【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】第10話をネタバレありで解説する
お互いを「もっと知りたい」と願ったユイとセレスト。第10話「手紙」では、その想いが行き交う、非常に感動的な展開が描かれます。ユイが初めて自分の言葉で綴った手紙が、二人の関係を新たなステージへと導きました。
「知っている」文字と、初めての笑顔
ヴァランティーヌによる文字の勉強が始まります。この世界の文字は、ユイが前世で知っていた文字と形は違うものの、その成り立ちを知っていたため、彼女は驚くべき速さで読み書きを習得していきます 。その姿にディシーも「すごい!」と目を輝かせます 。
勉強の最中、ユイは自然な笑みをこぼします 。ディシーに「ユイ 笑った!」と指摘されて初めて、自分が笑っていたことに気づくユイ 。それは、彼女が心から今の生活を楽しんでいる証拠でした。
たくさんの「ありがとう」を綴った手紙
文字の読み書きができるようになったユイは、いよいよセレストへの手紙を書き始めます 。彼女が震える手で綴ったのは、これまでの感謝の気持ちでした。「たすけてくれて ありがとう」「あったかいへや ありがとう」「おにく わけてくれて ありがとう」――。一つ一つ、彼がしてくれた全ての優しさを思い出しながら、懸命に言葉を連ねていきます 。
そこには、彼女が感じた温もりと、救われたことへの深い感謝が、まっすぐに込められていました。
「番だから」の先へ――交わされる約束
仕事を終えたセレストが戻り、ユイは彼に手紙を渡します 。一言一言、噛みしめるように手紙を読んだセレストは、深く心を動かされます 。彼は、自分がユイを助けたのは「『番だから』」という本能的な理由があったこと、そしてその感情に自分自身も戸惑っていることを正直に告白しました 。
しかし、前回の話で「番」について学んだユイは、もう彼の言葉に戸惑いません。そして、今度は彼女が彼を導くように、こう告げるのです。「わかるまで まって」と 。
あなた自身を好きになりたい
続けて、ユイは奇跡のような言葉を紡ぎました。
「私も ユイのことを知りたいです。番だからではなくて、ユイ自身を知ってあなたを好きになりたいのです」
それは、前話でセレストが自身に誓った想いと、全く同じ言葉でした。本能や運命だけでなく、一人の個人として相手を知り、関係を築いていきたい。二人の心が、ついに同じ場所で重なったのです。セレストは喜びと共に彼女を抱きしめ、「時間は沢山ありますから」と、焦らずに関係を育んでいくことを約束しました 。
叶わなかった夢と、今ここにある幸せ
二人が心を通わせる一方、ディシーもまた、今の幸せを噛みしめていました。彼女がいた村では、勉強はごく一部の人間の特権であり、友達と学校に通うような当たり前の日常は、決して叶わない夢だったのです 。
かつて夢見た、友達との穏やかな時間。それが今、ユイと共に勉強するという形で実現している。「だから 嬉しい」と微笑む彼女の姿は、彼女たちがどれほど大きな幸せを手に入れたかを物語っていました 。
まとめ【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】第10話を読んだ感想
第10話は、これまでの物語の集大成とも言える、涙なしには読めない回でした。ユイが綴った手紙の内容は、読者も彼女と共に体験してきた出来事ばかりで、その一つ一つに込められた「ありがとう」の重みに、胸が熱くなりました。
そして何より、ユイとセレストの心が通じ合うシーンは圧巻でした。ユイが口にした「あなた自身を好きになりたい」という言葉。それは、セレストが独りで抱えていた葛藤への、最高の答えだったのではないでしょうか。運命や本能に流されるのではなく、お互いの意志で関係を築いていこうと約束する二人の姿は、本当に美しかったです。
また、ディシーの視点が入ることで、彼女たちが手に入れた「勉強できる」という日常が、いかに奇跡的で幸福なことかが強調されていたのも見事でした。苦しい過去を乗り越え、ようやく手に入れた温かい時間。この幸せが永遠に続くことを、心から願わずにはいられません。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから
