【タコピーの原罪】第6話「東くんの冒険」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【タコピーの原罪】第6話「東くんの冒険」をネタバレありで解説する
前回、まりな殺害の隠蔽工作にクラスメイトの東直樹(東くん)が加担し、タコピーはまりなの姿で彼女の家へと向かいました。第6話「東くんの冒険」では、まりなの遺体埋葬という衝撃的な事実を抱えながらも、しずかちゃんたちは愛犬チャッピーを求め東京へ行く計画を立てようとします。その過程で、東くん自身の家庭環境と、彼の心の奥底にある葛藤が描かれていきます。
夏休みの約束:東京行き計画と東くんの不安
まりなを秘密裏に埋葬し、その事実を隠蔽しているという重圧の中で、しずかちゃんは夏休みになれば東京にいる父親のもとへチャッピーを探しに行くという計画を諦めていませんでした。東くんは、まりな殺害の共犯者として町を離れることのリスクを感じつつも、しずかちゃんの強い意志に押される形で、放課後に集まって作戦会議をすることになります。そんな中、タコピーはまりなの母親が口にしていた「りこんちょうてい(離婚調停)」という言葉の意味を無邪気に尋ねるのでした。
兄・潤也への複雑な感情とまりなの提案
東の兄・潤也は、成績優秀で親からも期待されている存在です。しかし東は、潤也が本当は裕福な家庭環境にありながら、わざと反抗するかのようにアルバイトをしたり、母親に心配をかけたりする態度に強い不満を抱いている様子です。 東は、「本当はバイトなんかする必要ないんだよ・・・!」「大人しく勉強だけしてればいいのに・・・ あいつは!誰よりもそれを望まれてるのに・・・」と心の中で兄への複雑な感情を吐露します。
この東の鬱屈した気持ちを、まりなは純粋ゆえのある意味で残酷な提案で後押ししてしまいます。潤也が大切にしているらしい指輪の話を聞いたまりなは、「取っちゃえばいいじゃん」と悪気なく口にするのです。 東は「それって窃盗」と一瞬ためらいを見せますが、まりなの言葉は彼の心に深く影響を与えたようです。
決行、潤也の指輪を盗むために
結局、東はまりなの言葉に乗せられる形で、兄・潤也の指輪を盗み出す計画を実行に移します。タコピーを連れて、自宅である「あずまクリニック」へ忍び込む東 。 彼の狙いは、潤也が唯一指輪を外す入浴の時間でした 。 普段は冷静な東ですが、この時の彼はどこか追い詰められたような、そしてまりなに認められたいというような危うい感情を抱えているように見受けられます。
潜入と発覚の危機
タコピーと共に兄の部屋へ侵入した東は、計画通り潤也の指輪を発見します 。 しかし、まさにその時、潤也が風呂から上がってくる音が聞こえてきました。万事休すかと思われた瞬間、窓から脱出し、東くんとタコピーは間一髪で難を逃れることができました。 この場面では、東の兄に対する「本当はほしいものなんて何だって手に入れられる くせに・・・」「普通ぶってるんだろう」 という心の声が、彼の劣等感や潤也への歪んだ憧憬を浮き彫りにします。
逃走と失敗、そして東の諦観
タコピーは秘密道具で窮地を脱しようとしますが、肝心なところでバッテリーが切れてしまい 、結局指輪を盗むことはできませんでした 。 作戦は失敗に終わり、東はどこか虚しさを感じているようです。
この「できなかった」という事実がトリガーとなり、東くんの脳裏に母親との記憶が蘇ります。テストの成績が悪かった東くんは罰ゲームとしてパンケーキが食べられず、母親は「また食べてもらえないね お母さんせっかく作ったのに」と静かに声をかけます。 優秀な兄・潤也はいつも100点だった、という言葉も添えられて 。 このやり取りから、東が家庭内で常に優秀な兄と比較され、息苦しさを感じている様子が伝わってきます。彼は「こういうのも 全部ムダ かなあ」 「何をやっても やっぱりキミは 僕のことを」 と、母親の期待に応えられない自分自身への諦めにも似た感情を抱いているかのようです。
冒険の終わりと残された謎
物語の最後は、冒頭のシーンへと繋がります。まりなと合流した東とタコピーは、二人とも泥だらけでぼろぼろの状態でした 。 まりなはそんな二人を見て「なに ふたりとも ぼろぼろじゃん」 と無邪気に笑います。 東にとって、今回の「冒険」は一体何だったのでしょうか。そして、この出来事は今後の彼らの関係にどのような影響を与えていくのでしょうか。読者に多くの問いを残し、第6話は幕を閉じます。
まとめ【タコピーの原罪】第6話「東の冒険」を読んだ感想
「タコピーの原罪」第6話を読んで、まず強く感じたのは東(直樹)の抱える心の闇の深さです。優秀な兄・潤也の存在は、彼にとって大きなプレッシャーであると同時に、複雑なコンプレックスの対象になっていることが痛いほど伝わってきました。母親からの期待も、彼を追い詰める一因となっているのでしょう。家庭という閉鎖された空間の中で、子供がどれほど息苦しさを感じ、歪んだ感情を抱えてしまうのか、改めて考えさせられる内容でした。
また、まりなの純粋さが時として残酷な結果を引き起こす可能性も、この話ではっきりと示されたように思います。彼女に悪気がないことは分かっていても、その無邪気な言葉が東を危険な行動へと駆り立ててしまう様子は、見ていてハラハラしました。子供の世界の無邪気さと残酷さは紙一重なのだと感じます。
潤也自身も何かを抱えているような描写があり、彼がなぜ周囲の期待とは裏腹な行動を取るのか、その理由も気になるところです。東の家庭環境、まりなとのいびつな関係、そしてタコピーの存在が、今後どのように絡み合い、物語が展開していくのか、目が離せません。今回の「東の冒険」は失敗に終わりましたが、この経験が東の心に何らかの変化をもたらすのか、それともさらなる闇へと彼を誘うことになるのか、今後の展開に注目したいと思います。
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