【復讐の王子様】19話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【復讐の王子様】第19話をネタバレありで解説する
第18話のラスト、復讐の王子様・美馬響(みま ひびき)に「復讐の調子はどうだい?」と声をかける謎の男。その正体と、彼が響に協力する理由が、第19話でついに明らかになります。物語は、響の復讐劇の裏に隠された、もう一つの悲劇を映し出します。
協力者の正体と過去
響の協力者、それはこの学校の養護教諭・緑原誠也(みどりはら せいや)でした 。彼が響の復讐に手を貸す背景には、一年前に起きた、ある生徒との出会いがありました。
養護教諭・緑原誠也
緑原先生は、数年前に妻に先立たれ、娘の凛(りん)と二人で暮らす心優しい養護教諭です 。名門校での多忙な日々を送りながらも、娘の成長を支えに、真面目に職務を全うしていました 。
いじめられっ子・響子との出会い
物語は、響がまだ「宇佐美響子」だった一年前の夏へと遡ります。その日、緑原先生は、廊下で千石玲奈と柳萌絵に突き飛ばされ、泣きじゃくる響子を発見します 。彼女のただならぬ様子を見て、緑原先生は何があったのかを問いただしました 。響子は、「あの2人にいじめられて…」と、勇気を振り絞って打ち明けます 。
正義の挫折と悪魔の脅迫
生徒からの悲痛な訴えを聞いた緑原先生は、教師として、そして一人の大人として、正義感に燃えます。
機能しない正義
緑原先生は、玲奈と萌絵を保健室に呼び出し、いじめの事実を問いただします 。しかし、彼女たちは「イジメなんかするわけないでしょ」「ぼっちのアイツと仲良くしてあげてるだけだって〜」と、悪びれる様子もなく嘲笑うだけでした 。反省の色が見られない彼女たちに対し、緑原先生は「このことは僕から学校に報告する」と告げます 。ところが、二人は「はーウケる 勝手にすれば?」「どうなっても知らないけど♡」と、余裕の表情を崩しませんでした 。
黒幕・妃菜乃の登場
彼女たちの自信の根源は、この学校の理事長の娘であり、いじめの黒幕である鴨志田妃菜乃(かもしだ ひなの)の存在でした 。彼女は、緑原先生の前に静かに現れると、「あなたのようないじめだと勘違いした愚かな教師がその教師は結局退職に追い込まれました」「先生も不用意な発言は謹んだ方が身のためですよ」と、冷たく脅迫します 。
「可憐な花を摘みたくなる」
妃菜乃の脅威は、緑原先生の最も大切なものにまで及びます。彼女は、緑原先生の愛娘・凛について、その個人情報を詳細に述べた上で、「まるで可憐な花のような子ですね」と評します 。そして、「私…時折そんな可憐な花を摘んでしまいたくなるんです」「宇佐美さんみたいに―――」「お嬢さんも仲良くしてあげましょうか?」と、凛を次のいじめのターゲットにすることを匂わせ、彼の正義を完全に封じ込めたのです 。
こうして、愛する娘を人質に取られ、正義の道を閉ざされた緑原先生。彼の内に秘められた怒りと無力感が、時を経て、響という最強の駒を得たことで、静かなる復讐の協力へと繋がっていったのでした。
まとめ【復讐の王子様】19話を読んだ感想
第19話は、響の協力者である緑原先生の過去が明かされる、非常に重厚で心を揺さぶられる回でした。彼が単なる協力者ではなく、響子と同じように、妃菜乃たちによって尊厳を踏みにじられ、正義を挫かれた「もう一人の被害者」であったという事実に、物語の深みと悲劇性が一層増したように感じます。
特に、妃菜乃が緑原先生の娘を人質に取り、彼の正義感を無力化するシーンは、彼女の悪魔性を改めて浮き彫りにしていました。彼女は、物理的な暴力だけでなく、人の最も大切なものを利用して心を支配する、真のサイコパスです。こんな相手に、一教師である緑原先生が立ち向かえなかったのも無理はありません。
緑原先生の存在は、この復讐劇が、もはや響子一人の個人的な恨みによるものではなく、学校にはびこる巨大な悪と、それに立ち向かおうとする者たちの物語であることを示唆しています。彼は、自らの手では果たせなかった正義を、生まれ変わった響に託したのでしょう。
響と緑原先生。傷つけられた二つの魂が、復讐という目的で結びついた。この新たな関係性が、今後の物語にどのような影響を与えていくのか。そして、妃菜乃という巨大な悪に対し、彼らはどのように立ち向かっていくのか。物語は、次のターゲットへの復讐だけでなく、学校全体の構造悪との対決という、より大きなステージへと進んでいくことを予感させ、期待が最高潮に達しました。
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