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【タコピーの原罪】第15話「しずかちゃん」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

第14話「直樹くんの介在」 東くんはタコピーに別れを告げ、これまでの自身の過ちや無力さを認めつつも、タコピーやしずかちゃんと過ごした日々に感謝を伝えます。兄の潤也くんから贈られたメガネを手に、未来の自分への伝言をタコピーに託す東くん。一方、東京での新たな女児行方不明事件が報じられる中、タコピーはしずかちゃんと再会し、何かを語りかけようとするのでした。

【タコピーの原罪】第15話「しずかちゃん」をネタバレありで解説する

前話では、東が過去の自分と決別し、タコピーに感謝と未来への伝言を託して去っていきました。そしてタコピーは、多くの謎と事件が渦巻く中で、再びしずかと向き合おうとします。第15話「しずかちゃん」では、しずかが抱える絶望的な孤独と心の叫び、そしてタコピーが彼女のために下す最後の決断が描かれます。

しずかの絶望と心の叫び

物語は、しずかが「本当は 何が 欲しかったん だっけ――・・・」と、かつて願っていた「いなくならないお父さん」「おいしい給食」「いじわるのない学校」といったささやかな幸せを思い返す場面から始まります。しかし現実は非情で、チャッピーを探すために保健所へ行こうとし、「保健所の人の 胃の中も 調べなきゃ・・・」と常軌を逸した言動を見せるしずか。タコピーは「そんなこと したら・・・ 保健所の人が 悲しむっピ」「人を傷つける ようなこと しちゃダメっど」と必死に止めようとします。

タコピーの言葉をきっかけに、しずかの心は決壊します。「お父さん 知らない人 みたいな顔で 私のこと見てた」「一人で船に乗っちゃ ダメって言われたら どうすれば よかったの?」「ママが 帰って来なく なったときは どうすればよかった?」「私だけの お父さんじゃ なくなってたら えっじゃあ どうすれば よかったの?」「ノートがなくなったら どうすればよかったの ママ教えて くれなかったじゃん くさいって 言われても どこが くさいの? ねえ!!!」と、これまで誰にも言えなかったであろう疑問と怒り、そしてどうしようもなかった過去の出来事を次々とタコピーに叩きつけます。

さらに、「みんなに 怒られたら どうしたらいいの ねえパパに好きなときに 会えなくなったら どうすればいいの?」「授業参観 誰も来なくなったら どうすればいいの」「おうちに誰も いなかったら どうしたらいいの」「一体どうすればよかったって お前言ってんだよ!!!」「誰も 私のことなんて 見てなかった じゃん」と、孤独と絶望の中で誰にも助けを求められなかった心の叫びを吐き出すのでした。

タコピーの無力感と寄り添い

しずかの魂からの叫びに対し、タコピーは「ごめんっピ しずかちゃん ぼくには 難しくて・・・ わかんないっピ・・・」と自分の無力さを痛感します。「何もしてあげられ なくてごめんっピ」「でもいっつも 何かしようとして ごめんっど」「しずかちゃんの きもち 全然わかんな かったのに わかろうとしなくて ごめんっど」と、ただひたすらに謝罪を繰り返します。

しずかは「うるさい」「一人にして」とタコピーを拒絶し、「ママは 私のこと もう好きじゃ ないじゃん」「チャッピーも 戻らないじゃん もう全部 ダメなんじゃん・・・」と泣き崩れます。そんなしずかに対し、タコピーは何も言わず、ただ黙って彼女のそばに寄り添うのでした。

タコピーの最後のハッピー道具

しばらくして、タコピーは「ぼく 幸せだっピ」「こんなふうに しずかちゃんと 二人で ずーっと いっしょにいられて」と静かに語りかけます。そして、「実は思い出してた んだっピ」「ぼくだから きみに しずかちゃんに 見せたい とっておきの 道具が 一つだけ してあげられること あるんだっど!」と、最後の希望を提示します。

それは「ハッピーカメラ」。写真を撮り、その写真をカメラに読み込ませることで、「撮った瞬間に 戻ることが できる」という究極のひみつ道具でした。しかし、そのカメラは既に壊れており、もう一度だけ使うためには、タコピー自身を犠牲にする必要があることを彼は思い出していました。

しずかのために、タコピーの犠牲

「タコピーまで いなくなったら」と止めるしずかに対し、タコピーは「きみを ものすごい笑顔に してみせるっピ!」と決意を固めます。「いっしょに いられて 幸せだったっピ」「しずかちゃんが 笑えないのは やっぱり ダメだっピ から」と、しずかの幸せを心から願い、「太陽系 第三惑星 地球 ぼくの 大切な きみへ あのとき きっと きみが 本当に ほしいものが 手に入るように」という言葉と共に、感謝の言葉を繰り返しながら、自らの存在をかけてハッピーカメラを作動させます。

光と共にタコピーは消滅し、後には謎の染みだけが残されました。一人残されたしずかは「なんだっけ・・・」と呟き、物語の最後には「2016年の きみたちへ」というメッセージが示されるのでした。

まとめ【タコピーの原罪】第15話「しずかちゃん」を読んだ感想

第15話「しずかちゃん」は、息をのむような展開の連続で、特にしずかが抱えてきた壮絶な孤独と絶望が痛いほど伝わってくる回でした。彼女の心の叫びは、これまで彼女が見せてきた不可解な行動や言動の裏にあった、誰にも理解されず、助けを求めることすらできなかった深い悲しみを浮き彫りにしています。特に「誰も私のことなんて見てなかったじゃん」というセリフは、彼女の孤独の根源を象徴しており、読んでいて胸が締め付けられました。

そんなしずかの絶望に対し、タコピーがこれまでの「何かをしてあげよう」という行動ではなく、ただ「寄り添う」ことを選んだ場面は、彼にとっての大きな成長であり、ささやかな救いであったように感じます。そして、最終的にタコピーが選んだ自己犠牲による時間遡行という結末は、あまりにも切なく、そして重いものでした。

タコピーは最後まで「しずかちゃんに笑ってほしい」という純粋な願いを抱き続けていましたが、そのために自らを犠牲にするという選択は、彼なりの究極の「ハッピー」の形だったのかもしれません。彼が消える間際にしずかに伝えた感謝の言葉の数々は、短い時間ながらも二人の間に確かに存在した絆を感じさせ、涙なしには読めませんでした。

「2016年のきみたちへ」という最後のメッセージは、タコピーの犠牲によって、再び過去が改変されることを示唆しています。果たして、タコピーが願ったように、しずかちゃんは本当に欲しいものを手に入れ、笑顔を取り戻すことができるのでしょうか。それとも、また新たな悲劇が繰り返されるのでしょうか。物語がどのような結末を迎えるのか、最後まで見届けたいと思います。このエピソードは、愛情、孤独、罪、そして自己犠牲といったテーマを深く問いかける、忘れられない回となりました。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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