【枯れた花に涙を】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【枯れた花に涙を】第12話をネタバレありで解説する
鉄平の裏切りという残酷な現実を突きつけられ、心に深い傷を負った樹里。第12話は、そんな彼女の前に再び救世主のように蓮(れん)が現れ、その強引で不器用な優しさが、彼女の凍てついた心を少しずつ溶かしていく様子が描かれます。
シャツに残された裏切りの痕跡
悪夢のような夜が明け、樹里はまた変わらない日常を始めようとします。しかし、鉄平が残した裏切りの証拠が、彼女の心を静かに、しかし確実に蝕んでいました。
見つけてしまった口紅
ある朝、樹里は洗濯物を畳んでいる最中、鉄平のシャツの襟に自分のものではない鮮やかな口紅が付着しているのを見つけてしまいます 。その瞬間、彼女の心臓は冷たく凍りつきます。
必死の自己弁護
「他の女がつけたものだというのは明らかだった」 。そう頭では理解しながらも、彼女の心は必死に現実を否定しようとします。「きっと何かやむを得ない事情か、ハプニングがあったに違いない」 。そう自分に言い聞かせなければ、正気でいることすらできなかったのです。
割れたコップと心の悲鳴
心の動揺は、彼女の手元を狂わせます。何気なく置いたコップが床に落ちて粉々に砕け散る音は、まるで彼女の心の叫びのようでした 。駆けつけた同僚に「大丈夫よ」と気丈に振る舞う彼女ですが、その内側では「流れることのできない涙で息が止まりそうだった」のです 。
深夜のコンビニ、ヘルメット越しの告白
心身ともに疲れ果て、コンビニの深夜バイトに勤しむ樹里。そんな彼女の前に、一人のバイク乗りが客として現れます。
バイクで現れた救世主
ヘルメットを被ったまま、何も買わずにただカウンターを見つめる謎の客。樹里が訝しんでいると、彼は静かにヘルメットのシールドを上げます。そこにいたのは、紛れもなく蓮でした 。
「名前で呼んでもいいですか?」
蓮は、声の代わりにスマートフォンのメモ画面を彼女に向けます。そこに表示されていたのは、「名前で呼んでもいいですか?」という、あまりにも純粋な問いかけでした 。彼の少し変わった、しかしロマンチックなアプローチに、樹里は戸惑いを隠せません。
再びの「叱られたいの?」
そして彼はヘルメットを完全に脱ぐと、いたずらっぽく微笑み、あの言葉を口にするのです。 「…叱られたいの?」
この言葉は、もはや二人の間の特別な合言葉のように、彼女の心に響きます。
「一番おいしいものを選んでください」
樹里が夕食をまだ食べていないことを知った蓮は、彼女を強引に食事に誘います。
強引で優しい食事の誘い
「そんなバイトやめなさいよ」と心配する蓮に、樹里は「辞めるわけにはいかないんです」と力なく答えるのが精一杯でした 。そんな彼女の姿を見て、蓮はこう提案します。
「もう手を下げていいから、なんでも食べたいもの選んで。お弁当とかカップラーメンくらいなら奢ってあげるから」
お金の心配をする樹里に、彼は「そこまで頼りない男じゃありませんよ」と優しく、しかし有無を言わさぬ態度で彼女を導くのです 。
彼が差し出した選択肢
蓮は、樹里をコンビニの商品棚の前まで連れて行くと、こう言いました。 「この中で一番おいしいものを選んでください」
これは単なる食事の誘いではありません。これまで自分のことを常に後回しにしてきた樹里に、「あなた自身の意思で、あなたの好きなものを選んでいい」という、自己肯定の機会を与えてくれる、蓮なりの最大限の優しさだったのです。
まとめ【枯れた花に涙を】12話を読んだ感想
第12話は、鉄平によってどん底まで突き落とされた樹里の心が、蓮の不器用で真っ直ぐな優しさによって、ほんの少しだけ救われる、そんな光と影が交錯する回でした。シャツに残された口紅を見つけ、必死に現実から目をそむけようとする樹里の姿は、読んでいて胸が張り裂けそうでした。
そんな絶望の中に、バイクに乗って颯爽と現れる蓮の姿は、まさにヒーローそのもの。スマホのメモ機能を使った告白や、「叱られたいの?」という合言葉のような問いかけは、彼のユニークなキャラクターを際立たせ、暗い物語の中に微笑ましい瞬間を生み出していました。
特に心に残ったのは、蓮が樹里に「一番おいしいものを選んでください」と促すシーンです 。これは、自己犠牲に慣れきってしまった彼女に「自分を大切にすること」を思い出させるための、彼の愛情表現なのだと感じました。ただ甘やかすのではなく、相手の魂を救おうとする彼の深い優しさに、心を打たれました。
鉄平という呪縛から、樹里は逃れることができるのか。そして、蓮が差し伸べた手は、彼女を本当の幸せへと導いてくれるのか。物語が大きく動き出す予感をひしひしと感じる、目が離せない一話でした。
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