【みいちゃんと山田さん】7話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【みいちゃんと山田さん】第7話をネタバレありで解説する

第7話のタイトルは「普通に生きてきた」。このエピソードでは、みいちゃんとはまた違うタイプの生きづらさを抱える新キャラクター「ニナちゃん」が登場します。彼女の姿を通して、”普通”のライン上で必死にもがく人々の、静かな苦しみが描かれます。

新たな「仲間」?もう一人の問題児ニナちゃん

物語は、山田さんが新人のニナちゃんを注意する場面から始まります。彼女は仕事で使うポーチを忘れたり、染めた髪の根元が黒く伸びた「プリン頭」を放置したりと、基本的な身だしなみができていません

以前は会社員として働いていたというニナちゃん 。一見すると常識がありそうですが、その危なっかしい様子を見て、みいちゃんはすぐに「仲間〜!」と喜びます 。山田さんは、みいちゃんとは違うタイプの「変な人」だと感じつつも、彼女のミスは「常人の許容範囲内」だと冷静に分析していました

悪気なき失言と、積み重なるミス

ニナちゃんの最大の問題は、悪気なく思ったことをそのまま口に出してしまう、その FILTER のなさでした

お客様が「去年の地震で家が壊されて」東京に出てきたと話すと、彼女は同情するどころか、**「身内の方で亡くなった人とかいます!!」**と、あまりにも無神経な質問を投げかけてしまいます 。当然、お客様を激怒させ、店長から厳しく叱責されるのでした

また、同僚の腕にアザが多いのを見つけると「もしかしてDV…」と踏み込んだ質問をしてしまうなど、彼女には社会的なTPOを判断する能力が著しく欠けているようです 。彼女の行動は、みいちゃんとは異なり、本人にある程度の自覚がある分、より根深い問題を感じさせます。

「普通」になれない苦しみと、グレーゾーンの孤独

物語の後半では、ニナちゃんの過去が明かされます。彼女は大学を卒業し、ごく普通の会社に就職しました 。しかし、次第に簡単な入力ミスを繰り返したり、人から借りたお金を忘れてしまったりと、社会人としての基本的なタスクをこなせなくなっていきます

会社や友人からの催促の電話に出られなくなり、追い詰められた彼女は、入社からわずか3か月で職場から「飛んで(無断で辞めて)」しまいました 。彼女の部屋には片付けや人付き合いに関する自己啓発本が散らばっており、「私っておかしいの?」と、自分自身を理解できずに苦しんでいます

これが、ニナちゃんの生きづらさの核心でした。彼女は、「みいちゃんほどダメな人間じゃない」けれど、「平均よりは劣ってる」という、苦しい

グレーゾーンにいるのです 。問題を自覚できるだけの知性はあるものの、明確な「病名」がつくほどの症状ではないため、誰にも理解されず、適切な支援も受けられない 。彼女は、この状況こそが「一番キツくない?」と感じているのです

未来への示唆と、まだ名もなき「特性」

同僚たちは、ニナちゃんも「1か月で飛ぶ」と噂します 。そして、物語は少し未来の山田さんの視点へ。彼女は、ニナちゃんに貸したカチューシャが、結局返ってこなかった(借りパクされた)ことを思い出します

そして、物語は非常に重要な言葉で締めくくられます。

「ニナちゃんの特性を語る言葉が世間に広まるのはまだ少し先である」

これは、彼女の抱える問題が、後にADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害として認知されるようになる「特性」であったことを、強く示唆しています。

まとめ【みいちゃんと山田さん】7話を読んだ感想

第7話は、これまでとは全く異なる角度から「生きづらさ」を描いた、胸に深く突き刺さるエピソードでした。社会のルールを全く意に介さないみいちゃんとは対照的に、ニナちゃんは「普通」のレールの上を歩こうと必死にもがき、そして滑り落ちてしまった人物です。

大学を卒業し、一度は就職もしている。だからこそ、周りからは「なんでこんな簡単なことができないの?」と理解されず、本人も「自分はどこかおかしいのではないか」と、出口のない自己嫌悪に陥っていく。この「グレーゾーンの孤独」は、現代社会を生きる多くの人々が、程度の差こそあれ共感できる苦しみではないでしょうか。

特に、彼女が「頑張って頑張ってやっと人並み。ギリギリ病名はもらえない」「それって一番キツくない?」と感じる場面は、この物語の大きなテーマの一つを象徴しているように思えます。明確な”障害”と診断されないがゆえに、誰にも頼れず、ただ「努力が足りない」「甘えている」と判断されてしまう人々の、声なき叫びが聞こえてくるようでした。

2012年という時代設定の中で、まだ社会的に広く知られていなかった「発達障害」という概念を匂わせるラストは、非常に巧みだと感じます。個人の悲劇を通して、社会の理解がまだ追いついていない現実をも描き出した、重厚な一話でした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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