【問題な王子様】2話ネタバレ完全版

【問題な王子様】2話をネタバレありで解説する
第1話でトーマス・バーデンの非情な提案を拒絶し、父の存在を思い出したエルナ。第2話では、彼女が最後の望みを託し、11年ぶりに再会する父親に会うため、故郷バフォードを後にするところから物語が動き出します。一方、ビョルン王子は、相変わらずの奔放な日常の中で、新たなゴシップと元恋人との関係に揺れています。
夜明けの旅立ち、エルナの悲壮な決意
夜が明けきらぬ早朝、エルナは固い決意を胸に、シュベリン行きの始発列車が待つ駅のホームに立っていました。彼女の心は、期待と不安、そして何よりも愛する祖母を残していくことへの痛みで満ちていたことでしょう。祖母は、エルナが憎き婿であるウォルター(エルナの父)に助けを求めることを決して許さないであろう頑固な性格。そのため、エルナは祖母に真実を告げられず、置き手紙を残して家を出るという、淑女らしからぬ苦渋の選択をしました。
「お嬢さん、乗らないのか」という駅長のぶっきらぼうな声にハッとし、エルナは震える手でトランクを握りしめます。11年ぶりに会う父親は、彼女にとって最後の希望。しかし、門前払いされるかもしれないという恐怖も拭えません。「他人と変わらないどころか他人より劣る関係」と自覚しつつも、エルナは「運命を愛せ」という自身の人生のテーマを胸に、朝日の中で黒光りする威嚇的な鉄の塊――列車へと、震える一歩を踏み出します。それは、故郷を離れて14年ぶりの帰還であり、長く困難な旅の始まりでもありました。
車窓から流れる風景は、エルナにとって見慣れない都会の喧騒。びっしりと立ち並ぶ建物、クモの巣のように張り巡らされた道、そして行き交う多くの馬車と人々。その華やかさと複雑さに圧倒されそうになりながらも、「住所を知っているから何とか辿り着けるはず」と自身を鼓舞します。
ビョルンを巡る新たなゴシップと女性関係
一方、シュベリンのビョルン大公の日常は、エルナの切迫した状況とは対照的です。明け方帰宅し、昼過ぎに目覚めるという生活。そんな彼のもとに、息を切らしてやって来たのは、彼の恋人の一人であるフェレス家の令嬢でした。彼女が手にしていたタブロイド紙には、「元王太子夫妻復縁説。最側近たちの内密な情報提供単独入手」という扇情的な見出しと共に、ビョルンの写真が大きく掲載されています。
フェレス嬢は、記事の真偽を問い詰め、怒りを露わにしますが、ビョルンは眠気を隠せない様子で気のない返事を繰り返すばかり。やがて彼女は、「お別れしましょう」と切り出します。彼女は、ビョルンも自分を愛しており、この言葉で彼が引き止めると思ったのかもしれません。しかし、ビョルンは「ご結婚おめでとう、フェレスさん」とあっさり別れを受け入れ、彼女を愕然とさせます。ビョルンにとって彼女は「悪くない恋人」ではあったものの、それはあくまで「適度に線を引いて爽やかに楽しんだ後、各自の人生に戻る関係」という前提の上でのこと。タブロイド紙のグレディスの名前に興奮して押しかけてきた時点で、その関係は終わったのでした。
その後、ビョルンはフィツ夫人から、母親である王妃が王立病院の慈善パーティーのためにシュベリンを訪問すること、そしてそのエスコート役が自分であることを知らされます。
シュベリン中央駅での出会いの予感
エルナを乗せた列車は、やがて終着地であるシュベリン中央駅に到着します。多くの人々でごった返すプラットホームの喧騒に圧倒され、出口を見失いそうになるエルナ。その時、「あそこに来ている!」という誰かの叫び声に、群衆の視線が一斉に一点に集まります。エルナも思わずそちらに顔を向けると、人だかりの先頭に立っている自分と、向こうから歩いてくる長身の男性の姿を、ほとんど同時に発見するのでした。
この男性が誰なのか、そしてエルナの運命はこれからどうなっていくのか。第2話は、二人の主人公が同じ場所にいながらもまだ出会わぬ、まさに運命が交差する寸前の緊迫した場面で幕を閉じ、読者の期待を否が応でも高めます。
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