに続きます。浮気相手の星について「星ちゃんのことは何も」と、感情のない、その場限りの過ちだったと主張するのです 。これは陽を安心させるための言葉だったのかもしれませんが、結果は真逆でした。陽は、凍てつくような声でこう言い放ちます。

「『何も思ってない相手とするんだ?』」「キモい…」

愛情がない相手とでも体を重ねられるという事実は、陽にとって裏切りそのもの以上に、木という人間への生理的な嫌悪感と軽蔑を抱かせるのに十分でした。この一言で、二人の関係修復が絶望的に困難であることが示されます。

決別と、断ち切れない想い

もはや言葉は通じないと悟った陽は、ついに自ら関係を断ち切るための行動に出ます。しかし、彼女の心の中には、まだ断ち切れない想いが渦巻いていました。

「それか今すぐに離婚届を書いて!」

陽は木に対して「それか今すぐに離婚届を書いて!」と決別を突きつけます 。木が「別れたくない」と拒否すると 、今度は「私が帰る」と言い放ち、荷物をまとめて家を出て行こうとします 。彼女の毅然とした態度は、この地獄のような状況から一刻も早く抜け出したいという、悲痛な心の叫びそのものです。

「私も別れられない」

木に引き留められながらも、最後は彼を蹴り飛ばして家を飛び出した陽 。これで全てが終わったかのように見えました。しかし、物語の最後に明かされるのは、彼女の心の中に残る、驚くべき本音でした。

「私も別れられない」「木のことが特別だって 思ってきたから」

怒りと憎しみで木を拒絶しながらも、心の奥底では、これまで積み重ねてきた愛情や時間を完全に捨て去ることができずにいる。この矛盾した感情こそが、陽の苦しみの本質です。あまりにも人間的でリアルなこの葛藤が、物語に深い奥行きを与え、読者を強く引き込むのです。

まとめ【はじまらない結婚】2話を読んだ感想

第1話の衝撃が冷めやらぬ中、第2話は二人の感情のぶつかり合いがより生々しく、リアルに描かれていて、終始息をのむような展開でした。読んでいて最も苛立ちを覚えたのは、やはり木の自己中心的な言い訳の数々です。火に油を注ぐとはまさにこのことで、彼の言葉一つ一つが、陽だけでなく読者の心をも逆撫でします。

しかし、この物語が巧みだと感じるのは、単に「裏切った夫=悪」で終わらせないところです。物語の最後に明かされる陽の「私も別れられない」というモノローグには、胸を強く突かれました 。あれほどまでに傷つけられ、尊厳を踏みにじられても、愛した記憶や情はそう簡単には消せない。この、白黒つけられない人間の心の複雑さを見事に描き出していると感じます。

裏切られた怒りと、それでも捨てきれない愛情。この二つの感情の板挟みになった陽は、これからどのような選択をしていくのでしょうか。そして、今のところ最低な夫でしかない木に、更生の余地はあるのでしょうか。あまりにもリアルな人間関係の難しさと痛みを見せつけられ、この「はじまらない結婚」がどこへ向かうのか、ますます目が離せなくなりました。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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