【タコピーの原罪】第7話「タコピーの告解」あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【タコピーの原罪】第7話「タコピーの告解」をネタバレありで解説する
前回の第6話では、東が兄・潤也への複雑な感情と、まりなの無邪気な後押しを受けて、潤也の大切な指輪を盗み出そうと試みました。タコピーと共に自宅へ忍び込みますが、潤也に気づかれそうになり、結局計画は失敗。この一件を通して、優秀な兄と比較される東の苦悩や、家庭環境が彼に与える歪んだ影響が色濃く描かれました。
今回は、その続きとなる第7話「タコピーの告解」で描かれた、登場人物たちの心の叫びと、明らかになる罪の深さについて詳細に解説します。物語は、さらに深刻な局面へと突き進んでいきます。
タコピーの道具とまりなの現実
タコピーは、「パタパタつばさ」では人間を乗せて東京まで飛べないという残念な事実をまりなに告げます 。これに対し、まりなは意外にも冷静で「別にいいよ そんな期待してなかったから」と答えます 。タコピーは気を取り直し、船や新幹線での移動と資金調達の計画を立て始めますが 、東くんはタコピーのハッピー道具の頼りなさに「なんでハッピー道具って そんなしょーもないんだよ」「よくそんなんで 地球に来ようと 思ったな ゴミだな」と呆れ気味です 。
タコピーは、ハッピー星には「大ハッピー時計」という時間旅行ができるすごい道具があると説明します 。それを聞いた東くんは「じゃあ今すぐそれ 持ってこい!!」「全部なかったことに できるじゃねえか」と強い期待を寄せますが 、タコピーはハッピー星に帰れないため、その道具を持ってくることは「ムリだっピ!」と答えるしかありませんでした 。希望が見え隠れするものの、結局は厳しい現実に直面するやり取りが描かれます。
不協和音、まりなの両親の激しい口論
場面は変わり、まりなの家では両親が激しく口論しています。父は母が自分の母親(まりなの祖母)の還暦祝いに来なかったことや、趣味の教室を「金にもならない主婦教室」と非難し、母は父のキャバクラ通いを責め立てます 。父は「俺が稼いだ金で 飲むのの 何が悪い!」と開き直り、家庭内の不協和音は頂点に達している様子です 。
そんな中、父はまりなに「なぁまりなパパのところに来るか?」と声をかけ、東京へ誘います 。まりな(タコピー)は「パパのところ!! 行きたいっピ」と無邪気に喜びますが 、母は「親権の話は もうついたでしょう」「育てる気もないくせに」と怒りを爆発させます 。両親の争いは、まりなの心をさらに引き裂いていきます。
タコピー語と母の苦悩
父との東京行きを喜ぶまりなは、タコピーの口癖である「~っピ」という言葉遣いを頻繁に使うようになります 。母はまりなの変化に気づき、「その喋り方 どうしたの?」「はしたないよ その言葉遣い 直せる? まりちゃん わかるよね」と心配し、厳しく注意します 。しかし、まりなは怯えながらも「ごめんっピ・・・」と答えてしまいます 。
母は、かつて素直だった頃のまりなを思い出し、「前はずーっと ママの味方で いい子でお話 聞いてくれたのに」「まりちゃん 変わっちゃったね」「こんな子は まりちゃんじゃない」と娘の変貌ぶりを嘆き、追い詰めていきます 。まりなは「違うのっ!!!!」「じゃあ直す 前のまりなに なるっ」「ちがう もうしない」と泣き叫び、混乱の極みに達します 。母は、まりな(タコピー)に向けて、「どこの誰だか 存じませんが まりなは お腹を 痛めて産んだ 大切な娘なんです お願いします まりなを 返してください」と涙ながらに訴えかけ 、そしてまりな自身にも「まりちゃん ごめんね いいママじゃ なかったよね 大好きだから お願い 帰ってきて・・・」と心からの叫びをぶつけます 。
タコピーの罪の告白
場面はまりなの部屋へ。そこで、家族や友達と一緒に撮られたまりなの小さい頃からの写真の前にして、涙を流します。タコピーは「殺して ごめんなさい・・・」「まりなちゃんじゃなくて ごめんなさい」「まりなちゃんのパパとママ いっしょにいられなくして ごめんなさい」と、自らの罪を告白します 。これは、まりなを死に至らしめてしまったこと、そしてその結果としてまりなの家庭環境を破壊してしまったことへの、痛切な後悔と謝罪の言葉でした。
タコピーの決意と衝撃的な言葉
タコピ—は、深く思い悩んでいました。「考えなきゃ」「ぼくは何をしちゃったのか、どうすればよかったのか」「これから どうすれば いいのか」と自問自答を繰り返します 。脳裏に蘇るのは「ありがとうタコピー、殺してくれて」と満面の笑みでこちらを向いているしずかちゃん。「それでしずかちゃんともう一度おはなししなきゃ」とタコピ—は決意を固めます。
そして、ついに…
時同じくして、場面は森の中へと移ります。そこでは、警察か地質調査員と思われる大人たちが何かを発見し、騒然となっています。彼らの驚愕した表情と、「おいおい これ何」「うわ」「え、 ヤバくね?」「子供…?」といった緊迫したセリフが飛び交い、その先には埋葬した「まりなの遺体」が発見されたのでした。
まとめ【タコピーの原罪】第7話「タコピーの告解」を読んだ感想
今回の第7話「タコピーの告解」は、息苦しい展開の連続で、読んでいるこちらも胸が締め付けられるような回でした。タコピーが犯した罪の告白は、彼の純粋さとは裏腹の行動の結果がいかに悲劇的であったかを改めて浮き彫りにしています。彼が地球に来た目的である「笑顔を広める」こととは程遠い現実が、ただただ悲しいです。
物語はこれまで以上に衝撃的で、救いのない方向へと舵を切ったように感じられます。特にタコピーの告白内容が、しずかではなく「まりなを死に至らしめてしまった」というものに変わった点は、物語の根幹を揺るがす大きな変化です。これにより、読者がこれまで抱いていたキャラクターの関係性や罪の所在についての認識が、大きく覆されることになります。
タコピーがまりなを殺害したという事実は、彼の純粋さや善意が招いた結果としてあまりにも残酷であり、彼の存在そのものが罪深いものであるかのような印象を強く受けます。まりなの写真の前で泣き崩れるタコピーの姿は痛々しいですが、その罪の重さを考えると、同情だけでは済まされない複雑な感情が湧き上がってきます。
さらに、「ありがとうタコピー、殺してくれて」と笑顔で語るしずかのイメージがタコピーの脳裏に蘇るという描写は、非常に異様で、物語に新たな謎と不気味さを加えています。この言葉がタコピーに「しずかちゃんともう一度おはなししなきゃ」という決意を抱かせる展開は、倒錯的でありながらも、キャラクターたちの深い孤独や歪んだ絆を感じさせます。
そして最後に、まりなの遺体が発見されるという結末は、もはや取り返しのつかない事態を決定的に示しており、絶望感を際立たせます。この発見が今後の物語にどのような影響を与えるのか、そしてタコピーや東がどのような運命を辿るのか、息をのむしかありません。
これまでの物語で感じられた、子供たちの純粋さ故の残酷さや、コミュニケーション不全が生み出す悲劇といったテーマに加え、より直接的な「罪」とその「告白」、そして歪んだ形での「救済」や「感謝」といった要素が絡み合い、読者の倫理観や感情を激しく揺さぶる回であったと言えるでしょう。常に印象的です。
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