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【わたしの好きな人は、】6話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【わたしの好きな人は、】第6話をネタバレありで解説する

「友達」という名の安全地帯を見つけたはずの莉乃。しかし第6話では、その安心感が、婚約者・裕人との関係における「違和感」をより一層浮き彫りにしていきます。結婚式の準備という、本来であれば二人にとって最も楽しいはずの共同作業。それが、莉乃の心に咲村の影を色濃く落とすきっかけとなってしまうのです。

「主役は花嫁だから」甘い言葉に隠された無関心

物語は、莉乃と裕人が自宅でくつろぐ場面から始まります。結婚式の話を持ち出した裕人は、なんと自ら結婚情報誌を購入していました 。その予想外の行動に、莉乃は「ちゃんと考えてくれてたんだ」と、素直に喜びます

二人で雑誌を眺めながら、理想の結婚式に胸を膨らませる莉乃。そんな彼女に、裕人は最高の言葉をかけます。

「莉乃の好きなようにしたらいいよ 主役は花嫁だからな」

これ以上ないほど甘く、優しいその言葉に、莉乃は「この人が私の夢を叶えてくれる人だ」と、幸せを噛みしめるのでした

丸投げされた計画と、浮かぶ「別の誰か」の影

しかし、その幸せな時間は長くは続きません。具体的なプランの話になると、裕人はスマートフォンに夢中になり、明らかに上の空 。莉乃が冗談で指した「費用が一千万」という豪華なプランにさえ、彼は「これにしよっか」と何も考えずに同意します

その瞬間、莉乃は気づいてしまうのです。「主役は花嫁」という言葉が、ただ面倒なことを丸投げするための、体のいい口実であったことに 。そして、彼女の脳裏に、最悪のタイミングで別の男性の顔が浮かびます。

「こういう時 咲村くんなら一緒に考えてくれるんだろうな…」

以前、飲み会で一つの料理を真剣に一緒に悩んでくれた咲村の姿 。その記憶が、目の前の無関心な婚約者の姿と重なり、莉乃の心を締め付けるのでした。

「二人で」という言葉の虚しさ

莉乃の心の変化を察したのか、裕人は「一緒に考えよーよ 結婚式は私たち二人のものだよ」と慌てて取り繕います 。しかし、一度感じてしまった不信感は、莉乃の心に深く根を張っていました。

後日、友人に結婚準備の進捗を尋ねられた莉乃は、「結局私一人で考えてる感じだし…」と、その胸の内を漏らしてしまいます 。「私の好きなようにしたらいいって言ってくれるんだけど…」と裕人の言葉を話す莉乃に、友人は「お嫁さん思いだねー」と無邪気に返しますが、莉乃の表情は晴れません

鳴り響く通知音…平凡を乱す新たな波紋

友人たちにこれ以上心配をかけたくないと、莉乃が話を打ち切ろうとした、その時。彼女のスマートフォンが「ピロン♪」と軽やかな通知音を立てます 。その画面を見た莉乃の顔が、みるみるうちに赤く染まっていくのを、友人たちは見逃しませんでした

その通知の送り主が誰なのか、この時点ではまだ明かされません。しかし、婚約者への不満を口にしているまさにその最中に、彼女を笑顔にさせる人物。その存在が、今後の物語に大きな波紋を広げることを予感させ、物語は幕を閉じます。

まとめ【わたしの好きな人は、】6話を読んだ感想

第6話は、カップルの間で起こりがちな「言葉と行動の不一致」という、非常にリアルな問題を描いていて、胸が痛みました。裕人の「好きにしていいよ」という言葉は、一見すると最高の優しさですが、その実態は「君の好きにしていいよ(僕は面倒だから関わらないけどね)」という無関心の裏返し。この「優しいモラハラ」とも言える状況に、莉乃が追い詰められていく様子が巧みに描かれていました。

そして、今回の最も重要なポイントは、莉乃が初めて、裕人といる時間に、はっきりと咲村くんを思い出して比較してしまったことです 。これは彼女の心の中で、咲村くんの存在が単なる「気になる人」から、「理想のパートナー像」へと変化し始めている証拠に他なりません。

ラストのスマホの通知も、非常に効果的な演出でした。物理的に咲村くんが登場しなくても、彼が莉乃の日常に深く入り込み、彼女の感情を揺さぶる存在になっていることがわかります。裕人との会話では曇っていた莉乃の表情が、たった一回の通知で華やいでしまう。この対比が、彼女の心が本当はどこにあるのかを雄弁に物語っていました。彼女の「結婚」という名の船は、今、大きく航路を外れようとしています。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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