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【わたしの好きな人は、】13話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【わたしの好きな人は、】第13話をネタバレありで解説する

「そろそろ籍をいれてもいい頃かなって」――。愛ではなく、ただのタイミングでプロポーズをしたという婚約者・裕人の本心を知ってしまった莉乃。第13話は、その絶望の淵から、彼女が自分自身の本当の幸せのために、大きな一歩を踏み出すまでを描きます。これは、ひとりの女性が「こうあるべき」という呪いを解き放ち、自らの意志で人生を選び直す、決意の物語です。

最後の迷いと、閉店した雑貨屋

裕人の本心を知り、「これが私の望んだ結婚?」と自問自答する莉乃。翌朝、彼女はまだ、書き終えた招待状を投函することができません。その心の中には、最後の迷いが渦巻いていました。

その日、彼女は咲村がいるであろう友人たちとの集まりを断り、一人、街をさまよいます。そして、無意識に足を運んだのは、以前、咲村と訪れたあの雑貨屋でした。彼が「似合いそう」と言ってくれたヘアクリップ。あの時、ためらって買えなかった思い出の品。しかし、彼女の目の前にあったのは、「閉店しました」と書かれた冷たい貼り紙でした。

「…もう 欲しいと思っても手に入らないんだ」

その雑貨屋の閉店は、まるで莉乃自身の状況を象徴しているかのようでした。このまま迷い続ければ、咲村という存在も、本当の幸せも、二度と手に入らなくなるかもしれない。

「忘れたくない」涙の決心

「忘れなさいってことかな」。一度はそう諦めかけ、咲村の笑顔を忘れようとする莉乃。しかし、彼女の心は、もう嘘をつくことができませんでした。

「そんなの嫌だ。忘れたくない」

このまま、自分の本当の気持ちに蓋をして生きていくなんて、もうできない。その強い想いが、彼女を動かします。彼女は震える手でスマートフォンを取り出し、裕人の番号を押し、「話がある」と留守電にメッセージを残したのでした。

「自分がどうしたいのか、わかってしまった」

メッセージを残した莉乃の表情に、もう迷いはありませんでした。「これからきっと色んな人を傷つけることになる」。その覚悟を決めた上で、彼女は思います。

「それでも私は自分がどうしたいのかわかってしまった」

もう誰かのせいにも、何かのせいにもしない。自分の人生は、自分で決める。彼女が長い間、心の奥底に押し込めていた、本当の願いが解き放たれた瞬間でした。

「ごめんなさい。結婚できません」――砕け散る婚約

その夜、莉乃は裕人と向き合います。何も知らない彼は、莉乃が持っていた招待状の束を見て、「話ってまさかこれ?」と、最後まで無関心な態度を崩しません。そんな彼に、莉乃は静かに、しかしはっきりと、最後の言葉を告げました。

「ごめんなさい。…私 ヒロくんとは結婚できません」

突然の別れ話に、ただ「…は?」と、呆然とすることしかできない裕人。二人の間にあった、見せかけの幸せが、大きな音を立てて砕け散った瞬間でした。

まとめ【わたしの好きな人は、】13話を読んだ感想

第13話は、これまでの鬱憤を晴らすかのような、カタルシスに満ちた回でした。莉乃が自分の意志で未来を選択する姿に、思わず「よく言った!」と声をかけたくなった読者も多いのではないでしょうか。特に、閉店した雑貨屋が彼女に決意を促すという展開は、非常に詩的で美しいと感じました。「思い出の品」が「もう手に入らないもの」に変わったことで、彼女は「今行動しなければ、すべてを失う」という真理に気づかされたのです。

そして、圧巻だったのが最後の別れのシーン。裕人は、最後の最後まで莉乃の心の変化に気づきませんでした。彼の「話ってまさかこれ?」というセリフは、二人の心がどれだけ離れていたかを物語る、象徴的な一言です。莉乃が下した決断は、彼にとってはまさに青天の霹靂だったことでしょう。

ついに、呪縛のような婚約を自らの手で解き放った莉乃。しかし、これは決してハッピーエンドではありません。むしろ、ここからが彼女の本当の人生の始まりです。婚約を破棄した彼女は、これから多くの困難に直面するはず。そして、彼女をここまで変えた咲村くんとの関係は、どうなっていくのか。ひとつの大きな物語が終わり、新たな物語の幕開けを強く予感させる、見事な最終回でした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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