【わたしの好きな人は、】11話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【わたしの好きな人は、】第11話をネタバレありで解説する
仕事での重大なミスを犯し、絶望の淵にいた莉乃。彼女の元にかかってきたのは、同僚・咲村からの電話でした。第12話は、この最大のピンチに、二人の「パートナー」としての資質の違いが、残酷なまでに浮き彫りになる様子を描きます。一人は不在の婚約者、もう一人は、ただの同僚のはずの男。莉乃の心は、否応なく真実を突きつけられます。
「一緒に乗り越えましょ!」暗闇に差し込んだ一筋の光
内線電話に出た莉乃に、咲村は落ち着いた声で状況を説明します。彼はすでに上司から事情を聞き、すぐさま行動を開始していました。「先方への対応は僕が行います」。そう言って彼は、最も困難な謝罪の役目を自ら引き受け、莉乃には事務処理に専念するよう指示します。その手際の良さと頼もしさ。そして彼は、莉乃にこう告げるのです。
「一人で頑張らなくていいんですよ」「大丈夫です 一緒に乗り越えましょ!」
その言葉は、たった一人でプレッシャーに耐え、孤独に苛まれていた莉乃の心に、どんな光よりも強く差し込みました。
守られた契約と、溢れ出す涙
咲村のサポートを支えに、莉乃は必死に遅れを取り戻します。夜遅く、オフィスに戻ってきた咲村は、「先方とは上手く話がつきました」「引き続き契約してくれるとのことです」と、完璧な結果を報告するのでした。
危機が去った安堵感と、彼への感謝。張り詰めていた糸が切れた莉乃の瞳から、大粒の涙が溢れ出します。「私のミスでごめんなさい…」。そう言って頭を下げる彼女に、咲村は「顔あげてください」「少しでも莉乃さんの力になれてよかった」と、優しく微笑むのでした。
「莉乃さんに触れられないのが辛いです」痛切な愛の告白
しかし、彼の優しさは、莉乃の涙をさらに加速させます。ここで泣いてはダメだ、そう分かっているのに、涙は止まりません。そんな彼女を前に、咲村は、これまで抑えていたであろう本音を、痛切な表情で絞り出します。
「こんな時に 莉乃さんに触れられないのが すごく辛いです」
それは、慰めの言葉でも、同情の言葉でもありませんでした。婚約者がいる彼女に触れることすらできず、ただ見ていることしかできない自分の無力さへの、そして彼女への深い想いが詰まった、あまりにも切実な告白でした。
最後の問い「そんなに、その人と結婚がしたいんですか?」
咲村は、莉乃の不調の原因が、ただの仕事のプレッシャーではないことを見抜いていました。「まさか結婚のことじゃないですよね?」。彼は、莉乃が決意を固めたあの雑貨店での寂しそうな顔が、ずっと気になっていたのです。
そして彼は、最後の賭けに出ます。「それでも莉乃さんが幸せなら俺は黙って身を引きます。でもそうじゃないなら――」。しかし、その先を莉乃は聞くことができませんでした。「それ以上は言わないで」と、彼を制止します。そんな彼女に、咲村は、この物語の核心を突く、最後の問いを投げかけるのでした。
「そんなに その人と結婚がしたいんですか?」
その問いは、答えを失った莉乃と共に、静かなオフィスに重く響き渡るのでした。
まとめ【わたしの好きな人は、】11話を読んだ感想
第11話は、これまでのエピソードの中でも、特に「理想のパートナーとは何か」というテーマを強く突きつけてくる回でした。莉乃が人生最大のピンチに陥っている時、婚約者の裕人は影も形もありません。そこに現れ、完璧なサポートを見せたのが咲村くんでした。問題解決能力、共感力、そして精神的な支え。彼の一挙手一投足が、あまりにも理想的なパートナーの姿そのもので、読んでいるこちらも彼に惚れてしまいそうになるほどです。
特に、咲村くんの「触れられないのが辛いです」という告白は、本作屈指の名セリフではないでしょうか。それは単なる恋愛感情の発露ではなく、愛する人が苦しんでいるのに、社会的な立場が邪魔で抱きしめることすらできないという、深い愛情と苦悩の表れでした。
そして、ラストの「そんなに、その人と結婚がしたいんですか?」という問い。これは莉乃だけでなく、読者にも向けられた問いです。幸せそうに見えないのに、どうしてその選択に固執するのか。その問いに、莉乃はまだ答えることができません。彼女が何と答えるのか、あるいは答えられないのか。その選択が、彼女の人生を大きく左右することは間違いないでしょう。物語は、まさにクライマックスへと向かっています。
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