【復讐の王子様】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【復讐の王子様】第1話をネタバレありで解説する
今回から始まる物語「復讐の王子様」は、衝撃的なモノローグから幕を開けます。 「女として生きることが こんなにつらいなら 次の人生は男がいい」 。 この悲痛な願いは、一体どのような状況から生まれたのでしょうか。第1話では、主人公が置かれた壮絶な環境と、彼女の内に秘めた絶望が描かれます。
壮絶ないじめを受ける主人公・宇佐美響子
物語の舞台は、ある中学校の冬です 。主人公の宇佐美響子(うさみ きょうこ)は、「ブサイクな私はいじめられている」 という言葉通り、クラスメイトから容赦ないいじめを受けていました。
容姿を理由にした卑劣な嫌がらせ
教室へ向かう廊下で、響子は男子生徒から「この馬面!」 と罵倒されます。彼女の容姿を動物にたとえ、からかうことは日常茶飯事のようです。 いじめを主導しているのは、クラスの中心的な存在である千石玲奈(せんごく れいな) と柳萌絵(やなぎ もえ) たちです。響子が「千石さ…」 とか細い声で助けを求めようとしても、玲奈は「は?きも!人の名前呼ばないでよ」 と吐き捨てます。
さらに萌絵は、響子を殴りつけた上で、「も〜お馬さんは人間の言葉しゃべっちゃダメじゃん ヒヒ〜ンでしょっ!」 と嘲笑うのです。そして、いじめはさらにエスカレートしていきます。萌絵は、うさぎ小屋から持ってきたという人参を響子の口に無理やり押し付け、「お馬さ〜ん エサの時間ですよぉ〜」 と言い放ちます。これは、人間としての尊厳を完全に踏みにじる、あまりにも卑劣な行為です。
無関心なクラスメイトと機能しない教師
これほど酷いじめが行われているにもかかわらず、響子に救いの手は差し伸べられません。
見て見ぬふりをする周囲
教室の他の生徒たちは、いじめの様子を遠巻きに眺めているだけです。「…ブサ美 またやられてるね」 、「仕方ないよ ブスで貧乏なんて… そりゃ玲奈たちにターゲットにされるでしょ」 といった言葉から、クラス全体に響子を見下す空気が蔓延していることがわかります。誰も彼女を助けようとはせず、むしろいじめられるのが当然であるかのように扱っているのです。この状況は、響子の孤立をより一層深めています。
いじめを止められない教師
そこへ教師が入ってきて授業が始まることで、いじめは一時中断します 。しかし、教師はいじめの現場を直接目撃したわけではなく、根本的な解決にはなりません。玲奈たちは「いいところだったのに」と残念がるだけで、何一つ反省していない様子です 。響子は教師に「…早く席につきなさい」 と促され、屈辱に耐えながら席に着くしかありませんでした。
唯一の救いである母への想いと、隠された絶望
学校で地獄のような日々を送る響子ですが、彼女には別の顔がありました。
成績優秀な「もう一つの顔」
教師から平家物語の冒頭の暗唱を突然指名された響子 。クラスメイトがいじめるために落書きした教科書を手にしながらも 、彼女はよどみなく答えてみせます。「祇園精舎の鐘の音には 『万物は変わりゆく』ことを知らせる響きがある…」 。 教師は「さすが学年トップの宇佐美だ」 と彼女を褒め称えます。実は、響子はいじめの標的にされながらも、学年でトップの成績を維持する秀才だったのです。
母の前で見せる笑顔と嘘
家に帰ると、母親の和子(かずこ)が優しく迎えてくれます 。母から「今日の学校はどうだった?」と聞かれた響子は、辛い出来事をおくびにも出さず、「楽しかったよ!先生に褒められたし…あと小テスト満点だったの!」 と笑顔で嘘をつきます。 その言葉を聞いた母は、「まぁ!!」「本当に自慢の娘だわ」 と心から喜び、響子を抱きしめます。母は響子の貧しい家庭環境を「いつも貧しい想いをさせてごめんね」 と詫びますが、響子にとって母の存在こそが唯一の光なのでした。
しかし、その母を悲しませたくない一心で、彼女は真実をひた隠しにします。 「言えない この容姿でいじめられていることは 絶対に言えない」 。 このモノローグは、母への深い愛情と、誰にも打ち明けられない孤独な苦しみを抱える響子の悲痛な叫びです。物語の冒頭にあった「次の人生は男がいい」という願いの背景には、このような壮絶な現実があったのです。果たして、彼女のこの絶望に光は差すのでしょうか。
まとめ【復讐の王子様】1話を読んだ感想
第1話を読んで、まず胸を締め付けられたのは、いじめの描写のあまりのリアルさと陰湿さです。特に、容姿を動物にたとえて嘲笑し、挙句の果てには人参を無理やり食べさせるという行為は、一人の人間の尊厳を徹底的に破壊するものであり、読んでいて強い憤りと痛みを感じました。
一方で、主人公・響子の健気さと、その裏に隠された絶望の深さに心を揺さぶられます。学校ではあれほどの屈辱に耐えながら、家では母親を心配させまいと必死に明るく振る舞う姿は、痛々しくも、彼女の強さと優しさを感じさせます。しかし、「絶対に言えない」と固く心を閉ざす彼女の姿に、この物語が単なるいじめの告発で終わらない、深い闇を抱えていることを予感させられました。
学年トップの秀才であるという設定が、今後の展開にどう関わってくるのか、非常に気になるところです。この知性が、彼女の「復讐」の武器となるのでしょうか。そして、タイトルの「復讐の王子様」とは一体誰なのか。この地獄から響子を救い出すヒーローが現れるのか、それとも響子自身が誰かを守る「王子様」へと変貌を遂げるのか。様々な想像が膨らみ、早くも続きが気になって仕方がありません。希望の見えない暗闇から始まったこの物語が、どこへ向かっていくのか、固唾を飲んで見守りたいと思います。
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