【はじまらない結婚】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【はじまらない結婚】第5話をネタバレありで解説する
結婚式が破綻し、冷え切った関係が続く陽と木。しかし、木が毎日続けるささやかな行動が、陽の心に大きな変化をもたらします。第5話は、陽が「本当の愛とは何か」を自問自答し、過去の経験から一つの答えを見つけ出し、自らの足で再び立ち上がるまでを描く、内面の成長が光る重要な回です。
絶望の中に見つけた「家族愛」という光
夫への不信感と怒りでいっぱいだった陽の心。しかし、日常の中に当たり前に存在する木の優しさが、彼女の凝り固まった心を少しずつ溶かし始めます。
h4 チーズ抜きのオムレツ
朝、陽が目を覚ますと、テーブルには木が用意した朝食が置かれていました。そして、そこには「オムレツ チーズ抜いてあります」という短いメモが添えられています 。自分の嫌いなものをきちんと覚えていてくれる、木の変わらない気遣い。陽は「こんな時ばっかり」「点数かせぎだと 思っちゃうよ」と、素直に受け取れない自分に苛立ちを感じます 。
h5 恋愛を超えた、当たり前の日常にある愛
それでも、陽は木の行動の中に、単なる罪滅ぼしではない温かい何かを感じ取ります。「こんな時でもご飯を作ってくれるなんて」「愛だとも思ってしまう」 。彼女は、この感情が、ときめきを伴う「恋愛」とは少し違う、「家族愛」に近いものではないかと考え始めます 。親がどんなに子供を叱った後でも、当たり前に食事の支度をし、お風呂に入れるように 。木は、陽の健康や日常を、ごく自然なこととして気遣い、支えてくれていたのです 。
「切れない関係」こそが愛だと気づくまで
「家族愛」というキーワードは、陽に自身の過去を思い出させます。それは、彼女が「本当の愛」の形を学んだ、忘れられない出来事でした。
母が教えてくれた無償の愛
陽は、中学生の頃に出来心で万引きをしてしまった過去を回想します 。店員に問い詰められ、恐怖で震えているところに駆けつけた母は、陽を一切責めることなく、ただ一緒に頭を下げてくれました 。その夜も、母はいつもと変わらず陽をお風呂に入れ、温かい布団で寝かせてくれたのです 。罰を与えるのではなく、ただ寄り添い、受け入れてくれた母の姿に、陽は涙ながらに感謝と謝罪を伝えます 。
「私は愛を手に入れる!!!」涙の決意
この母親との経験から、陽は「失敗しても受け止めてそばにいるような」「『切れない関係』が『愛』なんだ」と学びました 。そして、現在の自分と木の関係に思いを巡らせます。「木のしたこと許せないけど」「ずっとずっと怒っていても縁を切っても愛は手に入らない」 。そう葛藤した末に、彼女は一つの答えにたどり着きます。「なら私も木を一度受け止められないかな」 。
そして、彼女は涙ながらに叫びます。
「私は愛を手に入れる!!!」 。これは、ただ木を許すということではありません。自らの手で、困難を乗り越え、本当の愛を築き上げていくという、力強い決意表明でした。
決意の先に見える、新たな嵐の予兆
自分の中で答えを見つけた陽の行動は、迅速でした。しかし、彼女が決意を固めた一方で、物語は全ての元凶である星との出会いを描き始め、新たな嵐を予感させます。
「昨日のは断るね」住谷くんへの返事
決意を固めた翌朝、陽は告白してくれていた友人・住谷くんに対し、「昨日のは断るね」「私もうちょっとがんばってみる!」と、きっぱりと、しかし晴れやかな表情で告げます 。彼の存在は、陽が自分自身の心と向き合うための、重要なきっかけとなったのです。
全ての発端、SNSでの再会
場面は、星との再会の回想シーンに移ります。陽がSNSに投稿した収納術がバズったことをきっかけに、星からDMが届いたのが始まりでした 。久しぶりに会った星は、大学でミスコンに選ばれた話をするなど、昔とは少し違う雰囲気をまとっていましたが、陽は純粋に再会を喜んでいました 。
巧妙に仕組まれた罠の序章
会話が弾む中、星は「今度私の彼氏と4人で会おうよー!!」とダブルデートを提案します 。しかし後日、陽と木の家にやってきた星はなぜか一人。「突然『昨日別れた』とか言って」と、さも彼氏にドタキャンされたかのように振る舞います 。そして、木の隣にぴったりと寄り添い、「陽がうらやましいよ」「陽も嫉妬とかするんだねー」と、無邪気さを装いながら、陽の心を巧みに揺さぶるのでした 。この一連の行動こそが、結婚式当日の悲劇へと繋がる、巧妙に仕組まれた罠の始まりだったのです。
まとめ【はじまらない結婚】5話を読んだ感想
前回までの、息詰まるような展開から一転、第5話は陽の内面が深く掘り下げられ、彼女が再び立ち上がるまでを描く、非常に感動的な回でした。木の不器用な優しさと、母親との温かい思い出を通して、陽が「本当の愛とは何か」という普遍的なテーマに自分なりの答えを見つけ出す過程に、胸が熱くなりました。
特に「失敗しても受け止めてそばにいる」「切れない関係」こそが愛なのだという気づきは、この物語の核心に触れる重要なメッセージだと感じます。恋愛のドキドキ感だけでなく、困難な時にこそ試される、深く、揺るぎない絆。それこそが、陽が「手に入れる」と決意した愛なのでしょう。住谷くんにきっぱりと別れを告げた彼女の姿は、とても清々しく、心から応援したくなりました。
しかし、物語は安易なハッピーエンドを許してくれません。後半で描かれた、星との再会エピソードは、背筋が凍るほどの不気味さに満ちていました。無邪気な笑顔の裏で、着々と罠を仕掛けていく星の姿は、まさにサイコパス。ようやく前を向き始めた陽に、どれほど恐ろしい試練が待ち受けているのか。希望と不穏さが同居する巧みな構成に、ますます物語から目が離せなくなりました。
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