【タコピーの原罪】第5話「東くんの介在」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【タコピーの原罪】第5話「東くんの介在」をネタバレありで解説する
前回、タコピーの介入によって雲母坂まりなが命を落とし、しずかちゃんがそれを見て笑顔を見せるという衝撃的な結末で幕を閉じた第4話「タコピーの救済」。続く第5話「東くんの介在」では、その現場にクラスメイトの東直樹(東くん)が現れたことから、事態はさらに複雑な様相を呈し始めます。彼の「介在」が、子供たちの運命を大きく左右していくことになるのです。
惨劇の目撃者:東くんの葛藤と正論
まりなが動かなくなってしまった現場に、「心配になってついてきちゃったんだけど…」と東くんが現れます。目の前の光景に言葉を失う彼に対し、しずかちゃんは淡々と「タコピーの魔法で まりなちゃんが死んだの」と告げます。タコピーが慌てて「ハッピー道具っピ!」と訂正するものの、東くんの動揺は隠せません。 「なんで殺すんだよ 他になんかあるだろ…」。東くんは、それが「殺人」であり、しずかちゃんが「少年院に入ることになる」という厳しい現実を突きつけます。彼の言葉は正論であり、事の重大さを理解しているからこそのものでした。しかし、しずかちゃんは「それじゃチャッピーに会いに行けない」と、警察に行くことを頑なに拒否します。
しずかの懇願:孤独が生んだ恐ろしい依頼
追いつめられたしずかちゃんは、東くんに「少年院に入りたくないから 他にどんなのがあるの?」と、罪を逃れる方法を尋ね始めます。他人に罪をなすりつける、罪を隠す…小説で読んだような知識を並べ、無邪気とも狂気とも取れる表情で東くんに助けを求めるしずかちゃん。 そして彼女は、東くんの心の弱さを見透かすかのように懇願します。「私友達もいないし ママにも頼れない… だから… 東くんに助けてほしいの」。さらには、「お兄ちゃんはできたのに きみはなんでできないのかなあ」と、彼が気にしている兄・潤也を引き合いに出し、彼の自尊心を巧みに揺さぶるのでした。
苦渋の決断:東くん、共犯者への道
しずかちゃんの必死の、そして巧みな言葉に、東くんの心は揺れ動きます。彼は、目の前で起こった出来事の異常さと、しずかちゃんの孤独と絶望を前に、ついに一線を越える決断をしてしまいます。「考えてみよっか!」「僕ならできる…」。それは、正しさよりも、目の前のしずかちゃんを「助ける」という歪んだ使命感に駆られた結果なのかもしれません。 東くんが考案した隠蔽計画は、タコピーのハッピー道具を利用するものでした。まず、まりなの遺体を「思い出ボックス」という何でも保存できる道具に入れて隠し、タコピーが「へんしんパレット」でまりなの姿に成り代わり、まりなとして生活することで失踪を装うというものでした。凶器(タコピー自身)はタコピーが体内に隠す、と。
偽りの「まりな」爆誕:タコピーの新たな試練
東くんから、まりなとしての振る舞い方や注意点(特に言葉遣い)を細かく指示されるタコピー。彼は、この異常な状況に戸惑いながらも、「しずかちゃんが笑ってくれるなら!」と、再び彼女のために尽くすことを誓います。 そして、まりなの姿になったタコピーは、まりなの家へと向かいます。しかし、彼を待ち受けていたのは、まりなの父親と母親が「タッセル」のことで激しく言い争う、修羅場のような光景でした。まりなの父親は「人の金でわけわかんねー趣味に使いやがって この寄生虫がっ!!!」と母親を罵倒しており、家庭が既に崩壊状態であったことをうかがわせます。
第5話が投げかけるもの:罪の共有と連鎖する不幸
「東くんの介在」というタイトルが示す通り、このエピソードでは東くんが物語に深く関与し始めます。しかし、その「介在」は、まりなを殺めてしまったタコピーとしずかちゃんを正しい道に導くのではなく、罪を隠蔽し、さらなる嘘を重ねるという負の方向へと進んでしまいました。 しずかちゃんの巧みな言葉によって、東くんもまた「共犯者」となり、三人は危険な秘密を共有することになります。そして、タコピーはまりなとして、彼女が生きていた「地獄」へと足を踏み入れることになったのです。子供たちの犯した罪は、彼ら自身の心を蝕み、周囲の人間関係をも歪めていくでしょう。この重苦しい連鎖はどこへ向かうのでしょうか。そして、東くんの本当の「介在」の意味とは何だったのか。物語は、ますます先の読めない展開となっていきます。
【タコピーの原罪】第5話「東くんの介在」を読んだ感想
第5話「東くんの介在」は、まりなを失った(殺めてしまった)後の、子供たちの混乱と危うい選択が生々しく描かれており、読んでいて非常に心がざわつくエピソードでした。東くんが登場した時、私は彼が二人を諌め、正しい方向へ導いてくれるのではないかと一瞬期待してしまいましたが、その期待はしずかちゃんの巧みな言葉によって打ち砕かれました。
しずかちゃんが、涙ながらに、しかしどこか計算されたように東くんに助けを求める姿は、彼女のしたたかさと追い詰められた人間の恐ろしさを感じさせました。特に「お兄ちゃんはできたのに」というセリフは、東くんの劣等感を的確に突き、彼を逃れられない状況に追い込んだように見えます。東くんが「僕ならできる…」と隠蔽工作に加担してしまう場面は、彼の優しさや弱さ、そして承認欲求が複雑に絡み合った結果なのでしょうが、あまりにも痛々しい決断でした。
タコピーがまりなの姿に成り代わり、まりなの家に入るラストシーンも強烈でした。これから彼が直面するであろう、まりなが生きてきた「地獄」を予感させ、まさに息を飲みました。まりなの両親が「タッセル」ごときで激しく罵り合っている姿は、この家庭の崩壊ぶりを象徴しているようで、まりなが抱えていたであろう孤独と絶望の一端に触れた気がします。
このエピソードを読んで、一つの嘘が次の嘘を呼び、罪が罪を重ねていく負の連鎖を強く感じました。子供たちだけで抱えるにはあまりにも重すぎる秘密。そして、その中心にいるタコピーの運命は…。純粋な願いがここまで事態を悪化させてしまうとは、本当に皮肉としか言いようがありません。物語の緊張感が一層高まり、彼らがどこへ向かってしまうのか、不安で仕方がありません。
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