【タコピーの原罪】第14話「直樹くんの介在」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

第13話「タコピーの原罪」 まりなちゃんの「小4の久世しずかを殺さなきゃ」という言葉を曲解したタコピーは、ハッピー大時計で過去へ飛ぼうとします。しかしハッピーママに阻止され記憶を消去されそうになりながらも、タコピーは「久世しずかを殺さなきゃ」という歪んだ使命感だけを胸に再び時間を跳躍。パンをくれた恩人である東くんを「しずかちゃん」と誤認し、物語の「原罪」が示唆されるのでした。
【タコピーの原罪】第14話「直樹くんの介在」をネタバレありで解説する
前話、タコピーは歪んだ使命感と記憶の混濁の中で、東を「しずかちゃん」と誤認するという衝撃的な形で幕を閉じました。第14話「直樹くんの介在」では、東がタコピーとの別れを決意し、彼自身の苦悩と成長、そしてタコピーに託した想いが描かれます。一方、現実世界では新たな事件の影が忍び寄ります。
別れの決意と東の苦境
物語は、タコピーが「まりなちゃんを ハッピーにするため 地球に戻ったのに くせ 久世しずかの ハッピー じゃないん だっピ!」と、未だ記憶が混濁し、目的を見失いかけているところから始まります。東(直樹)は、そんなタコピーに対し、「僕はもう 行けないんだ」「お前と会うのも これで最後だ」と別れを告げます。
東の家では、母親がショックで寝込み、父親が一時的に戻ってクリニックを手伝っているものの、病院の将来も不透明な状況でした。「久世さんには 会えない これ以上 迷惑かけらんないんだ」と、しずかとの関係を断ち切る決意を固めた東は、タコピーから預かっていたひみつ道具を返します。
タコピーの葛藤と東の言葉
突然の別れ話に、タコピーは「なんでそんなこと 言うんだっピ・・・?」「もう会えない なんて 悲しいっど」と動揺し、混乱します。しずかがまりなを悲しませる「悪い子」である一方で、パンをくれて優しかった「良い子」でもあるという矛盾に、「ぼくは わかんないんだっピ なんで なんで 悪い子 なのに 良い子なのか―」と苦悩します。
そんなタコピーに対し、東は「そりゃ そうだろ」「友達 だった からだ」「そりゃ いいとこも 悪いとこも あるだろ」と、人間には多面性があることを諭します。そして、「お前だって バカじゃん・・・ 宿題 やって こないし」とタコピーの欠点を指摘しつつも、「能天気で 馬鹿で ゴミだけど 優しい」「使えない どうしようもない 能無し 役立たずの僕に すごいって言って くれた」「生まれて初めて あんな学校が 楽しみに思えた」と、タコピーやしずかと過ごした時間が、彼にとってかけがえのないものだったことを告白します。東は、タコピーに「ありがとうって 言いに来たんだ!」と感謝を伝えるのでした。
東の成長と未来への伝言
東は、しずかを助けようとしたものの「結局何も できなかった」「やっぱ僕じゃ ダメだったな」と自分の無力さを認めつつも、その経験から何かを学んだ様子を見せます。兄・潤也がバイト代で買ってくれた新しいメガネに触れながら、「もし もしも 次の僕に会う ことあったら 言って やって くれよ」「兄貴と ケンカでもしてみろって」と、過去の自分とは違う未来を次の自分に託すかのような言葉をタコピーに残し、二人は別れます。
新たな事件とタコピーの決意
東と別れた後、タコピーはニュースで東京で二人の女児(山下さつきちゃん、〇〇えりかちゃん)が行方不明になっていること、そしてそれが北海道で起きた雲母坂まりな殺害事件や、しずかの行方不明と関連付けられていることを知ります。衰弱して発見されたという二人の少女の報道、そしてSNSで父親の犯行説が流れる中、「心無い誹謗中傷はやめてほしい」と訴えるしずかの父親の姿。その混乱の中、タコピーはしずかの姿を見つけます。
様々な出来事と東の言葉を経て、タコピーは「しずかちゃん おはなし したいことがあるん だっピー・・・」と、今度こそ自分の意思でしずかと向き合おうとするのでした。
まとめ【タコピーの原罪】第14話「直樹くんの介在」を読んだ感想
第14話「直樹くんの介在」は、東直樹というキャラクターの苦悩、そしてそこからの大きな成長が描かれた、非常に感動的な回でした。これまで自分の無力さや家庭環境に苦しみ、しずかへの歪んだ献身に囚われていた東が、タコピーとの交流や兄・潤也の言葉を経て、自分自身と向き合い、他者の多面性を受け入れようとする姿には胸を打たれました。
特に、タコピーに対して「友達だったからだ」と語り、タコピーの欠点を認めつつもその優しさを肯定し、感謝を伝える場面は、東の人間的な成長を強く感じさせます。「役立たずの僕にすごいって言ってくれた」という言葉には、彼がどれほど承認に飢え、タコピーの純粋な言葉に救われていたかが表れており、涙を誘います。そして、未来の自分へ「兄貴とケンカでもしてみろ」という伝言を託す姿は、彼が過去の自分を乗り越え、新たな一歩を踏み出そうとしていることの証でしょう。彼の「介在」は、タコピーにとっても、そして物語全体にとっても、重要な意味を持つように感じました。
タコピー自身もまた、東の言葉によって、善悪という単純な二元論では割り切れない人間の複雑さについて、少しずつ理解を深めようとしているように見えます。「なんで悪い子なのに良い子なのか」という彼の問いは、この物語の核心に迫るものであり、彼がこれからしずかとどのように向き合っていくのか、大きな注目点です。
一方で、まりな殺害事件としずかの行方不明に加え、東京での新たな女児行方不明事件が報じられ、物語は依然として不穏な空気に包まれています。しずかの父親の訴えなど、事件の真相はまだ霧の中です。タコピーがしずかに「おはなししたいこと」とは何なのか、そして彼の純粋な願いは、今度こそ誰かをハッピーにすることに繋がるのでしょうか。東の成長という希望の光が見えた一方で、依然として先の読めない展開から目が離せません。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから
