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【タコピーの原罪】第4話「タコピーの救済」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー

【タコピーの原罪】第4話「タコピーの救済」をネタバレありで解説する

前回、愛犬チャッピーを失い絶望するしずかちゃんに対し、まりなが追い打ちをかけるように放課後の呼び出しを告げたところで幕を閉じた第3話。続く第4話「タコピーの救済」では、ついに二人の少女の直接対決と、そこに介入するタコピーの行動が、物語に取り返しのつかない決定的な転換点をもたらします。

限界を超えた憎悪:まりなの絶叫としずかの諦観

放課後、人気のない場所に呼び出されたしずかちゃんに対し、まりなはチャッピーがいなくなったことを嘲笑い、「犬死んだけどどう?」と心無い言葉を浴びせます。その憎悪はエスカレートし、しずかちゃんの家庭環境や母親のことまで持ち出して罵倒し、ついには「お前にはババもいない 優しいママもいない 友達もいない 唯一同類のドブ犬も死んだ! お前 死んでよ」と、しずかちゃんの存在そのものを否定する言葉を叩きつけます。 まりなの形相は凄まじく、しずかちゃんはただ黙ってその暴力を受け止めるしかありません。その瞳からは生気が失われ、深い諦めが漂っているかのようでした。

タコピーの決断:悲劇を止めるための「勇気」

一部始終を隠れて見ていたタコピーは、恐怖と無力感に苛まれます。「しずかちゃん とっても痛そうだっピー! 早く助けないと…」。しかし、頼みの綱である「ハッピーカメラ」は故障したかのように動かず、時間を巻き戻すことはできません。 かつてしずかちゃんが「チャッピーがいれば私は大丈夫 何があったって平気なの」と語っていた言葉が、タコピーの脳裏をよぎります。その唯一の支えすら奪われ、今まさに心までもが壊されようとしているしずかちゃんを前に、タコピーはついに決意を固めます。「隠れて見てるだけじゃ きっと同じだっピね 勇気を 出さなきゃ」。そして、彼はまりなに向かって叫びながら突進していくのでした。「今度こそ ぼくが 助けるっピー――!」。

取り返しのつかない瞬間:まりなの死と壊れたカメラ

タコピーの必死の介入。しかし、次の瞬間、まりなはその場に力なく倒れ、動かなくなってしまいます。タコピーは何が起こったのか正確には理解できず、ただ狼狽します。「まりなちゃん 動かなくなっちゃったっピ 痛すぎたっピか…?」。彼は再びハッピーカメラを試しますが、やはりカメラは反応しません。それは、この出来事がもはや「やり直し」の効かない、決定的なものであることを示唆していました。

しずかちゃんの笑顔:歪んだ「救済」とタコピーの罪

動かなくなったまりなを前に、しずかちゃんの見せた反応は、タコピーにとっても、そして読者にとっても衝撃的なものでした。彼女は、恐怖や悲しみではなく、なんと満面の笑みを浮かべたのです。「タコピー すごいっ すごいすごい すごい」。そして、信じられない言葉を続けます。「私ねっ 実はずーっと思ってたの まりなちゃんいなくなればいいのにって」「でも本当に 叶っちゃった…」。 彼女にとって、まりなの死は長年の苦しみからの解放であり、タコピーの行動は「魔法みたい」な「救済」として映ったのです。そして、彼女はタコピーに最高の笑顔でこう言いました。「ありがとう タコピー 殺してくれて」。

「本当の物語」の始まり:7日目の告白

しずかちゃんの笑顔。それは、タコピーがずっと見たかったはずのものでした。しかし、その笑顔が「誰かの命を奪うこと」によってもたらされたという現実に、タコピーは初めて「殺す」という言葉の意味と重さを理解します。「やり直しのない ぼくの本当の物語が 始まったのは ここからだったっピ」。 この日は、タコピーが地球に着陸してから「7日目」。それは、最初の時間軸でしずかちゃんが自ら命を絶った日でもありました。タコピーはしずかちゃんの自殺は防ぎましたが、その代わりに、まりなを殺めるという取り返しのつかない「罪」を犯してしまったのです。この「タコピーの救済」というタイトルは、果たして誰にとっての「救済」だったのでしょうか。物語は、あまりにも重い十字架をタコピーに背負わせ、新たな局面へと進んでいきます。

【タコピーの原罪】第4話「タコピーの救済」を読んだ感想

第4話「タコピーの救済」は、これまでの鬱積した感情が一気に破滅的な形で噴出する、息をのむようなエピソードでした。まりなのしずかちゃんに対する罵詈雑言と暴力は、読んでいて本当に胸が悪くなるほどで、彼女自身の心の闇の深さを感じさせました。しずかちゃんの無抵抗な姿も痛々しく、彼女がどれほど追い詰められていたかが伝わってきます。

タコピーが「勇気を出す」と決意し、まりなに立ち向かうシーンは、彼の純粋な「助けたい」という一心から来た行動であることは理解できるものの、その結果があまりにも悲劇的で言葉を失いました。まりなが動かなくなり、タコピーが混乱する様子、そして頼りのハッピーカメラが動かない絶望感は、読んでいるこちらも共有させられるようでした。

そして、何よりも衝撃的だったのは、まりなの死に対するしずかちゃんの反応です。「ありがとう タコピー 殺してくれて」と笑顔で言うシーンは、彼女の精神が既に限界を超え、歪んでしまっていることを残酷なまでに示しており、本作のテーマの根深さを改めて感じました。彼女にとっては、それが唯一の「救済」に見えてしまったのかもしれないと思うと、やりきれない気持ちになります。

タコピーが「殺す」という意味を理解し、「ぼくの本当の物語が始まった」とモノローグで語る場面は、この物語の本当の主題がここから始まるのだという宣言のようであり、彼がこれから背負うであろう「罪」の重さに慄然としました。「タコピーの救済」というタイトルが、これほどまでに皮肉に響くとは思いませんでした。このエピソードは、善意と悪意、罪と罰、そして救済とは何かという根源的な問いを、強烈な形で読者に突きつけてきたと感じます。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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