【壊職代行】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【壊職代行】第1話をネタバレありで解説する
今回ご紹介する「壊職代行」の第1話は、読者の心をえぐるような壮絶なパワハラの描写から始まります。物語の主人公と、彼を取り巻く絶望的な状況を詳しく見ていきましょう。
営業マン・鈴木貴広を蝕むブラック企業
物語は、株式会社フマホームに勤める25歳の営業社員、鈴木貴広(すずき たかひろ)が駅のホームに佇む場面から幕を開けます 。彼の表情は生気を失っており、「線路に飛び込めば…会社に行かなくてもよくなるかな?」と、自らの命を絶つことまで考えている様子が描かれます 。彼がこれほどまでに追い詰められている原因は、勤務先であるフマホームが、まさに地獄のようなブラック企業だからです。
会社では、営業主任である中宮健也(なかみや けんや)が日常的にパワハラを行っています 。鈴木が始業時間前に出社しても、「おっせーよ!」「2時間でも3時間でも早く来いよ!」と理不尽に怒鳴りつけられる毎日です 。中宮は「できない言い訳よりやる工夫」という言葉を盾に、部下を精神的に追い詰めることに何の躊躇もありません 。さらには、ノルマが未達成であることを理由に、鈴木が食べていたおにぎりを叩き落とし、「飯食う資格あるわけねーだろ」と罵倒する場面もあり、人間としての尊厳すら踏みにじられている状況がうかがえます 。
社長の愛人と噂される同僚の非道
この会社には、もう一人、鈴木を苦しめる存在がいます。それは、同僚の三木姫華(みき ひめか)です 。彼女は社長の愛人であると社内で噂されており、その立場を利用してやりたい放題の日々を送っています 。例えば、昼過ぎにのんびり出社してきても、誰も彼女を咎めることはできません 。
そして、彼女の魔の手は鈴木の仕事にまで及びます。鈴木が必死の思いで契約寸前までこぎつけた案件を、三木は「私にそれ…引き継がせてよ」「アンタにセクハラされたって騒いじゃおうかな?」と脅し、いとも簡単に横取りしてしまうのです 。社長がバックについているため、このような非道な行為がまかり通ってしまうのが、この会社の恐ろしい実態でした 。
逃げ道を塞がれた青年の悲劇
安い給料、過酷な業務、そして上司と同僚からの絶え間ないハラスメント 。まさに八方塞がりの状況ですが、鈴木には会社を辞められない理由がありました。それは、女手一つで自分を育ててくれた母親の存在です 。母の期待に応えたいという一心で、彼はこの地獄のような環境に耐え続けていたのです。
しかし、彼の苦しみは増すばかりです。ある夜、社長の間々田楓馬(ままだ ふうま)から接待への参加を強要されます 。その席では、アルコール度数の高いカクテルに火をつけた「フレイムカクテル」の一気飲みを強要されるなど、命の危険すら感じるパワハラが繰り広げられました 。
心身ともに限界を迎えた鈴木は、ついに社長に退職を願い出ます 。ところが、社長は「我が社が今人手不足なのは知ってるな?」「最後の人助けだと思って」と言葉巧みに彼を引き留め、退職を3か月待ってほしいと要求します 。人の良い鈴木は、自分が辞めることで誰かに負担がかかることを思い、この条件を飲んでしまいました 。
絶望の淵で出会った謎のサービス
しかし、これもまた社長の巧妙な罠でした。鈴木は営業職から外され、会社に寄せられる全てのクレームを一人で処理する「対応係」という名の地獄の部署に異動させられます 。疲労が蓄積する中、彼は取り返しのつかないミスを犯してしまいます。なんと、超大手取引先の重要な契約書を、誤ってシュレッダーにかけてしまったのです 。
社長はこれを好機とばかりに鈴木を追い詰めます。「我が社の信用はガタ落ちだ」「200億円払えるのか?」と脅し、さらには身元引受人である母親に責任を取らせると宣告します 。時を同じくして、三木は面白半分にレポーターを装い、鈴木の実家へと向かっていました 。
その結果、鈴木の母親は自殺未遂を図り、病院へ搬送されるという最悪の事態に発展します 。全てを失い、自らもビルの屋上から身を投げようとしたその瞬間、鈴木のスマートフォンに一件の通知が届きます 。
「壊職代行を必要としていませんか?」
それは、単なる退職代行サービスとは一線を画す、不気味なメッセージでした。藁にもすがる思いで、鈴木は憎い会社と上司たちの名前を打ち込み、送信します 。すると、彼の目の前に、火室静香(ひむろ しずか)と名乗る謎の女性が現れるのです 。彼女は静かに、しかし力強く告げました。
「退職なんて生易しいものじゃありません」「ブラック企業を代わりに『壊』す」「壊職代行サービスです」
地獄の底で出会ったこのサービスは、果たして鈴木にとっての救いとなるのでしょうか。それとも、新たな地獄の始まりを告げるものなのでしょうか。物語は、息を呑むような展開で幕を閉じます。
まとめ【壊職代行】第1話を読んだ感想
第1話を読んで、まず感じたのは胸が締め付けられるような息苦しさです。主人公の鈴木さんが置かれている状況は、あまりにも過酷で、読んでいて何度も目を背けたくなりました。上司の中宮や同僚の三木によるパワハラは非常に生々しく、ブラック企業の非情さ、理不尽さがこれでもかと伝わってきます。
特に、鈴木さんがお母さんを思う気持ちが、かえって彼自身を苦しめる鎖になっている描写は、読んでいて本当に切なかったです。真面目で優しい人間が、その優しさ故に搾取され、追い詰められていく姿は、現代社会の闇を象徴しているようにも感じました。
物語の終盤、全ての希望を失った鈴木さんのもとに現れた「壊職代行」という存在。このネーミングからして、ただごとではない雰囲気が漂っています。「退職」ではなく「破壊」を代行するという過激なコンセプトに、これからの展開への期待が一気に高まりました。最後に現れた火室静香というキャラクターもミステリアスで魅力的です。彼女がこれから、腐りきった会社と性悪な上司たちを相手にどんな「破壊」を見せてくれるのか、今後の爽快な逆転劇を心から期待せずにはいられません。絶望から始まる、かつてない社会派エンターテイメントの開幕を強く感じさせる第1話でした。
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