【枯れた花に涙を】25話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【枯れた花に涙を】第25話をネタバレありで解説する
鉄平の裏切りで全てが崩壊した樹里の世界。そんな彼女に唯一寄り添うのは、謎多き青年・蓮でした。第25話では、樹里の心の再生と、蓮との関係の進展が描かれる一方で、蓮を取り巻く不気味な家族の全貌が、徐々にその輪郭を現し始めます。
歪んだ兄弟愛―蓮の兄、帰国
物語は、蓮の部下である譲二が、蓮の兄に報告するシーンから始まります。その会話からは、常軌を逸した兄弟関係がうかがえます。
「死んだとでも言っといてよ」
1年ぶりに海外から帰国した兄のため、会長である父親が家族での食事会を計画していることが告げられます。しかし、蓮からの伝言として譲二が「死んだそうですよ」と伝えると、兄は「ったく…より一層ウザい奴になったみてぇだな」と舌打ちし、蓮への強烈な敵意を隠しません 。
会長には秘密の夜遊び
実家には帰らず、「あんなとこで寝られるかっつーの…」と、父親である会長への反発も見せる兄 。彼は、譲二に「ホテルはやめて女にでも会いにいこうぜ」「会長には秘密な?」と、その素行の悪さを見せつけ、夜の街へと消えていくのでした 。
残された部屋と、部下の懸念
一方、蓮の部屋を訪れた譲二は、そこに残されたいくつかの物から、蓮と樹里の間に特別な関係が生まれていることを察知します。
タバコと絆創膏が語るもの
部屋に残されていたのは、蓮が「吸いもしないタバコ」と「安物のライター」、そして樹里が彼の手当てに使った「絆創膏の空き箱」でした 。これらはすべて、蓮が樹里と過ごした時間を物語るアイテムであり、譲二は二人の関係が単なるものではないと感じ取ります。
「厄介なことに巻き込まれてしまったかも」
譲二は、これらの痕跡から「もしかしたらあの女が…とてつもなく厄介なことに巻き込まれてしまったかもしれない」と、樹里の身に危険が迫っているのではないかと強い懸念を抱くのでした 。
心の回復と、新たな日常の始まり
鉄平が家を出て行った後、樹里の生活には少しずつ平穏が戻り始めていました。
鉄平のいない朝
鉄平がいなくなったことで、樹里は早朝に彼の朝食を用意する必要がなくなり、ゆっくりと眠れる日が増えました 。彼のために使っていたお金も浮き、心身ともに僅かながら余裕が生まれます。しかし、ふとした瞬間に彼の痕跡が目に入り、心の傷が痛む日も少なくありませんでした。
悪夢に怯える“男の子”への贈り物
樹里は、蓮が「怖い夢を見た」と言っていたことを思い出し、彼のために何かをしたいと考えます 。そして、雑貨店でクマのぬいぐるみを購入するのです 。「赤ちゃんが抱いて寝るぬいぐるみにハートを刺繍すると魂がこもって守ってくれる」という、かつて友人から聞いた迷信を思い出し、彼を悪夢から守るお守りにしようと考えたのでした 。
「捕まえた」―強引なデートの誘い
その日の仕事終わりも、蓮は律儀に樹里を迎えに来ていました。
毎日迎えに来る青年
同僚の梨花も、蓮が一日も欠かさず樹里を迎えに来ていることに気づいています 。その行動は、もはや彼の日常の一部となっていました。
ヘルメットと、突然の拉致
樹里が、買ってきたぬいぐるみに刺繍をする予定だと話すと、蓮は「ちょっと付き合ってくださいよ」と彼女を誘います 。そして、返事も聞かずに彼女の頭にヘルメットを被せると、ひらりとバイクの後ろに乗せてしまいました 。「捕まえた」といたずらっぽく笑う蓮。彼の強引なデートの始まりでした 。
まとめ【枯れた花に涙を】25話を読んだ感想
第25話は、それぞれのキャラクターが抱える闇と光がより鮮明になり、物語の深みが増した回でした。蓮の兄の登場により、蓮の家庭環境がいかに異常であるかが示唆され、彼の行動原理の一端に触れた気がします。彼が樹里に見せる優しさの裏にある、深い孤独と憎しみの根源がこの家族にあることは間違いないでしょう。
一方で、樹里が少しずつ自分を取り戻していく姿には心から安堵しました。特に、蓮のためにぬいぐるみを用意し、刺繍をしようと考えるシーンは、彼女の母性的な優しさと、蓮への特別な感情の芽生えが感じられて、非常に微笑ましかったです。
そしてラスト、強引ながらもどこか楽しそうな蓮に連れ去られる樹里。彼の「捕まえた」というセリフは、今後の二人の関係が、より深く、そして後戻りできないものになっていくことを予感させます。二人が向かう先には何が待っているのか、期待と少しの不安が入り混じる、見事な引きだったと思います。
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