【復讐の王子様】45話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【復讐の王子様】第45話をネタバレありで解説する
前回、黒幕である鴨志田妃菜乃(かもしだ ひなの)の母・蘭子(らんこ)に、自らを「助けるべき薄幸の美少年」として売り込むことに成功した、復讐の王子様・美馬響(みま ひびき)。第45話では、ついに復讐の舞台が敵の本拠地である鴨志田家へと移ります。リビングという密室で繰り広げられる、母と娘、そして王子様の、恐ろしい心理戦の火蓋が切られました。
敵地への潜入
響の計画は、順調すぎるほどに進んでいました。
母のお気に入り
妃菜乃が家に帰ると、そこには、自分の母親である蘭子と楽しげに談笑する響の姿がありました 。すっかり響を気に入った蘭子は、彼を「新しい秘書」として家に招き入れていたのです。自分の知らないところで、着々と外堀を埋められていたことを知り、妃菜乃は響への警戒心を一層強めます。
完璧な王子様の「演技」
そんな妃菜乃の敵意を、響は完璧な演技でいなします。「妃菜乃さんのことは学校でよく見かけてたから一度話してみたいと思ってたんだ」と、爽やかな笑顔で語りかける響 。さらに、妃菜乃の愛想のない態度を母親が咎めると、「気にしないでください」「凛とした佇まい 俺は素敵だと思いますよ」と、逆に彼女を褒め称えるのです 。そして、「さすがカリスマ経営者蘭子さんのお嬢さんだけあって人を惹きつける魅力がありますね」と、すかさず母親の蘭子を持ち上げることも忘れません 。
娘の「妨害」と、母の「逆鱗」
響の完璧な立ち振る舞いに、妃菜乃は危機感を募らせます。
夕食への誘い
すっかり上機嫌になった蘭子は、「今日はうちでお夕飯食べていかない?」と、響を夕食に誘います 。響がその申し出を「お言葉に甘えて…」と受けようとした、その時でした 。
墓穴を掘る一言
「お母様」「無理にお誘いしない方がよいのでは?」。妃菜乃は、なんとかして響を追い返そうと、母親を制止します。そして、彼女は、決して言ってはならない一言を口にしてしまうのです。「過度に親しくてお母様に変な噂がたってしまうことがあれば…」 。
母親の激昂
この一言は、蘭子の逆鱗に、真正面から触れてしまいました。「中年女が色気づいて気持ち悪いってこと?」 。自らの「美」と「若さ」を侮辱されたと感じた蘭子は、激昂します。「この私に向かって…失礼極まりないわ!!」「大体あなたにオバサン扱いされる覚えはないのよ!」 。妃菜乃の妨害は、母娘の間に、修復不可能な亀裂を生む、最悪の一手となってしまいました。
去り際の쐐기(くさび)
母と娘の醜い口論。それすらも、響にとっては計画の一部でした。
王子様の「退却」
響は、険悪になった雰囲気の中、「俺のせいで変な雰囲気にしちゃってすみません…」「…やっぱり今日は帰ります」と、自ら身を引きます 。この「健気な」態度は、蘭子の目には、娘のせいで傷つき、帰っていく可哀想な美少年、としか映りません。
残された絶望
響は、去り際に「お気持ちは本当に嬉しかったです」と蘭子に感謝を述べると、呆然とする妃菜乃に「またな」と、勝利宣言ともとれる一言を残して去っていきます 。妃菜乃は、自分が完全に、そして美しく出し抜かれたことを、この時ようやく悟るのでした 。
まとめ【復讐の王子様】45話を読んだ感想
第45話は、響の復讐計画が、物理的な破滅から、より陰湿な「精神的な破滅」へと、そのステージを移行させたことを示す、見事な一話でした。敵の本拠地に乗り込み、ターゲットが最も執着する「母親の愛情」を、目の前で奪い去っていく。その手口の鮮やかさと残酷さには、読んでいて思わず唸ってしまいました。
特に印象的だったのは、妃菜乃が、自らが信奉する「美しさ」という価値観の信者である母親によって、その存在を脅かされるという、皮肉な構図です。彼女は、響の策略によって、自分がこれまで他者に対して行ってきた「選別」を、今度は自分がされる側に立たされてしまったのです。
響の計算し尽くされた立ち振る舞いも見事でした。妃菜乃を褒めているようで、その実、母親である蘭子を喜ばせる。全ての言動が、母娘の間に亀裂を生じさせるための、完璧な布石となっています。
母親からの愛情という、最大のアイデンティティを揺さぶられた妃菜乃。彼女は、このまま黙って、響に全てを奪われてしまうのでしょうか。それとも、新たな、そしてより凶悪な反撃に打って出るのでしょうか。家族という、最も近くて、最も厄介な人間関係を舞台にした、最終決戦の幕開けに、目が離せません。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから
