【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】第12話をネタバレありで解説する
セレストとの穏やかな日常の中で、少しずつ前を向き始めたユイ。しかし第12話では、彼女に密かな憎悪を向ける人物の存在と、決して消えることのない過去の脅威が、再び彼女の身に迫ります。
「死刑宣告」――アデライドの歪んだ恋心
この物語は、メイドの少女・アデライドの視点から始まります。 彼女は、幼い頃から主人であるセレストに恋をしていました。 彼の真っ青な髪と金色の瞳に心を奪われ、いつしかその想いは膨れ上がっていったのです。
しかし、彼女は自分がセレストの「番」ではないことを理解していました。 だからこそ、彼が番を見つけたという知らせは、アデライドにとって恋の終わりを告げる「死刑宣告」にも等しいものだったのです。 自分があれほど努力しても振り向いてもらえなかったのに、どこからか現れた痩せっぽちの子供がその愛を独占している。 その事実が、彼女の心を嫉妬と憎しみで満たしていました。
過去との対峙、奴隷闘技場の聴取
一方、ユイはセレストに連れられ、警備隊の詰所を訪れていました。 かつて囚われていた奴隷闘技場についての、正式な聴取を受けるためです。 辛い記憶を話すことになるユイをセレストは心から心配しますが、ユイは「つらくない」と気丈に振る舞います。
聴取の担当官は、かつて闘技場でユイに蹴られた男性でしたが、彼はにこやかにユイを迎え、和やかな雰囲気で聴取が始まろうとしていました。
乱入者と、守られるべき存在
しかし、その穏やかな空気は、一人の乱入者によって打ち破られます。ドアを蹴破って現れたのは、ユイのかつての主人である獣人でした。 彼は「お前のせいで――」と、全ての元凶であるかのようにユイを睨みつけ、憎悪をむき出しにします。
その瞬間、セレストは即座に反応。ユイをその腕に抱き、あらゆる脅威から彼女を完全に守る体勢をとるのでした。 何があっても番を守り抜くという、竜人の本能と強い意志が感じられる一瞬です。
逃亡者と、残された震え
かつてセレストに「青い竜」と恐怖した記憶が蘇ったのか、獣人の主人はその場で暴れると、そのまま詰所から逃走してしまいます。
突然の出来事に、警備隊は騒然となります。そして、これまで気丈に振る舞っていたユイの体は、恐怖で小刻みに震えていました。 決して消し去ることのできない過去の恐怖が、すぐそこまで迫っていることを実感させられたのです。
憎悪の邂逅、迫りくる新たな脅威
その頃、セレストの邸宅では、アデライドが「なんであたしがあの子の洗濯なんか…」と、ユイへの憎まれ口を叩きながら洗濯物を干していました。
その背後に、ぬっと一つの影が現れます。詰所から逃走した、あの獣人の主人でした。彼はユイの匂いを追って、邸宅にまでたどり着いていたのです。 「八番の匂いがするな」 ――ユイを憎む二人の人物が、今、出会ってしまいました。 ユイにとって最も安全であるはずの家が、最も危険な場所に変わろうとしています。
まとめ【元戦闘用奴隷ですが、助けてくれた竜人は番だそうです。】第12話を読んだ感想
第12話は、これまで背景にいたメイドのアデライドに焦点が当たり、物語に新たな緊張感と深みが生まれた回でした。彼女の視点から語られる、セレストへの報われない恋心とユイへの嫉妬は、非常に人間臭くて生々しく、読んでいるこちらまで胸が苦しくなるようでした。
そして、その内なる脅威と並行して、かつての主人という外からの脅威が再び姿を現す展開には、息をのみました。安全な場所で過去の聴取をしていたはずが、その過去そのものが目の前に現れるという悪夢のような展開は、非常にスリリングです。
何よりも、ラストシーンの構成が見事でした。ユイを憎むアデライドと、ユイを追う元主人が出会ってしまうという最悪の邂逅。この二人が手を組んでしまったらどうなるのか…。ユイの身に新たな危険が迫っていることを予感させる、完璧なクリフハンガーだったと思います。次回の展開から一瞬たりとも目が離せません。
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