【枯れた花に涙を】28話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【枯れた花に涙を】第28話をネタバレありで解説する

第27話のラスト、絶望の中にいた樹里にかかってきた一本の電話。その相手は蓮でした。第28話では、その電話をきっかけに、孤独な二人の心が少しだけ近づく、切なくも重要なエピソードが描かれます。しかし、その裏では蓮の抱える深い闇と、樹里を縛り付ける過去の呪縛が見え隠れし、物語は新たな局面を迎えます。

孤独な夜、二人が交わした奇妙な約束

夫の鉄平に最後の別れを告げ、文字通り独りきりになった樹里。そんな彼女の元へ、蓮がやってきます。寒空の下で再会した二人は、あまりにも奇妙で、そしてあまりにも切ない約束を交わすことになります。

「今日だけ友達になってくれない?」

「私…知り合いがあまりいないの」 。友達も、家族も、そして今や夫さえもいない 。ぽつりと孤独を告白した樹里は、勇気を振り絞って蓮に一つの提案をします。

今日だけ友達になってくれない?

「おばさんと遊ぶのなんて面白くないと思うけど」と自嘲しながらも 、必死に誰かとの繋がりを求める彼女の姿は、痛々しくも読者の胸を打ちます。これは、彼女が過去と決別し、新しい一歩を踏み出すための、小さな、しかし大きな叫びだったのかもしれません。

二千円で買われた「友達」

樹里の悲痛な申し出に対し、蓮は「無償でですか?」と、予想外の言葉を返します 。戸惑う樹里に「な…何が欲しいの?」と問われると 、彼女はバッグからありったけのお金を出し、蓮の手に握らせました 。それは、わずか二千円ほどの現金でした

「今あるのはそれで全部よ」

このあまりにも切ない光景に、蓮は「まったく…笑うべきか泣くべきか」とつぶやきます 。しかし、彼はこの状況をただ受け入れるだけではありませんでした。

たった今 俺のこと買ったじゃないですか「捨てちゃダメですからね」

蓮のこの言葉は、樹里の差し出したお金を単なる施しではなく、二人の間に結ばれた「契約」へと昇華させます。それは、いびつで、不器用で、けれど二人だけに通じる温かい絆の始まりを告げるかのようでした。

偽りの恋人ごっこ?深まる謎と蓮の思惑

こうして始まった「二千円の友達」関係。二人が向かった先は、小さな屋台でした。そこで見せる蓮の行動は、樹里を、そして読者をも翻弄します。

屋台での「一方的な片思い」宣言

屋台の女主人に「もしかしてカップル?」と冷やかされた樹里は、「ただの知り合いです…」と慌てて否定します 。しかし、その言葉を遮るように、蓮は樹里の肩を抱き、笑顔でこう宣言するのでした。

カップルじゃありませんよ 俺の一方的な片思いです

突然のことに驚き、慌てふためく樹里とは対照的に、蓮は楽しそうです 。これは、樹里をからかうための単なる冗談なのでしょうか。それとも、彼の隠された本心が一瞬だけ顔をのぞかせたのでしょうか。

蓮の裏の顔と復讐計画

樹里に見せる優しい笑顔の裏で、蓮は全く別の顔を持っています。物語の冒頭、彼は電話の向こうの誰かに向かって、恐ろしい言葉を口にしていました。「誰かを埋めるつもりなのか」という部下らしき人物の問いに、彼はこう答えます

「まだそのタイミングじゃない」

楽しめば楽しむほど悲惨な最後に なるんだから

このセリフは、蓮が誰か(おそらく鉄平)に対して、周到な復讐を計画していることを強く示唆しています。彼が樹里に近づいたのも、この復讐計画の一部なのかもしれません。彼の優しさが本物であればあるほど、その裏に隠された冷酷な目的とのギャップが、物語に不穏な緊張感を与えています。

過去の呪縛と未来への兆し

屋台での楽しい時間は、皮肉にも樹里に過去の記憶を呼び覚まさせます。蓮という新しい存在は、彼女を縛り付ける古い呪縛を浮き彫りにしていくのです。

焼酎に映る、元夫の影

つまみも頼まずに焼酎を飲む 。その姿は、かつて辛いことがあるといつもそうしていた元夫・鉄平の姿と重なります 。

「13年という月日は本当に恐ろしい」 こんなときにまであなたを思い出してしまう」という樹里のモノローグは、鉄平との日々が、良くも悪くも彼女の中に深く刻み込まれていることを物語っています 。

「私たちにも青春時代があった」

蓮に促され、樹里は過去を振り返ります。そこにあったのは、憎しみや絶望だけではありませんでした。

「少なくともあのころは違った」

私たちにもキラキラと輝く青春時代があったのだ

鉄平との出会ったばかりの頃の、輝かしい思い出。蓮の存在が、樹里に辛い記憶だけでなく、忘れていたはずの温かい記憶をも思い出させたのです。これは、彼女が過去の全てを乗り越え、未来へ進むために必要な過程なのかもしれません。蓮との出会いは、彼女の心の再生につながるのでしょうか。それとも、蓮の復讐劇に巻き込まれる新たな悲劇の始まりなのでしょうか。物語は、希望と不安が入り混じる中で、次へと続いていきます。

まとめ【枯れた花に涙を】28話を読んだ感想

第28話は、あまりにも切なくて、胸が締め付けられるような回でした。「今日だけ友達になってくれない?」と、なけなしの勇気と全財産(二千円!)を差し出す樹里。その痛々しいほどの健気さには、思わず涙腺が緩んでしまいます。

そんな彼女の申し出を、「二千円で買われた友達」という、少しだけ特別な関係に変えてみせた蓮のスマートさには脱帽です。特に、屋台で「俺の一方的な片思いです」と宣言したシーンは、彼の真意がどこにあるのか分からないと頭では思いつつも、ときめきを禁じ得ませんでした。

しかし、この物語は単なる年の差ラブストーリーではありません。蓮の背後にちらつく復讐の影と、彼が家族に対して抱える根深い憎しみ。そして、樹里の心に今なお深く根を張る、元夫・鉄平との13年間の記憶。最後に彼女が思い出したのが、憎い元夫との「キラキラと輝く青春時代」だったことに、この問題の根深さを感じずにはいられませんでした。

幸せになってほしいと心から願う一方で、二人の前にはあまりにも多くの障害が横たわっています。蓮の優しさは本物なのか、それとも計算なのか。樹里は過去の呪縛から本当に自由になれるのか。ハラハラとドキドキが止まらない、まさにジェットコースターのような読後感でした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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