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【タコピーの原罪】第3話「まりなキングダム」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【タコピーの原罪】第3話「まりなキングダム」をネタバレありで解説する

前回、タコピーの学校での「冒険」と、しずかちゃんを巡るまりなとの緊迫した体育倉庫での対峙、そしてまりな自身の家庭環境の一端が描かれました。続くこの第3話「まりなキングダム」では、しずかちゃんの最後の心の支えである愛犬チャッピーを巡る出来事が中心となり、物語はさらに悲劇的な色合いを深めていきます。

束の間の穏やかな夜と、タコピーの不吉な記憶

物語は、しずかちゃんとタコピーが夜道を散歩する、一見穏やかな場面から始まります。しずかちゃんは、タコピーに「魔法もないし 神様だって いないんだーって」と、自身の両親の離婚という経験からくる諦観にも似た気持ちを吐露します。タコピーにとって、しずかちゃんがこんなにも心の内を話してくれたのは初めてのことで、二人の距離が少し縮まったかのように感じられました。 しかし、その夜はタコピーがしずかちゃんと出会って「6日目」。タコピーの記憶では、しずかちゃんが命を絶ったのは、その「次の日」、つまり7日目でした。そして、その時彼女はチャッピーの首輪だけを持って公園に現れた…チャッピー自身の姿はそこにはなかったのです。この不吉な記憶が、タコピーの心に重くのしかかります。

繰り返される悲劇:チャッピーとまりなの遭遇

翌日、タコピーの不安は的中します。しずかちゃんがチャッピーを散歩させていると、そこにまりなが現れ、執拗に二人を挑発し始めます。「汚物犬」「寄生虫とかアバズレにも犬飼う資格ってあるのかな」といった心無い言葉で、まりなはしずかちゃんとチャッピーを追い詰めていきます。そして、ついにチャッピーはまりなに噛みついてしまうのでした。 まりなの悲鳴、集まる人々、チャッピーに向けられる「怖い犬」という目。タコピーは、この悲劇的な流れを食い止めようと、「ハッピーカメラ」で何度も時間を遡り、散歩コースを変えるなど試みますが、その度にまりなはまるで運命に導かれるように現れ、結果は変わりません。タコピーは悟ります。「まりなちゃんが探して 会いに来てるからだっピか…」と。まりなの側にも、しずかちゃんたちに接触しようとする強い意志があることが示唆されるのです。

失われた心の支え:チャッピーとの別れ

度重なる失敗にもかかわらず、「ぼくがぜったい… きみを助けるっピ きみがずっとチャッピーといっしょに笑っていられるように…」とタコピーは新たな決意を固めます。しかし、その願いも虚しく、チャッピーはまりなを噛んだ犬として保健所に連れて行かれてしまいました。しずかちゃんの母親は、「母親は相当キレてるって」「余計な面倒起こさないでよ!」と、娘の悲しみよりも世間体を気にするばかりです。 唯一の心の支えだったチャッピーを失ったしずかちゃんの絶望は計り知れません。タコピーは「チャッピーを連れ戻して見せるっピ!」と励ましますが、彼女の心は固く閉ざされてしまいます。

最後の呼び出し:破滅への序章

学校でも、しずかちゃんは「クソ犬管理不行届 傷害女じゃん!!」などとクラスメイトから激しいいじめを受けます。そして放課後、まりなが再びしずかちゃんの前に現れ、「ちょっと話あるから顔貸してね」と、有無を言わせぬ口調で呼び出すのでした。 タコピーは、これを未だに「仲直りのチャンスかもしれないっピ」と、ハッピー星人の楽観的な思考で捉えてしまいます。そして、「今度こそふたりの仲直りを お手伝いするんだっピ!!」と、まりなの後を追うしずかちゃんを、さらなる悲劇が待ち受けているとも知らずに見送るのでした。この「まりなキングダム」というタイトルは、まりながしずかちゃんを精神的に支配し、追い詰めていく状況そのものを指しているのかもしれません。物語は、いよいよ破局へと向かっていきます。

【タコピーの原罪】第3話「まりなキングダム」を読んだ感想

今回の第3話「まりなキングダム」は、読んでいて本当に胸が締め付けられる展開でした。しずかちゃんにとって唯一の心の拠り所であったチャッピーが、まりなの執拗な挑発によって悲劇的な形で奪われてしまう過程は、あまりにも残酷で見ていられませんでした。

タコピーが「ハッピーカメラ」で何度も時間をやり直し、必死に運命を変えようとする姿は健気でしたが、まりなの側にも強い意志があることが示唆され、その努力がことごとく徒労に終わってしまう様子は、深い絶望感と無力感を誘います。タコピーの純粋な「助けたい」という気持ちと、人間の複雑な悪意や状況の深刻さとのギャップが、この上なく際立っていたように思います。

しずかちゃんの母親の冷淡な態度も、物語の重さを増しています。娘が心の支えを失い苦しんでいるにも関わらず、世間体や面倒事を避けることしか考えていないように見える姿は、しずかちゃんの孤独をより一層深めているように感じました。

そして、全てを失いかけたしずかちゃんを、まりなが再び呼び出す最後のシーン。タコピーがまだ「仲直りのチャンス」と信じている無邪気さが、これから起こるであろう更なる悲劇を予感させ、読者としてはただただ不穏な気持ちでいっぱいになりました。このエピソードは、登場人物たちが逃れられない負の連鎖に囚われていく様を強烈に描き出しており、次への展開が恐ろしくも気になって仕方がありません。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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