【タコピーの原罪】第10話「東くんの救済」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

第9話「大丈夫」 兄の潤也くんが家を出て行った日のことを最後に母親に抱きしめてもらえなくなったという過去を思い出した東くん。しずかちゃんに「東くんしかいないの」と巧みに依存され、彼女の言葉を信じ「僕がきっと上手くやって絶対行けるよ!」と、しずかちゃんのために自首することを受け入れるような歪んだ決意を固めるのでした。
【タコピーの原罪】第10話「東くんの救済」をネタバレありで解説する
前話では、しずかに巧みに誘導され、彼女のために自首すら覚悟したかのような東の歪んだ決意が描かれました。第10話「東くんの救済」では、そんな東に対し、兄である潤也が意外な形で手を差し伸べ、兄弟の隠された思いや過去が明らかになります。そして、物語は新たな局面へと動き出します。
兄・潤也の詰問と東の絶望
物語は、潤也が東に対し「お前が殺したんだろ」と衝撃的な言葉を投げかける場面から始まります 。東が何も言えずにいると、潤也は過去に東が何か思い詰めていた時のことを回想します。その時、潤也は「お前のせいで 何もかも 台無しだよ」「一家の 面汚しが 俺の 将来も!!!」「無能なだけじゃ なく足まで 引っ張るのか? 母さんの 病院も どう責任 取ってくれる?」と東を激しく罵倒していました 。東はその言葉を受け、「・・・やっぱ なんか 思いつめてる だろ」「だから なあ ちゃんと 相談しろって」という潤也のその後の優しさも、当時の自分には届いていなかったと感じています 。
東は、有能で人格者である兄には自分の苦しみは分からない、「みんな お前のこと ばっかりだ」と心の内で叫びます 。そして、「求められたことは 何一つできなくて 失望されて 諦められて」「母さんにだって もう 誰も僕に 興味なんかない 期待 してない」「僕に 久世さんしか いない」と、深い孤独と絶望感を抱えていることが明らかになります 。
潤也の魂の叫びと意外な告白
東の絶望に対し、潤也は「俺が いるだろ」「テストの点が どうとか 関係 ね―――んだよ どうでも いいんだ そんなことは!」「お前は 俺の 弟なんだから・・・!!!!」「できないことは できないって 言っていいんだよ」と、感情を爆発させ、必死に東に語りかけます 。
さらに潤也は、「何でもできる やつなんて いないんだよ」「俺モンハン 下手だし ここだけの話 いっつも彼女に 手伝って もらってるし・・・」と意外な弱みを告白します 。東は、完璧だと思っていた兄の人間らしい一面に触れ、驚きを隠せません。潤也は、東のことを「努力の人 なんだって」「お前と よく 似てるよ」と言い、かつて母親の作るパンケーキがまずかったことや、東が今かけているメガネが元々は母が潤也に買ってくれたもので、度が合わないと言い出せなかったという過去を打ち明けます 。
東の決意と町の噂
潤也の真摯な言葉と意外な告白に心を動かされた東は、「お兄ちゃんに きいて ほしいことがあるんだ・・・」「言わなきゃ いけないことが」と、ついに自分の抱える秘密を打ち明ける決意をします 。
一方、町では東のクリニックが臨時休診となり 、まりなの事件に東が関わっているという噂が広まっていました。「あそこの 病院の子 例の事件 関わってたん だって」「警察も そう見てる らしいわよ」「ウワサだと 同級生の・・・ しずかちゃんに やらされてたん じゃないの?」と、近所の人々は口々に噂し合います 。当のしずかはタコピーと共にその様子をうかがい、「もう どうするっどか 本当のことを 助けてくれ ないんだね・・・ ぼくたちも」と不安を口にしています 。
しずかの新たな提案
そんな不穏な空気の中、しずかはタコピーに対し、「行こう!」「今日から 夏休みだよ だから 東京!」と、以前からの計画を実行に移そうと提案するのでした 。
まとめ【タコピーの原罪】第10話「東くんの救済」を読んだ感想
第10話「東くんの救済」は、これまで謎に包まれていた兄・潤也の本当の想いや人間性が明らかになり、絶望の淵にいた東にとって一条の光が差し込むような、非常に重要な回でした。潤也が東にぶつけた魂からの叫びは、これまでの彼のクールなイメージを覆すものであり、弟を思う不器用ながらも真っ直ぐな愛情に胸を打たれます。
特に、潤也が自身の弱さ(モンハンが下手、彼女に助けてもらっている、度の合わないメガネを使い続けていた過去など)を率直に語る場面は印象的でした。完璧に見えた兄もまた、悩みを抱え、誰かに頼ることもある普通の人間なのだと知ることで、東が抱えていた強固な劣等感や孤独感が少しでも和らぐことを願わずにはいられません。潤也の言葉は、東にとって真の意味での「救済」の始まりとなるのかもしれないと感じました。
東が潤也に全てを打ち明けようと決意する場面は、この物語における大きな転換点となるでしょう。これまで一人で抱え込み、しずかという歪んだ存在にしか頼れなかった東が、初めて他者に助けを求めようとする姿は、微かな希望を感じさせます。
一方で、町の噂や、しずかが変わらず東京行きを画策している様子は、依然として予断を許さない状況であることを示しています。東が真実を語ったとして、それがどのような結果を招くのか、そしてしずかの次なる行動は何なのか、物語は新たなサスペンスを孕んで次へと続いていきます。東と潤也、兄弟の絆がどのように物語を動かしていくのか、そして東は本当の意味で救われるのか、今後の展開がますます気になります。
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