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【復讐の王子様】38話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【復讐の王子様】第38話をネタバレありで解説する

前回、黒幕・鴨志田妃菜乃(かもしだ ひなの)の、美醜に対する異常なまでの執着が、母親からの歪んだ教育によるものであることが明かされました。第38話では、その母親が、妃菜乃の人生を、そして響(ひびき)の復讐計画を、大きく揺るがす存在として、ついにその本性を現します。

母親の歪んだ愛情と期待

妃菜乃の価値観は、全て母親によって作られたものでした。

「醜い者」への敗北は許されない

回想シーンは続きます。妃菜乃が、テストで学年2位になった時、母親は激怒しました。その理由は、2位だったからではありません。「あんな醜い顔の女に負けるなんて…っ」。彼女が負けた相手が、かつての「宇佐美響子」であったことが、母親の逆鱗に触れたのです。母親にとって、自分の「美しい」娘が、「醜い」者に劣ることは、決して許されない「恥」なのでした。

「美しい者」への敗北は許される

場面は現代に戻ります。妃菜乃の母親は、最近の学力テストの結果に目を通していました。そこで、妃菜乃がまたしても2位であったことを知ります。しかし、母親の反応は、かつてとは全く違うものでした。今回、妃菜乃を打ち負かし、1位に輝いたのは、あの美馬響だったからです。「中等部の頃みたく醜い子に私の娘が負けるなんて許せないけど…」「彼のような美しい子なら仕方ないわ」。母親のこの言葉は、彼女の価値観の全てを物語っていました。

新たな「お気に入り」

妃菜乃の母親の関心は、もはや娘にはなく、その視線は、学園に現れた新たな「美」の象徴、美馬響へと注がれていました。

響に魅了される母

母親は、入学式で見た響の美しさが忘れられない、と興奮気味に語ります。そして、「あのルックスを活かして私の経営サロンの広告モデルになってもらうのはどうかしら?」と、彼をビジネスに利用することまで考え始めます。「ああ 考えるだけで夢が広がるわ〜〜!!!」と恍惚の表情を浮かべる母親。その挙句、「あんな息子が欲しかったわ」と、娘である妃菜乃の前で、平然と言い放つのでした。

娘への無関心と嫉妬の芽生え

母親からの、あまりにも無神経な言葉。それは、妃菜乃の心に、静かですが確実な、嫉妬の炎を灯します。母親の教えを忠実に守り、「美しく」あろうと努めてきた彼女が、その母親自身から、響という「より美しい存在」を理由に、その価値を否定された瞬間でした。

投げかけられた最悪の提案

しかし、母親の暴走は、まだ終わりません。

響との「交際」の勧め

母親は、妃菜乃に対し、「あの子が彼氏だったら美男美女できっとお似合いだと思うんだけど」と、響との交際を勧めます。この提案に、妃菜乃は、響のこれまでの行いを暴露することで、母親の関心を逸らそうと試みました。「彼はお母様が考えているような人物ではありません」「入学してわずか半年ですでに2人と付き合い別れています」。

逆効果の忠告

しかし、その忠告は、最悪の形で裏目に出ます。「何をやってるのよ妃菜乃!」。母親は、響ではなく、妃菜乃を叱責し始めたのです。「あれほどの逸材を他の女に横取りされるなんて…っ!」「まったく私の娘として自覚が足りなさすぎるわ!」。響の素行の悪さなど、彼女にとっては些細なこと。それよりも、娘が「美しい男」を手に入れられなかったことの方が、よほど大きな問題なのでした。

まとめ【復讐の王子様】38話を読んだ感想

第38話は、ラスボスである妃菜乃が、実に皮肉な形で、自らが信奉してきた価値観によって追い詰められていく様が描かれた、非常に痛快な回でした。美しさこそが全てだと信じてきた彼女が、その母親から、「もっと美しい存在」である響と比較され、その価値を否定される。これ以上ないほどの、皮肉な展開です。

そして、妃菜乃の母親の、底知れぬモンスターぶりが、恐ろしくも魅力的でした。彼女の言動は、常軌を逸しており、もはやギャグの領域にすら達しています。しかし、その歪んだ価値観が、妃菜乃という、もう一人のモンスターを生み出した元凶であることを考えると、その罪の重さを感じずにはいられません。

響は、まだ妃菜乃に対して、直接的な攻撃を何も仕掛けていません。ただ、「美しく、優秀な存在」として、彼女の前に現れただけ。それだけで、妃菜乃の足元は、最も信頼していたはずの母親によって、静かに、しかし確実に崩され始めているのです。

母親の期待を一身に背負い、響への対抗心を燃やす妃菜乃。彼女が、響を自らの手で支配するため、次にどのような行動に出るのか。復讐の最終章は、響と妃菜乃の直接対決だけでなく、この恐るべき母娘の関係性をも巻き込みながら、より複雑で、より面白い展開へと進んでいくことを確信させる、素晴らしい一話でした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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