【みいちゃんと山田さん】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【みいちゃんと山田さん】第12話をネタバレありで解説する
第12話のタイトルは「中学生みいちゃん」。物語は2002年に進み、小学校をほとんど通わずに卒業したみいちゃんが、中学校という新たな環境に足を踏み入れるところから始まります。淡い期待と、しかし変わらない現実が交差する、彼女の新たな生活が描かれます。
中学校への期待と、最初のつまずき
物語は、小学校の先生たちが、中学校の先生方へ生徒の引き継ぎを行う場面から始まります。そこでは、生徒たちの学力や運動能力、人間関係などを考慮してクラスを振り分ける、現実的な話し合いがなされています。みいちゃんは、学校に行かず街を徘徊し、ゴミを漁るなどの行動から、地域ではすでに「有名人」でした。特殊学級への編入を家族に拒否された過去も語られ、中学校側は彼女を普通学級に受け入れるしかない状況に、頭を抱えています。
一方、当の本人は「中学校はちゃんと行く!」と希望に満ちていました。「いじめる人いないかな」「バカにする人いないかな」と、新しい生活に胸を膨らませます。
しかし、現実は甘くありませんでした。親友のムウちゃんとはクラスが離れ離れになり、教室では授業中に「どんぐりころころ」を歌い出してしまいます。その奇行に、クラスメイトからは「ヤバくね?」「キモ…」と囁かれ、すぐに孤立してしまうのでした。
保健室での出会いと、初めての恋
先生に注意されても歌うのをやめなかったみいちゃんは、職員室、そして保健室へと連れていかれます。そこで彼女は、一人の物静かな男子生徒と出会います。彼こそが、この後の彼女の運命を大きく左右する、佐藤くんでした。
ベッドで寝たがるみいちゃんを見て、彼は黙って自分の使っていたベッドを譲ってくれます。そして、去り際に「お大事に」と、優しい一言をかけてくれるのでした。
「学校の男の子にこんなに優しくされたの みいちゃん 初めて」 このささやかな、しかし彼女にとっては初めての優しさが、みいちゃんの心に淡い恋心を芽生えさせます。
「好き」という感情と、芽生えた友情
佐藤くんのことが気になって仕方ないみいちゃん。そんな彼女の様子に気づいた「皐月ちゃん」という女の子が、友達になろうと声をかけてくれます。「意外と普通だねー!」と言ってくれる彼女や、その友人たちのおかげで、みいちゃんは生まれて初めて学校で友達の輪に入ることができました。
彼女たちは、当時流行していた携帯のプロフィールサイトで佐藤くんの情報を集めます。彼の趣味がピアノであること、得意科目が数学であること、そして好きなタイプが「静かな人」であることを知ったみいちゃんは、「静かになる」と健気な決意を固めるのでした。
佐藤くんともっと一緒にいたい、話したい、触りたい。そして、他の女の子と話しているのを見ると、胸がざわつく。みいちゃんは、生まれて初めて「好き」という感情と、それに伴う「嫉妬」という新しい気持ちを知るのでした。
忍び寄る不穏な影
友人にも恵まれ、淡い恋も経験し、みいちゃんの奇行は少しずつ薄まっていきました。彼女の中学生生活は、ようやく明るい兆しを見せ始めたかのように思えました。
しかし、物語は不穏な気配を漂わせて幕を閉じます。一人の女子生徒が、遠くからみいちゃんを憎しみのこもった目で見つめています。その足元には、原因不明の血が滴り落ちていました。そして、彼女は静かにつぶやくのです。
「消えてほしいなあ みいちゃん」
みいちゃんに訪れた、ささやかな幸せ。そのすぐそばまで、新たな悪意の影が忍び寄っていました。
まとめ【みいちゃんと山田さん】12話を読んだ感想
第12話は、これまでの壮絶な過去とは少し趣が変わり、甘酸っぱい初恋の物語が描かれたことに、まず驚きました。保健室での佐藤くんとの出会いは、まるで少女漫画のワンシーンのようで、読んでいるこちらも思わず胸が高鳴ります。
一人の男の子の優しさが、みいちゃんの世界を大きく変えていく様子は、非常に感動的でした。彼に好かれるために「静かになる」と努力したり、初めて「嫉妬」という感情を知ったりする姿は、どこにでもいる恋する乙女そのものです。彼女が初めて学校に居場所を見つけ、友達と笑い合う場面では、このまま幸せになってほしいと心から願わずにはいられませんでした。
しかし、この作品が、ただの優しい物語ではないことを、最後の1ページが思い出させます。幸せの絶頂で突き落とすかのような、強烈な悪意の登場。血を流しながらみいちゃんを呪う少女の姿は、あまりにも衝撃的でした。
みいちゃんが誰かに受け入れられ、幸せになろうとすればするほど、それを妬み、引きずり下ろそうとする新たな脅威が現れる。この救いのない構図こそが、この物語の根幹なのかもしれません。ようやく見えた一筋の光が、このままかき消されてしまうのか。あまりにも不穏なラストに、息をのむような緊張感を覚えました。
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