【復讐の王子様】8話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【復讐の王子様】第8話をネタバレありで解説する
第7話のラスト、復讐の王子様・美馬響(みま ひびき)は、最初のターゲットである柳萌絵(やなぎ もえ)を孤立させ、共に帰るという絶好の機会を手に入れました。第8話では、響が甘い言葉と巧みな嘘で萌絵の心を完全に掌握し、彼女を破滅へと導く罠の全貌が明らかになります。
甘い言葉と偽りの告白
二人きりの帰り道、響は萌絵の心の隙間へと容赦なく踏み込んでいきます。
劣等感を的確に突く囁き
萌絵は、ずっと抱いていた疑問を響にぶつけます。「なんで萌絵に友達になろうって声かけたの…?」 、「前の席に玲奈…美人がいたでしょ?」 と。これは、常に玲奈の引き立て役だった彼女の、心の叫びにも似た問いでした。 これに対し、響は完璧な答えを用意していました。「そうかな?俺は萌絵の方が可愛いし好きだけど」 。そして、「他人がどうとか比べる必要ないよ」「俺は萌絵がいいと思ったから声をかけたんだ」 と、彼女の存在そのものを肯定する言葉をかけます。誰よりも玲奈と比べられ、劣等感を抱いてきた萌絵にとって、この言葉はまさに魔法でした 。
同情を誘う「俳優の夢」
萌絵の心を掴んだ響は、すかさず次の罠を仕掛けます。彼は、「俺…俳優目指してるんだ」 と、自らの「夢」を打ち明けます。しかし、それは輝かしいだけの夢ではありません。「うちあまり裕福じゃなくてさ」 と家庭の事情を匂わせ、夢を追うためのお金に苦労していること、バイトをしている間にライバルと実力差が開いていく焦りを吐露します 。そして、「萌絵にしか言ったことないからすごく嬉しいよ」 と付け加え、二人の間に「秘密の共有」という特別な絆を作り上げたのです。
罠にかかった蝶
響の巧みな話術に、萌絵はすっかり心を奪われてしまいます。
「私が王子様のパトロンに!」
「やっぱり響は萌絵の王子様なんだ」 。そう確信した萌絵は、彼の夢の障害がお金であると知るやいなや、とんでもない提案をします。「萌絵が援助するよ!」 。彼女は、響を俳優にするために、自分がお金を出すと申し出たのです 。その動機には、響への純粋な好意だけでなく、「響と繋がれたら玲奈だって見返せる」という、歪んだ対抗心も含まれていました 。
デビュー後の「交際」という約束
この申し出に対し、響はダメ押しの一言を放ちます。「ありがとう」「俺がデビューできたら付き合おう」 。この甘い約束に、萌絵の喜びは頂点に達しました 。彼女は、自分がついに物語の「お姫様」になれたのだと、幸せを噛みしめます。
破滅へのカウントダウン
響の思惑通り、萌絵は彼の「夢」を応援するため、湯水のように金銭を使い始めます。
束の間の幸福と浪費
響のために服や靴を買い与え、食事をご馳走する日々 。萌絵は、響と一緒にいる時の周りの女子生徒たちの羨むような視線に優越感を覚え、「こんなのもう付き合ってるようなもんだよね〜」と幸福感に浸っていました 。
父親にバレた多額の請求
しかし、その夢のような時間は長くは続きません。ある日、幸せな気分で自室にいた萌絵の元に、激怒した父親が乗り込んできます 。その手には、一枚の紙が。 「このカード決済の金額はなんだ!」 父親が突き付けたのは、萌絵が響のために浪費した、多額のカード利用明細でした。響が仕掛けた罠が、ついに萌絵の家庭を揺るがす時限爆弾となって炸裂した瞬間でした。
まとめ【復讐の王子様】8話を読んだ感想
今回の第8話は、復讐の王子様・美馬響の恐ろしいまでの策略家ぶりを堪能できる回でした。彼が使う武器は、暴力ではなく、ただひたすらに甘く、相手が最も言ってほしいと願う言葉の数々。萌絵の劣等感を見抜き、そこを的確に突いて彼女の心を掌握していく手腕は、もはや芸術の域です。
特に、「萌絵の方が可愛いし好きだ」というセリフは、残酷なまでに完璧でした。それは萌絵にとって最高の救いであると同時に、響にとっては計算し尽くされた嘘。この甘美な毒で萌絵を骨抜きにしていく過程は、読んでいてゾクゾクしました。
また、萌絵が自ら「パトロン」を申し出る展開も見事でした。響は一度もお金を無心していません。ただ、自分の「弱さ」を見せ、同情を誘うことで、萌絵が自発的に金銭を差し出すように仕向けたのです。彼女の「玲奈を見返したい」という承認欲求と、裕福な家庭環境という長所そのものを、破滅の道具として利用した手口には舌を巻きます。
そして迎えた、最高に痛快なラストシーン。幸せの絶頂にいた萌絵が、父親の怒声によって現実に引き戻される瞬間は、まさに天国から地獄。最初の復讐が、これほど鮮やかに、そして相手の土俵の上で完遂されたことに、言いようのないカタルシスを覚えました。最初のターゲットを陥れた響が、次に誰を、そしてどのように地獄へ落とすのか。期待は高まるばかりです。
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