【みいちゃんと山田さん】8話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【みいちゃんと山田さん】第8話をネタバレありで解説する
第8話のタイトルは「あの女が嫌い」。この言葉が示す通り、今回は物語の視点が大きく転換し、これまで不気味な存在として描かれてきた客「シゲオ」の内面が、彼の独白によって赤裸々に語られます。
客「シゲオ」の歪んだ純愛
この物語は、シゲオが「俺はキャバクラで美女に囲まれているイケてる男」であると、自身の現状に満足しているモノローグから始まります。しかし、彼の過去は輝かしいものではありませんでした。彼は、学生時代に友人がおらず、一人でいるところを見られたくないためにトイレの個室で食事をする、いわゆる「便所飯」をしていた青年だったのです。
そんな彼が「イケてる男」になるために選んだ道は、努力と課金でした。
- ナンパ師に30万円を払い、ファッションをコンサルティングしてもらう。
- メイド喫茶に通い、女性とのトーク力を磨く。
- 風俗店に通い、童貞を卒業する。
彼の目的はただ一つ。「俺をバカにしてきた奴等を見返すような若くて可愛くて性格のいい彼女を手に入れる」こと。 そして、その理想の到達点が、みいちゃんだったのです。
理想の彼女と、身勝手な支配欲
シゲオにとって、みいちゃんは完璧な存在でした。他のキャバ嬢のように自分を見下すことなく、優しく接してくれる。彼は、足が悪くなった自分の母親の「カイゴ」ができるかと問い、みいちゃんが「お年寄りも好きだよ」と答えたことで、彼女を「合格!結婚OK…」と一方的に認定します。
彼はみいちゃんと「付き合ってる」と思い込み、関係を持ってからは店の外で会うことを要求し始めます。 さらには「みいちゃんが ああいう店で働いてるの 俺嫌だよ…!」と、彼女にキャバクラを辞めるよう迫るのでした。 これは、彼女のためを思っての発言ではなく、自分の所有物である彼女が他の男と接することが許せないという、身勝手な支配欲の表れに他なりません。
世界中の女がみいちゃんみたいになればいい
シゲオの歪んだ価値観は、みいちゃん以外の女性への強烈な嫌悪感として表出します。
- 山田さんのことは、その斜に構えた態度が「無理」。
- ココロちゃんのことは、自分より学歴が高いから「嫌い」。
- モモちゃんのことは、「シンプルに性格が悪すぎる」。
彼は、自分より優れていたり、自分を思い通りにさせてくれなかったりする「生意気な女」が心底嫌いなのです。 そして、こう願います。**「世界中の女が全員みいちゃんみたいになればいいのになあああ~!!!!!」**と。 彼にとって、従順で、自分を無条件に肯定してくれるみいちゃんこそが、理想の女性像のすべてでした。
打ち砕かれた幻想と、「特別な彼氏」の存在
シゲオはみいちゃんに「本気で愛してるよ…」と告白し、彼女も「みいちゃんも!」と無邪気に返します。 彼の妄想が頂点に達したその時、彼は「じゃあ今日 家に行ってもいい?」と尋ねました。 しかし、みいちゃんの口から返ってきたのは、彼の幻想を粉々にする一言でした。
「今日は無理!彼氏が泊まりに来てるから!!」
場面は店の営業後に移ります。山田さんは、客に彼氏の存在を話したみいちゃんを咎めますが、みいちゃんは「タイプって何?」と、客を区別する感覚がありません。 彼女にとって客の男は「みんな同じだよ」「エッチして喜んでもらってお金もらうだけ…」。
しかし、彼女は続けます。「でも彼氏のマオ君は特別だよ!」と。 そして、「今日は家で天ぷら揚げて待っててくれてるんだよ!」と幸せそうに語るのでした。
そして翌日。店に現れたみいちゃんの顔は、誰が見てもわかるほど、ひどく殴られ、腫れあがっていました。
まとめ【みいちゃんと山田さん】8話を読んだ感想
第8話は、これまでで最も胸糞が悪く、同時に物語の核心に迫る重要な回でした。視点を客であるシゲオに移すことで、読者は彼の歪んだ自己愛と、女性に対するおそろしく身勝手な価値観を追体験させられます。彼が単なる変質者ではなく、過去のコンプレックスから生まれた「努力した弱者」であることが、彼の言動に一層の現実味と恐怖を与えていました。
彼の「世界中の女がみいちゃんみたいになればいい」という叫びは、彼の理想の世界が、自分を脅かさない、思考しない、従順な人間だけで構成された世界であることを示しており、彼の根深いミソジニー(女性嫌悪)を感じさせます。
そして、そんなシゲオの幻想を打ち砕いた、みいちゃんの「彼氏」の存在。みいちゃんにとって、お金をもらうための「みんな同じ」男たちと、愛する「特別な」マオ君は、明確に区別されていました。彼女の心にも、確かに「好き」の物差しがあったのです。
しかし、そのたった一つの特別な存在が、彼女を最もひどく傷つけているであろうことが、最後の衝撃的なシーンで示唆されます。彼女が唯一の「特別」だと信じるものが、実は最も危険な存在だったのかもしれない。この残酷な皮肉は、みいちゃんの運命が、さらに悲劇的な坂道を転がり落ちていくことを予感させます。
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