【枯れた花に涙を】27話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【枯れた花に涙を】第27話をネタバレありで解説する

荷物を取りに戻る、という口実で樹里の元へ帰ってきた鉄平。第26話のラストで不穏な予感を漂わせた彼の帰宅は、第27話で樹里の心を再びかき乱す嵐となります。一方で、蓮をめぐる歪んだ家族の肖像も描かれ、物語は破滅と再生の最終章へと、さらに深く進んでいきます。

帰宅した鉄平、歪んだ独占欲と誤解

樹里から連絡が全く来ないことに感情を募らせた鉄平は、結局、樹里のいるあの薄汚い家へと戻ってきます。彼を出迎えたのは、静まり返った部屋と、そこに残された樹里の温もりでした。

残された部屋とクマのぬいぐるみ

鉄平は、部屋が自分のいない間も当たり前のように掃除されていることに、どこか安堵を覚えます 。そんな彼の目に留まったのは、一体のクマのぬいぐるみ 。樹里がぬいぐるみ好きだった記憶はないものの、彼はこれを「俺がいなくて寂しかったんだな」と、自分に都合よく解釈するのでした。

「気持ちがよかった」―歪んだ満足感

樹里に暴言を吐き、家を飛び出した鉄平。しかし、彼の心にあったのは後悔ではなく、歪んだ満足感でした。「怒って俺に当たり散らす樹里を見るのが気持ちがよかった」 。彼は、感情を失った「乾いた木彫り人形」のようだった樹里が、自分の行動によって感情を取り戻したことに、倒錯した喜びを感じていたのです 。

決別の修羅場―「もう二度と来ないで」

鉄平の身勝手な帰宅に、樹里の怒りは頂点に達します。「どういうつもりでここに来たの?」と問い詰める樹里に対し、鉄平は「別にいいだろ、俺の家でもあるんだから」と悪びれる様子もありません 。

嫉妬と嘲笑

何も知らない子どもをそそのかして」と、亜里沙との関係をなじる樹里 。そんな彼女を、鉄平は「嫉妬してんだろ?」と嘲笑います。「俺に8歳も年下の女と浮気されて悔しいか?それとも…俺がいなくて寂しかった?」 。彼の言葉は、もはや樹里の心を抉ることしかできません。

最後の決別

樹里は、鉄平の胸ぐらを掴んで激しく抵抗しますが、彼はそんな彼女の姿をただ楽しむだけ。ついに樹里は、彼を家から追い出し、「もう二度と来ないで…!!次来たら警察に通報するから…!」と、完全な決別を告げるのでした 。

一ノ瀬家の闇―不気味な兄弟と絶対的権力者の父

場面は変わり、蓮とその兄、そして父親である「会長」との、歪で冷え切った家族の食卓が描かれます。

「いつか必ず殺してやるから」―歪んだ兄弟の再会

1年ぶりに帰国した兄は、久しぶりに会った弟の蓮に対して「かわいくねぇな」と敵意をむき出しにします 。蓮もまた、兄に「いつか必ず殺してやるから」と冷たく言い放ち、二人の間の憎しみの深さをうかがわせます 。

メリッサと会長―一族の謎

そこへ現れたのは、絶対的な権力者である父親、「会長」でした。彼は、兄に対して「メリッサという女」と、その子どもについて問い詰めます 。兄はそれを金目当ての出まかせだと否定しますが、会長の目は笑っていません。この一族には、樹里たちの知らない、さらに根深い問題が横たわっているようです。

絶望の淵で、鳴り響く電話

全てを失い、空っぽの部屋で一人、膝を抱える樹里。そんな彼女の元に、一本の電話がかかってきます。それは、蓮からでした。彼女はその電話に出ることなく、ただ、その着信音を聞きながら、蓮のことを思うのでした。

どうしてかしら、その瞬間頭をよぎったのはただ一人だった」 。

まとめ【枯れた花に涙を】27話を読んだ感想

第27話は、物語が破滅的なクライマックスへと向かう、まさに息をのむような展開でした。鉄平の、どこまでも自分本位で相手の心を弄ぶ様は、もはや救いようのないクズ男そのものです。樹里が彼に最後の決別を告げるシーンは、当然のことながら、見ていて胸がすく思いがしました。

しかし、この回の真の恐ろしさは、蓮を取り巻く一ノ瀬家の闇にあります。互いに殺意を抱く兄弟と、全てを支配する冷徹な父親。蓮が「不遇な家庭環境」で育ったことは明らかで、彼の歪んだ愛情や行動の根源がここにあるのだと確信しました。彼が樹里に見せる優しさも、この家族から逃れるためのものなのか、それとも復讐のための道具なのか。その真意がますますわからなくなり、物語はより一層深みを増したように感じます。

そして、絶望のどん底で、樹里が最後に思い浮かべたのが蓮であったこと。これが、彼女の再生の物語の始まりになるのか、それとも新たな悲劇の序章となるのか。次回の展開が待ちきれません。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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