【みいちゃんと山田さん】6話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【みいちゃんと山田さん】第6話をネタバレありで解説する
第6話のタイトルは「一夢(いちむ)」。この言葉は「ひとつの夢」や「はかない夢」を意味し、作中では小さなハムスターとの出会いをきっかけに、みいちゃんの純粋な夢と、山田さんが抱える過去の呪縛が描かれます。
新たな「命」と、みいちゃんの「夢」
物語は、みいちゃんが友達から「増えすぎたハムスターの赤ちゃんをもらってくれないか」と頼まれる場面から始まります 。みいちゃんは「ほしいーっ!」と即答しますが、山田さんは「命だぞ命」と、その責任の重さを説きます 。忘れ物や遅刻が多く、金銭的にも不安定なみいちゃんに、生き物の世話は無理だと考えるのは当然でした 。
しかし、みいちゃんは意外な言葉を口にします。
「みいちゃん 子供いっぱい作って 大家族のママになるのが夢なの」
この夢があるから、自分はきっと良いママになれるし、お世話もできると力説します 。そのあまりの勢いに、山田さんは根負けしてしまいます。みいちゃんはその場でハムスターに「ハムカツ」と名付け、絶対に一匹だけにするという約束で、新しい家族を迎えることになりました 。
ハムカツとの新生活と山田さんの興味
3週間後、みいちゃんは約束通りハムカツを譲り受け、アパートへと連れて帰ります 。ゴミが散乱する部屋の中、彼女はテーブルの上を綺麗に片付け、そこをハムカツの新しいおうちとして整えました 。
数日後、山田さんは「みいちゃんがちゃんと生き物を飼えるのか見極めにきた」という名目で、彼女の部屋を訪れます 。部屋は相変わらず散らかっていましたが、ハムカツのケージの周りだけはきれいに片付いており、みいちゃんがハムカツを心から大切にしていることが伝わってきました 。
対照的な二人の「好き」と、母親の呪縛
部屋を見渡した山田さんは、大量のぬいぐるみが置かれていることに気づきます 。みいちゃんは「好きだから」「ついつい集めちゃうんだー」と無邪気に笑い、「買ったり拾ったり」して集めたと話しました 。
この会話をきっかけに、二人の子供時代が対照的に浮かび上がります。山田さんは、自分の母親が「子供っぽい」という理由で漫画やゲーム、可愛い洋服などを一切買ってくれなかったことを明かします 。その影響は根深く、大人になって自分のお金で自由に買える今でさえ、そういった物を買う時に「罪悪感を感じてしまう」と告白します。「ママごめんなさい」と、心の中で謝ってしまうというのです 。
「拾う」という価値観と、心の解放
前述の通り、山田さんの母親は、彼女の「好き」を許しませんでした。一方、みいちゃんの母親もまた、おもちゃや漫画を「好きじゃない」という理由で買ってはくれませんでした 。しかし、みいちゃんの行動は山田さんとは全く違いました。彼女は、買ってもらえないなら、自分で「拾ってきた」のです 。
彼女の部屋にあるテーブルや棚、アクセサリーの多くは、ゴミ置き場から拾ってきたものでした 。
「自分が好きな物は自由に拾ったり買ったり集めたりしていいんだよね……」
この、みいちゃんのあまりにもシンプルで自由な価値観は、山田さんの心を強く打ちます。母親の価値観という呪縛に、自分がいかに縛られていたかを思い知らされた瞬間でした。誰かの評価を気にすることなく、ただ「好き」という気持ちに従うみいちゃんの姿に、山田さんの心は少しだけ軽くなったように見えました 。
まとめ【みいちゃんと山田さん】6話を読んだ感想
第6話は、小さな命「ハムカツ」の登場によって、みいちゃんと山田さん、二人の内面が深く掘り下げられた、非常に重要なエピソードでした。みいちゃんの「大家族のママになる」という夢は、彼女の根源的な愛情深さや孤独感の裏返しのようにも感じられ、胸を締め付けられます。
特に印象的だったのは、山田さんが抱える「母親の呪縛」です。好きな物を買うたびに罪悪感を覚えてしまうという告白は、見えない鎖に心が縛られているようで、本当に苦しく感じました。多くの人が、程度の差こそあれ、親の価値観や期待から自由になれない経験を持っているのではないでしょうか。
そんな山田さんの心を解き放つきっかけとなったのが、みいちゃんの「拾う」という、常識からすれば少しずれた価値観でした。しかし、その行動の根底にあるのは「好きだから、集める」という、誰にも縛られない純粋な欲求です。社会のルールや他人の評価にがんじがらめになっていた山田さんにとって、みいちゃんのこの自由な在り方は、まさに目から鱗だったのでしょう。
これまで、山田さんがみいちゃんを「守る」という構図で物語は進んできましたが、この回では、山田さんがみいちゃんによって「救われる」という、新たな関係性が見えました。危うさの中に、人の心を解き放つ不思議な力を持つみいちゃん。二人の関係が、これからどう変化していくのか、ますます目が離せません。
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