【枯れた花に涙を】11話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
スポンサーリンク

【枯れた花に涙を】第11話をネタバレありで解説する

「あなたのしたいようにしてください」 。第10話で蓮(れん)が樹里にかけたこの言葉は、彼女の心に深く根を張り、凍てついた日常に変化の兆しをもたらします。しかし、そのささやかな希望の光を覆い隠すように、元夫・鉄平の暴虐と、蓮の恐るべき真の目的が牙を剥きます。

「自分へのプレゼント」―枯れた心に咲いた一輪の薔薇

蓮との出会いは、樹里の心に確実に影響を与えていました。彼の言葉が、彼女に忘れていた感情を思い出させます。

蓮が教えた「自分を大切にする」こと

蓮と別れた後、樹里は彼の言葉を何度も反芻します。「返信が来なかったら悲しいじゃないですか」 という、少し拗ねたような彼の言葉。そして、「自分のしたいようにしてください」という、彼女のすべてを肯定するような温かい一言 。他人のためだけに生きてきた彼女にとって、それは世界の見え方を変えるほどの力を持っていました。

初めての、自分のための花

その日、仕事帰りの樹里は花屋に寄り、たった一輪の赤いバラを自分のために購入します 。蓮が毎日花を買う理由を「不遇な環境でも花ぐらい買っていい」と語ったように、樹里もまた、自分自身にささやかな彩りを与えることを決意したのです 。自宅のテーブルに飾られたバラを見て、彼女は「たった1本だけで家の中が生き生きして見えるわ」と、心の底から微笑むのでした 。

無慈悲な一言―希望を踏みにじる鉄平

しかし、そのささやかな幸せは、鉄平の帰宅によって瞬く間に踏みにじられます。

「無駄遣い」

亜里沙(西野)とのデートの後、家に帰ってきた鉄平は、テーブルに飾られた一輪のバラを見つけます 。そして、それが樹里が自分のために買ったものだと知ると、嘲笑うかのように言い放ちました。

無駄遣い

この一言は、蓮が与えてくれた「自分を大切にする」という希望の光を、真正面から否定するものでした。樹里の中で、何かが音を立てて崩れ始めます。

「どうせ子どもできねえ体だろ?」

さらに鉄平の暴虐は続きます。彼は樹里を力ずくで組み敷き、体を求めます 。樹里が「今日は危険日だから」と必死に抵抗すると、彼は耳を疑うような言葉を彼女に浴びせかけました。

黙れよ。どうせ中出ししても子どもできねえ体だろ?

それは、人として決して口にしてはならない、魂を殺す言葉でした。この瞬間、樹里の心は完全に壊れてしまいます。

「偶然」ではなく「必然」―蓮の恐るべき計画

物語の最後、視点は再び蓮へと移ります。友人たちが、樹里との度重なる出会いを「偶然」や「運命」とはしゃぐ中、彼の心の中では、冷徹なモノローグが響いていました。

全ては仕組まれていた

「偶然?それともまさか運命とか?」 。友人たちの言葉を、蓮は心の中で否定します。

この世に偶然なんてものは無いから。結末は初めから決まっている

あなたを撃ち抜くたった一つの偶然のために、コツコツと積み重ねてきたたくさんの必然が、すべての必然が

これまでの全ての出会いは、彼によって緻密に計算され、仕組まれたものだったのです。

「君が涙する結末」

そして、彼の真の目的が、最も恐ろしい形で明かされます。彼が望んでいたのは、樹里の幸せではありませんでした。

すでに見えてるじゃないか。君が涙する結末が

救世主だと思われた蓮の本当の顔は、樹里を絶望の淵へと突き落とすための、冷酷な脚本家だったのです。

まとめ【枯れた花に涙を】11話を読んだ感想

第11話は、感情がジェットコースターのように揺さぶられる、まさに息もつかせぬ展開でした。前半、樹里が自分のために一輪のバラを買うシーンは、彼女が長いトンネルの出口にようやく手をかけたようで、心から嬉しく思いました。蓮の言葉がきっかけで、彼女が自分自身を大切にするという、当たり前で、しかし彼女にとっては最も難しかった一歩を踏み出せたことに、胸が熱くなりました。

だからこそ、その後の鉄平の仕打ちはあまりにも許しがたいものでした。「無駄遣い」という言葉だけでも十分に心を抉るのに、「子どもができない体」という暴言に至っては、もはや言葉もありません 。人間の尊厳をここまで踏みにじれるものかと、鉄平というキャラクターに対する怒りで全身が震えるようでした。

そして、その絶望をさらに深い場所へと突き落とす、ラストの蓮の独白。彼が救世主ではなく、復讐者、あるいはもっと得体のしれない存在であったという事実に、頭が真っ白になりました。これまでの優しさや気遣いが、すべては「樹里が涙する結末」のための布石だったとは…。この見事などんでん返しに、ただただ圧倒されました。全てのピースがはまった時、一体どんな恐ろしい絵が完成するのか。最高の形で裏切られた今、この物語がどこへ向かうのか、一時も目が離せません。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【枯れた花に涙を】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【枯れた花に涙を】10話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【枯れた花に涙を】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【枯れた花に涙を】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
スポンサーリンク
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました