【問題な王子様】3話ネタバレ完全版

ずっちー

【問題な王子様】3話をネタバレありで解説する

第2話の終わり、シュベリン中央駅に降り立ったエルナは、雑踏の中で一人の長身の男性の姿を捉えました。この出会いはまだ運命の序章に過ぎません。第3話では、エルナが父の家を目指して慣れない都会をさまよう一方、ビョルン王子は社交の場で新たな火種に直面します。そして、二人の運命の糸が微かに触れ合う瞬間が描かれます。

駅でのすれ違いとビョルンの視線

多くの人々が行き交うシュベリン中央駅。ビョルン王子は、母である王妃を迎えに来ていました。人々の注目を集めることに慣れた彼は、颯爽とプラットホームを進みます。その時、彼の目に一人の女性の姿が留まります。それは、古風で野暮ったい花柄のドレスに、レースとリボンを過剰なほど飾り付け、帽子にも造花をあしらった小柄な女性でした。まるで前世紀から迷い込んできたかのようなその姿に、ビョルンは一瞬視線を長くしますが、特に気にかける風でもなく通り過ぎます。この女性こそエルナでしたが、この時点では互いに名も知らず、ただ雑踏の中ですれ違ったに過ぎません。

しかし、ビョルンはその女性の帽子の造花が「鈴蘭」であったことを記憶していました。それはかつて、彼の元妻グレディスが愛し、流行らせた花。「王太子妃の花」とまで呼ばれた鈴蘭を、流行遅れの姿で飾る女性の姿に、ビョルンは言いようのない不快感を覚えるのでした。

慣れない都会で父の家を探すエルナ

一方、エルナはシュベリンの広大さと人の多さに圧倒されながらも、父ウォルター・ハルディ子爵の家を探して歩き続けます。しかし、頼みの綱だった住所も広大な都市の中ではあまり役に立たず、彼女は道に迷い、日は暮れてしまいます。疲れ果てたエルナは、広場の中央にある噴水の前に座り込み、途方に暮れます。それでも、「落ち着いて優雅に。いつでもどこでも淑女のように」という祖母の教えを胸に、淑女としての品位を保とうと努めます。

生まれて初めて見るガス灯の灯りに一時心を奪われながらも、エルナは再び立ち上がり、夜道を歩き始めます。風に舞う花びらが雪のように美しい夜の街。その美しさが、かえってエルナの心細さを際立たせます。ようやくタラ大通りの西端に、かつて自分の家でもあったハルディ家の古風な邸宅を見つけたエルナは、ドレスの乱れを整え、できる限りの社交的な笑みを浮かべて、震える手で呼び鈴を押すのでした。

ビョルンを巡る新たな波紋と投資詐欺の噂

その頃、ビョルンは王立病院のチャリティーパーティーに出席していました。王妃をエスコートするという公務をこなしながらも、彼の周囲は元妻グレディスの帰還の噂で持ちきりです。妹のルイーゼは、兄が傷つけたグレディスのことをどう思っているのかとビョルンに詰め寄りますが、彼は「さあ」「最悪の夏になるというような意味ではないか」と皮肉を込めてはぐらかすばかり。その煮え切らない態度に、ルイーゼは憤りを隠せません。

パーティーの喧騒の中、ビョルンはテラスで友人たちと葉巻を燻らせています。そこで彼の耳に入ってきたのは、海外債券への投資詐欺が横行しており、多くの貴族が被害に遭っているという話でした。そして、その被害者リストの中に、エルナの父である「ハルディ子爵」の名前が挙がるのを、ビョルンは聞き逃しませんでした。この時はまだ、その名前が駅ですれ違った風変わりな女性と結びつくとは、彼自身も思っていなかったことでしょう。

第3話は、エルナがようやく父の家へとたどり着き、新たな生活(あるいは試練)の始まりを予感させる一方で、ビョルンは社交界の喧騒と不穏な噂の中で相変わらずの日々を送る姿を描きます。そして、駅でのほんの一瞬のすれ違いと、ハルディ子爵の名前という小さな接点が、やがて二人の運命を大きく手繰り寄せていくことになるのです。

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コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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