【みいちゃんと山田さん】17話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【みいちゃんと山田さん】第17話をネタバレありで解説する
第17話のタイトルは「夜に咲く花火のように」。それは、みいちゃんと山田さんの間に咲いた、美しくも儚い友情を象徴しているかのようです。このエピソードでは、二人が最も心を通わせた一夜と、その直後に訪れる突然の別れが描かれます。
初めての浴衣と、花火大会の約束
物語は、夏の閑散期である8月、お店の浴衣イベントから始まります 。生まれて初めて浴衣を着たみいちゃんは、子供のようにはしゃぎ、喜びを爆発させます 。しかしその一方で、締め付けられる衣装に「苦しい」「気持ち悪い」と体調を崩し、「ダメな人間でごめんなさい」と落ち込んでしまうのでした 。
後日、山田さんがその理由を尋ねると、みいちゃんの悩みは「お金が全然ないってこと!!」という、非常に切実なものでした 。
そんな中、過去に浴衣を着せてもらえなかったというみいちゃんの話を聞いた同僚の提案で、二人は一緒に花火大会へ行くことになります 。みいちゃんは「絶対行きたい!浴衣着て行きたい!」と、これ以上ないほどの期待に胸を膨らませるのでした 。
夜空に咲く花と、二人の「幸せ」
花火大会の当日、30分以上も遅刻してきたみいちゃんは、目の下に濃いクマを作っていました 。それでも「すっごい元気だよお!!」と笑う彼女と共に、二人は夜空に咲く大輪の花を眺めます 。
美しい花火を前に、みいちゃんは自身の不安を吐露します。「最近ね 昔のこと思い出したり マオ君とうまくいかなかったり」「みいちゃん 将来幸せになれるかわかんないの…」と 。
その言葉に、山田さんは静かにこう語りかけます。「生きてる途中ならその時点では幸せでも不幸でもどっちでもいいと思う」「死ぬ間際に『まあまあ良い人生だったな』って思えたらいいよね」 。人生は点ではなく線であるという、山田さんの優しい価値観が、みいちゃんの心を少しだけ軽くするのでした。
「漫画家になる」—山田さんの夢
山田さんの言葉に勇気づけられた二人は、来年の今頃に向けた目標を立てることにします 。みいちゃんの目標は「お金をいっぱい稼ぐこと!」という、彼女らしいものでした 。
そして、山田さんは、これまで誰にも言えなかった自身の夢を、初めてみいちゃんに打ち明けます。
「漫画家になるのがずっと夢なの」
彼女にとっての「幸せ」とは、「私が描いたものを誰かに読んでもらって楽しんでもらうこと」 。その告白に、みいちゃんは「すごーい!」「いつかみいちゃんのこと漫画に描いてね!」と、満面の笑みで応えるのでした 。
祭りの後の静寂、そして突然の別れ
花火大会から2日後。山田さんが出勤すると、そこにみいちゃんの姿はありません 。店長に尋ねると、返ってきたのは信じられない言葉でした。
「みいちゃんなら 先週辞めたよ」
みいちゃんは、山田さんと花火大会に行くよりも前に、すでにお店を辞めていたのです 。山田さんは慌てて連絡を取ろうとしますが、メッセージが読まれることはありませんでした 。
夜の世界では、女の子が突然いなくなることは「よくあること」 。しかし、山田さんにとって、みいちゃんの消失は、決して「珍しくもない」出来事ではありませんでした。
まとめ【みいちゃんと山田さん】17話を読んだ感想
第17話は、あまりにも美しく、そしてあまりにも切ないエピソードでした。夜空を彩る花火の下で、二人がそれぞれの「幸せ」の定義や未来の夢を語り合うシーンは、この物語における頂点とも言える、かけがえのない瞬間だったように思います。
特に、山田さんが「漫画家になるのが夢」だと打ち明ける場面には、胸が熱くなりました。他者と距離を置き、どこか冷めた様子だった彼女が、みいちゃんにだけは心を許し、最も柔らかな部分を見せた。それは、二人の間に本物の友情と信頼が芽生えていたことの、何よりの証拠です。
だからこそ、その後の展開はあまりにも残酷でした。みいちゃんが花火大会の前にすでに店を辞めていたという事実。つまり、山田さんと過ごしたあの夜は、彼女が自らの意思で作り出した、最後の「楽しい思い出」だったのかもしれません。そう考えると、あの時の彼女の笑顔や、目の下のクマの意味が、全く違って見えてきます。
夜空に咲いては消える花火のように、二人の時間はあまりにも儚く、美しいものでした。何も言わずに去ってしまったみいちゃん。残された山田さん。祭りの後の静けさが、読者の心にも深く、そして重くのしかかるような、忘れられない一話です。
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