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【復讐の王子様】37話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【復讐の王子様】第37話をネタバレありで解説する

前回、響(ひびき)への復讐心から、黒幕である鴨志田妃菜乃(かもしだ ひなの)に、まさかの共闘を提案した千石玲奈(せんごく れいな)。第37話では、その提案に対する妃菜乃の冷酷な答えと、彼女の歪んだ価値観が、いかにして形成されたのか、その恐るべき原点が描かれます。

提案の拒絶

響を潰すため、自らが再び「手駒」となることを申し出た玲奈。しかし、妃菜乃の反応は、彼女の期待とは全く異なるものでした。

「身の程をわきまえなさい」

「その代わり条件があるわ」「失った私の美貌を取り戻したいの」。玲奈の提案に対し、妃菜乃は「穢らわしい」「身の程をわきまえなさい」と、冷たく一蹴します。かつては美しさという利用価値があった玲奈も、引きこもり、変わり果てた今の姿では、妃菜乃にとって何の価値もない、ただの「醜い豚以下」でしかなかったのです。

「この世は美しさこそが全て」

用済みとなった駒に興味を失い、妃菜乃は静かに部屋を後にします。その背中は、「この世は美しさこそが全てだというのに」と、彼女の絶対的な価値観を物語っていました。では、なぜ彼女は、これほどまでに「美」に固執するのでしょうか。物語は、その原点である、彼女の幼少期へと遡ります。

黒幕・妃菜乃の原点

そこには、一人の美しい母親と、その母親から歪んだ「教育」を受ける、幼い妃菜乃の姿がありました。

母からの「教育」

幼い頃、妃菜乃には「フーちゃん」と呼ぶ仲の良い友達がいました。しかしある日、その友達と遊んでいるところを母親に見つかり、激しく叱責されます。その理由は、あまりにも衝撃的なものでした。「ブスがうつるでしょ!」。母親は、友達の容姿を激しく侮辱し、妃菜乃にこう教え込むのです。

植え付けられた価値観

いい?妃菜乃 この世は美しさが全てなのよ!」。大好きな母親からのその言葉を、幼い妃菜乃は絶対的な真理として受け入れます。彼女の異常なまでの美醜へのこだわりは、この母親からの「刷り込み」によって形成されたものでした。

歪んだ「正しさ」の実践

母親の教えは、妃菜乃の行動を、そして人格を、確実に歪めていきます。

親友との決別

後日、学校の入学式で、かつての親友「フーちゃん」が妃菜乃に駆け寄ってきます。しかし、妃菜乃は母親の教えを守り、「イヤッ 近寄らないで!」と、彼女を突き飛ばしてしまうのでした。

母からの「褒美」

娘が友達を突き飛ばしたにもかかわらず、妃菜乃の母親は、相手の親の前で一切謝罪をしません。そして、二人きりになると、迷惑をかけたと謝る妃菜乃を、こう言って褒め称えるのです。「謝る必要なんかないわ」「ブスには近寄らないってママの言いつけをちゃんと守ったんでしょ?」「偉いわ 妃菜乃」。この母親からの「褒美」が、妃菜乃の中で、「醜いものを差別し、排除することは正しいことなのだ」という、恐るべき価値観を決定的にしてしまったのです。

まとめ【復讐の王子様】37話を読んだ感想

第37話は、ラスボスである妃菜乃の、人間性の根幹に迫る、非常に重要で、そして恐ろしい回でした。彼女の冷酷さが、生まれつきのものではなく、母親からの歪んだ英才教育によって後天的に作り上げられたものであったという事実は、物語に新たな悲劇の層を加えました。

特に、妃菜乃の母親が発した「ブスがうつる」というセリフには、強烈な嫌悪感と恐怖を覚えました。美しさこそが至上であり、そうでないものは存在価値すらないという、その排他的な思想。そして、それを実の娘に何の疑いもなく教え込む姿は、真の悪魔はむしろこの母親の方ではないかとさえ思わせます。

この過去を知ったことで、妃菜乃というキャラクターが、単なる悪役ではなく、歪んだ教育の「被害者」でもあるという、複雑な側面が見えてきました。もちろん、彼女がしてきたことは決して許されるものではありません。しかし、彼女自身もまた、母親という名の呪いに縛られた、哀れな存在なのかもしれません。

響の復讐は、ついに、全ての元凶である妃菜乃へと向かいます。しかし、彼女の背後には、さらに巨大で、根深い「悪の価値観」が存在していました。響は、この母娘が作り上げた、美醜による差別と支配の連鎖を、断ち切ることができるのでしょうか。物語は、最終決戦を前に、そのテーマ性をより一層深めています。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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