【わたしの好きな人は、】3話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【わたしの好きな人は、】第3話をネタバレありで解説する
雨の降る夜、一本の傘の下で急接近した莉乃と咲村。第2話のラスト、彼の不器用ながらも真っ直ぐなアプローチに、莉乃の心は大きく揺さぶられました。第3話は、その直後から始まり、二人の関係をさらに加速させる出来事と、莉乃がついてしまった「小さな嘘」が引き起こす波紋を描きます。婚約者への罪悪感と、惹かれる気持ちとの間で、彼女の葛藤は新たなステージへと進んでいきます。
「わざとです」計算された優しさの真意
「俺(傘)持ってないんで 一緒に入れてください」。そう言って莉乃を引き留めた咲村 。雨の中、相合傘で歩く二人ですが、莉乃の感謝の言葉に対し、彼は悪戯っぽく笑い、衝撃の事実を告げます。
「わざと なんですけどね」
実は、莉乃がお店のトイレに立った際、彼はわざと彼女の傘を持ち出していたのです 。その目的は、ただ一つ。「このまま今日が終わったらもう話せなくなる気がして」 。彼は、莉乃と二人きりになるチャンスを自ら作り出すために、計算して行動していました 。その大胆で真っ直ぐなアプローチに、莉乃は戸惑いを隠せません。
婚約の嘘…ついてしまった小さな罪悪感
そして、咲村は核心に迫る質問を投げかけます。「莉乃さんって今 彼氏とかいるんですか」 。この問いに、莉乃は一瞬のためらいの後、衝動的に答えてしまいました。
「いません」
本当は「婚約者がいます」と答え、この関係にきっぱりと線を引くべきでした 。しかし、彼女の口から出たのは、心とは裏腹の嘘。その小さな嘘は、すぐに大きな罪悪感となって彼女にのしかかります 。咲村に気のある素振りを見せているかのような自分の行動に、莉乃はパニックに陥るのでした 。
ライバルの妨害と残酷な真実
二人の間の緊張感は、二次会のカラオケ店に到着したことで一旦リセットされます 。莉乃は咲村から距離を置くため、友人たちとカラオケで盛り上がることで、意識的に彼を避ける作戦に出ました 。
しかし、その行動が裏目に出ます。莉乃が自分から離れたのを見て、チャンスとばかりに彼女のライバル・杏奈が咲村に接近するのです 。そして、杏奈は彼に残酷な事実を告げます。莉乃に彼氏がいること、そして「これはまだ公にはしてないみたいだけど…」と前置きしつつ、こう囁きました。
「最近 婚約したって聞いたよ」
その言葉に、咲村の表情から光が消えていきます。莉乃が婚約しているという事実は、彼にとって大きなショックだったのでした 。
自暴自棄の果てに…二人きりの夜
杏奈と咲村が親密に話す姿を遠くから見ていた莉乃。友人に「いいの?」と問われた彼女は、「いいんじゃない」「このまま二人が上手くいけば丸く収まるんだって」と、自分に言い聞かせるようにつぶやきます 。自分のついた嘘が招いた事態から目をそらすように、彼女は自暴自棄になってお酒を煽り、意識を失ってしまいました 。
そして、莉乃が目を覚ますと、そこはカラオケ店の一室でした 。二次会は終わり、友人たちも終電で帰宅済み 。そんな中、彼女の隣には、心配そうに自分を見つめる咲村が一人、残ってくれていたのです 。逃げ出したはずの状況は、よりにもよって、二人きりという最も危険な形で再び彼女の目の前に現れたのでした。
まとめ【わたしの好きな人は、】3話を読んだ感想
第3話は、莉乃のついてしまった一つの嘘が、物語を大きく動かしていく様子がスリリングでした。咲村くんの「わざとです」という告白から始まる前半は、彼の積極的なアプローチにドキドキさせられましたが、それ以上に印象的だったのが莉乃の「いません」という嘘です。あの瞬間、彼女は婚約者への裏切りと、咲村への興味という本心との間で、後者を選んでしまった。その人間的な弱さが、とてもリアルに描かれていたと思います。
また、ライバルである杏奈さんの存在が、物語に良いスパイスを加えていました。彼女の行動は自己中心的ですが、結果的に咲村に「莉乃が婚約している」という真実を伝える役割を果たし、事態をより複雑で面白い方向へと導いています。
そして、すべてから逃れるためにお酒に逃げ、自分を失ってしまった莉乃の行動には、彼女の罪悪感と心の弱さが凝縮されていて胸が痛みました。しかし、その結果、自分を介抱してくれた咲村と二人きりになってしまうという皮肉な展開。自分で蒔いた種とはいえ、あまりにも無防備な状況で、彼女は彼とどう向き合うのでしょうか。
「嘘」をきっかけに、登場人物たちの想いが複雑に絡み合い、次の展開が全く読めなくなった第3話。一筋縄ではいかない、大人の恋愛の深みと怖さを感じさせる回でした。
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