【枯れた花に涙を】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【枯れた花に涙を】第10話をネタバレありで解説する
「知り合い」になったことで、蓮(れん)からのメッセージが届くようになった樹里の日常。第10話では、彼のたわいのない言葉が彼女の心に温かな光を灯す一方で、元夫・鉄平の歪んだ支配欲が再び彼女を苦しめます。そして物語のラストでは、蓮の秘められたもう一つの顔が、不穏な炎の中に浮かび上がります。
偽りの優しさと歪んだ支配欲
蓮からの「暖かくして出かけてくださいね」というメッセージに、樹里は思わず笑みをこぼします 。彼の存在が、色褪せた彼女の日常に「爽やかな青草の香り」をもたらしているかのようです 。しかし、そんな束の間の安らぎは、鉄平の帰宅によって無残にも打ち砕かれます。
「さすがは俺の嫁」の裏側
キッチンに立つ樹里を、鉄平は背後から優しく抱きしめます 。そして、彼女が作った味噌汁を味見すると「うまい」「さすがは俺の嫁」と甘い言葉を囁くのでした 。しかし、彼の心の中は冷めきっています。その優しさは愛情からではなく、ボロアパートで自分のために食事を作る樹里の姿を「気の毒に感じた」からに過ぎなかったのです 。
「浮気すると夫婦の絆が強くなる」という思考
鉄平の思考は、さらに歪んだ領域へと達しています。彼は、自分が外で何をしようと、樹里は一途に自分だけを見つめ続けると確信しており、「浮気をするとむしろ夫婦の絆が強くなるってのは案外本当なのかもな」とさえ考えているのです 。
支配の道具としての性
そして、彼の偽りの優しさは、結局のところ自身の欲望を満たすための布石でした。「一回だけやろうぜ」と、彼は樹里に体を求めます。樹里が仕事を理由に抵抗すると、彼は彼女を組み敷き、「こういうときに困ってるのを見るのがたまんねぇんだよな」と、その支配欲を露わにするのです 。最終的には解放するものの、彼のモノローグは樹里を「美しくて、つまらない花」と完全に見下しています 。
二人の女性を天秤にかける男
鉄平の身勝手さは、二人の女性との関係にも表れています。
樹里との退屈な買い物
ある日、樹里とショッピングに出かけた鉄平 。彼女がブランドのバッグの値段に驚くのを見て、彼は心の中で彼女を嘲笑います 。ブランドに疎い樹里といても、つまらない。彼の本心はそこにありました 。
西野(亜里沙)への甘い誘い
その一方で、彼は同僚の西野亜里沙とは軽薄なメッセージのやり取りを続けています 。そして、香水を買うという目的のために、樹里ではなく彼女を誘うことを決めるのです 。二人の女性を、自分の都合のいいように使い分ける。彼の狡猾さが際立つシーンです。
闇に燃える炎―蓮のもう一つの顔
物語のラスト、場面は夜の路地裏へと移ります。そこには、これまでに見せたことのない冷徹な表情を浮かべた蓮の姿がありました。
穏やかなメッセージの裏で
蓮は、クラブのような場所で友人と過ごしている間も、樹里とのメッセージのやり取りを思い出しては、穏やかな笑みを浮かべています 。しかし、彼の内面には、誰も知らない深い闇が広がっていました。
燃え盛る写真と冷徹な眼差し
夜の闇の中、蓮はライターで一枚の写真に火をつけます 。炎に包まれ、燃え落ちていく写真。それが何を写したものかは明確には描かれませんが、彼の冷たい瞳は、彼が単なる心優しい青年ではないことを物語っています。これは、彼が計画する何かの始まりを告げる狼煙なのでしょうか。
まとめ【枯れた花に涙を】10話を読んだ感想
第10話は、鉄平という人間の浅ましさと、蓮の底知れない謎が交錯し、息をのむような緊張感が続く回でした。鉄平が樹里に囁く甘い言葉と、その裏にある冷酷な本音のギャップには、もはや嫌悪感を通り越して恐怖すら感じます。「浮気で絆が深まる」という彼の思考回路は常軌を逸しており、彼が樹里に与える精神的ダメージの深さを改めて思い知らされました。
そんな絶望的な状況の中で、蓮から届く短いメッセージが、唯一の救いのように感じられます。彼の言葉一つひとつが、乾いた樹里の心に潤いを与えているのが伝わってきて、読んでいるこちらも温かい気持ちになりました。
しかし、その穏やかな気持ちは、ラストの衝撃的なシーンで一変します。冷たい瞳で写真を燃やす蓮の姿は、彼が抱える闇の深さを感じさせ、これまでの優しい彼とのギャップに鳥肌が立ちました。彼が燃やしていたのは一体何なのか。これは樹里を救うための行動なのか、それとも全く別の目的があるのか。物語は新たなサスペンスの扉を開き、次回の展開が全く予想できなくなりました。
◁前の記事はこちらから

▷次の記事はこちらから
