【みいちゃんと山田さん】13話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【みいちゃんと山田さん】第13話をネタバレありで解説する
第13話のタイトルは「オンナノコドモ」。これは「オンナ(女)」と「コドモ(子供)」を合わせた造語であり、少女から大人へと移り変わる思春期の、残酷で危うい世界が描かれます。みいちゃんの淡い初恋が、同級生の悪意によって無残に踏みにじられていく、あまりにも痛々しいエピソードです。
恋がもたらした、偽りの平穏
物語は、みいちゃんの三者面談の場面から始まります。以前は奇行が絶えなかったみいちゃんですが、先生は「最近は落ち着いてますね」「クラスメイトとも仲良くやれてる」と、彼女の変化を評価します 。
この平穏は、ひとえに佐藤くんへの恋心が生み出したものでした。授業中に騒いだ時、想い人である佐藤くんの表情が一瞬歪んだことを見逃さなかったみいちゃん 。彼女の動物的な嗅覚は、彼に嫌われたくない一心で、問題行動を自発的に抑え込ませていたのです。
悪意に満ちた「両想いになれる方法」
しかし、みいちゃんの幸せを快く思わない人物がいました。佐藤くんに想いを寄せる、クラスメイトの雪奈ちゃんです 。彼女はみいちゃんに嫉妬し、悪意に満ちた罠を仕掛けます。
雪奈ちゃんは、友達のふりをして「絶対に両想いになれる方法」があると、みいちゃんに近づきます 。その「方法」とは、まだ中学生であるみいちゃんに、薬局でコンドームを手に入れさせるというものでした 。純粋なみいちゃんは、その言葉を信じ切ってしまいます。
この一件を利用し、雪奈ちゃんは「みいちゃんがヤりたすぎてコンドームを万引きした」という卑劣な噂を学校中に広めました 。
裏切りと孤立、そして暴力の肯定
噂は一瞬にして広まり、みいちゃんは再び孤立します。ようやくできた友人たちは手のひらを返し、彼女を「ゴミすぎる」と侮辱し、完全に無視するようになりました 。彼女のノートには「死ね」という落書きと共に、コンドームが貼り付けられるという陰湿ないじめも行われます 。
そして、学校の不良グループが彼女に目をつけます。「本物のみいちゃんじゃん」とからかいながら、彼らはみいちゃんに暴力を振るい始めます 。しかし、ここでみいちゃんは、これまで経験したことのない歪んだコミュニケーションを学びます。不良たちは、暴力を振るった後に「みいちゃんサイコー!!」「愛してるよ!!」と、彼女を「肯定」し、「賞賛」したのです 。
恋の終わりと、絶望的な「解決策」
この暴力と賞賛のセットを、**「両想いになれる方法」**だと完全に誤解してしまったみいちゃん。彼女は、本当に想いを寄せている佐藤くんを視聴覚室に呼び出し、この「方法」を試してしまいます。つまり、彼に自分の体を差し出したのです 。
しかし、佐藤くんは彼女を拒絶します。彼は、みいちゃんの性的な意図を感じさせない純粋なところに惹かれていたのでした 。「もう話しかけないでほしい」という、想い人からの決定的な拒絶。みいちゃんの初恋は、最悪の形で終わりを告げました。
たった一つの純粋な想いを失った彼女は、もはや自分が何をしているのかもわからぬまま、不良たちの元へと戻ります。「またやろ?」と誘う彼らに、彼女は「オッケ~~~~~~~!!!」と、感情のない返事をするのでした 。彼女は、この歪んだ関係性の中にしか、自分の居場所を見つけられなくなってしまったのです。
まとめ【みいちゃんと山田さん】13話を読んだ感想
第13話は、ページをめくるのがこれほどつらいと感じたことはない、と言い切れるほど凄惨なエピソードでした。一人の少女の淡く純粋な初恋が、思春期の残酷な嫉妬といじめによって、いかに無残に破壊されていくかが、これでもかと描かれています。
この話の最も恐ろしい点は、みいちゃんが「暴力」と「肯定」をセットで学んでしまったことです。彼女を殴った不良たちは、その直後に彼女を「サイコー」と褒め称えました。この経験が、彼女の中で「体を差し出せば、暴力を振るわれても、最後には”愛してる”と言ってもらえる」という、絶望的な成功体験としてインプットされてしまったのです。
そして、その歪んだ成功体験を、唯一純粋な好意を抱いていた佐藤くんに試してしまい、決定的に拒絶される。この流れはあまりにも悲劇的で、彼女が救われる道を自ら閉ざしてしまったように見えました。想い人に拒絶された彼女に残されたのは、もはや「誰でもいいから自分を肯定してほしい」という、魂の渇望だけだったのでしょう。
このエピソードは、後の彼女がなぜ体を安売りするようになってしまったのか、その痛ましい原点を描いています。それは性欲などではなく、歪んだ形でしか得られなくなった他者からの承認と、孤独を埋めるための、あまりにも悲しいサバイバル術だったのだと痛感させられました。
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