【復讐の王子様】17話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【復讐の王子様】第17話をネタバレありで解説する

第16話のラスト、睡眠薬で眠らされた玲奈のスマホを手に、不敵な笑みを浮かべていた響。そして、再び玲奈のSNSは炎上します。第17話では、響が仕掛けた復讐の罠の全貌と、玲奈を心身ともに崩壊させる、あまりにも悪魔的な手口が明らかになります。

公開処刑ライブ

二度目の炎上の渦中、玲奈が目にしたのは、響が一人で行う緊急ライブ配信でした。

捏造された「裏アカウント」

配信で、響は悲痛な面持ちで語り始めます。「もう知ってると思うけど 玲奈が浮気をしていた」。彼が視聴者に示したのは、玲奈のものとされる「裏アカウント」のスクリーンショットでした。そこには、「今の彼氏マジ退屈すぎて飽きた」「めちゃくちゃ激しくしてくれる人募集♡」など、響との関係を嘲笑い、他の男を求めるかのような、下品な投稿が並んでいました。決定的だったのは、その投稿に使われていた写真が、紛れもなく玲奈の部屋で撮影されたものだったことです。

悲劇のヒーローと涙の別れ

響は、この「証拠」を前に、完璧な悲劇のヒーローを演じきります。彼は涙を浮かべ、「俺…本当にお前のことが好きだったよ」と、配信を見ているであろう玲奈に語りかけます。そして、「けどごめん…」「別れよう」と、全国の視聴者の前で、公開で玲奈に別れを告げたのです。コメント欄は響への同情と、玲奈への非難で溢れかえりました。「公開処刑お疲れ〜」というコメントが、この復讐の残酷さを物語っています。

真実の叫び、届かぬ声

一方的な断罪に、玲奈の怒りは頂点に達します。

泥沼の反論配信

「ふざけんなよ！」「真実を言ってやる！」と、玲奈は自らライブ配信を開始。彼女は、裏アカウントの存在を真っ向から否定し、「響がやったのよ！」「響がいた日に寝ちゃって…その時にスマホを勝手に触って偽アカを作ったんだわ…っ」と、必死に無実を訴えます。

自滅する女王

しかし、彼女の悲痛な叫びは、誰にも届きませんでした。コメント欄は「被害者ぶってんじゃねえ」「二股の時点で信用できない」といった誹謗中傷で埋め尽くされます。追い詰められた玲奈は、ついに理性のタガが外れ、視聴者に向かって「お前らのほうがブスだろうが！」「いつもブスが私の人生の足引っ張りやがって！！！」と、暴言を吐き散らしてしまうのです。この様子は、もちろん全て配信されていました。「出たー！本性ww」「顔よくても性格ブス」というコメントが、彼女の社会的生命が完全に絶たれたことを示していました。

全ては悪夢だったのか？

あまりの屈辱に、玲奈は絶叫しながら配信機材を破壊します。しかし、次の瞬間、物語は読者の予想を裏切る、最も恐ろしい真実を明らかにします。

薬が見せた地獄

激しい怒りの発作の後、場面は玲奈の部屋へと切り替わります。響が、ベッドで眠る玲奈を優しく揺り起こしているのです。「ちょっとアンタ何したのよ！」と怒鳴る玲奈に、響は「すごいことになってるんだけど」と、彼女のスマホを見せます。 そう、響のライブ配信も、玲奈の反論配信も、その後の炎上も、全ては響が飲ませた睡眠薬によって、玲奈が見せられていた悪夢だったのです。

現実の炎上

しかし、それは決して、ただの夢ではありませんでした。玲奈が悪夢の中で体験した通りの「裏アカウント」は、彼女が眠っている間に、響の手によって現実に作成され、投稿されていたのです。彼女は、自らの公開処刑を悪夢として追体験させられた後、その悪夢が現実になった世界で、今、目を覚ましたのでした。

まとめ【復讐の王子様】17話を読んだ感想

第17話は、これまでの復讐劇の中でも、群を抜いて残酷で、そして巧みな回でした。ただ相手を破滅させるだけでなく、「破滅していく自分自身の姿を、悪夢として見せる」という、響のあまりにもサディスティックな手口には、恐怖で鳥肌が立ちました。

玲奈が必死に無実を訴え、しかし誰にも信じてもらえず、ついには逆上して自滅していく様は、読んでいて非常に心が痛みました。しかし、それら全てが、彼女が眠っている間に見せられていた幻覚だったと明かされた瞬間の衝撃は、計り知れません。響は、玲奈の肉体的な自由を奪った上で、その精神を、最も残酷な形で弄んだのです。

この復讐劇の恐ろしさは、玲奈が「自分が何をしたのか」を正確に認識できない点にもあります。彼女が目覚めた時、世界はすでに炎に包まれている。しかし、その火を放ったのは、紛れもなく自分自身（のスマホ）なのです。この逃げ場のない状況は、まさに生き地獄と言えるでしょう。

響の復讐は、もはや単なる仕返しではありません。それは、相手の心を最も深く傷つける方法を熟知した、芸術的なまでの心理的拷問です。第二のターゲット・玲奈の心は、こうして完全に破壊されました。次なるターゲットは誰なのか、そして、響はこれ以上、どれほど残酷な復讐を見せてくれるのか。物語の闇は、ますます深く、魅力的になっていきます。

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コマさん（koma）

野生のライトノベル作家

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社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》