【枯れた花に涙を】37話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【枯れた花に涙を】第37話をネタバレありで解説する

第36話のラスト、樹里は蓮を諦めさせるための最後の賭けとして、「1000万円を貸してほしい」という無茶な要求を突きつけました。第37話は、そのメッセージを送った後、蓮からの連絡が途絶えた数週間の、樹里の心の揺れ動きから始まります。そして、沈黙を破って現れた蓮が提示した「答え」は、樹里の想像を遥かに超える、あまりにも衝撃的で狂気に満ちたものでした。

沈黙の日々と、後悔の渦

樹里の送ったメッセージを最後に、二人の会話は止まってしまいました 。蓮からの連絡が途絶え、静かになった日常の中で、樹里は自分の本当の気持ちと向き合うことになります。

あなたがいない現実

いつも蓮の方から始まっていた会話 。その連絡がなくなったことで、樹里は初めて、彼がいない現実の重みを実感します。自分で彼を突き放したにもかかわらず、心の奥底では、それでも彼は自分にすがり続けてくれるだろうという、身勝手な期待を抱いていた自分に気づくのです 。仕事中も彼のことを考えてはミスを繰り返し 、一人きりの帰り道では、彼からもらった手袋は暖かいだろうか、今も悪夢を見ているのだろうかと、彼への想いが溢れ出してしまいます

ひとりよがりだった自分

樹里は、蓮がくれたクマのぬいぐるみの逸話を思い出します。枕元に置いて寝れば、悪夢から守ってくれるという、優しいおまじない 。いつも傷だらけだった彼に対し、自分は最後まで身勝手な悪い大人だったと、深い後悔に苛まれるのでした

狂気の証明―彼の答え

樹里が後悔の日々を送る一方、蓮もまた、常軌を逸した行動に出ていました。彼の愛は、樹里の想像を絶する形で「答え」を導き出します。

「じゃあ俺を殴ってよ」

部下の譲二(じょうじ)が見てもわかるほど、蓮は「本気で人を殺しそうなくらい」にピリついていました 。そんな中、彼は譲二に「喧嘩は強い?」と尋ね、おもむろにこう命じます。

じゃあ俺を殴ってよ

この常軌を逸した命令は、彼がこれから行う「証明」のための、布石に過ぎませんでした。

1000万円の返信

ある夜、樹里の元に蓮からメッセージが届きます。

家の前にいます」 「ちょっとお金を貸しにね

ドアを開けると、そこには顔に痛々しい傷を作った蓮が立っていました 。樹里は、彼がまた喧嘩をしたのだと思い、「今日で最後よ」と別れを告げようとします 。しかし、蓮はそれを遮り、持っていた紙袋を彼女の前に差し出しました。中には、札束がぎっしりと詰まっていたのです。

「臓器を売りました」―愛と狂気の境界線

ありえない光景に、樹里は言葉を失います。彼女が震える声で「答えて」と問い詰めると、蓮は静かに服をめくり上げ、自らの腹部を見せました。そこには、生々しい大きな手術痕が。そして彼は、悪魔のように微笑みながら告げます。

「臓器を売りました」

樹里のテストに対する、これが蓮の答えでした。それは、愛の証明と呼ぶにはあまりにも狂気に満ちた行為でした。

崩れ落ちる心―試した罰

蓮の狂気的な行動を前に、樹里の心は完全に崩壊します。良かれと思ってついた嘘が、最悪の事態を引き起こしてしまったのです。

「どうしてこんなことするのよ…!」

「どうして私を悪い大人にしようとするのよ…!」と、樹里は泣き崩れます 。彼女の決心も、彼を思っての嘘も、蓮の純粋で歪んだ愛情の前では、何の意味も持ちませんでした。蓮は泣きじゃくる彼女をただ優しく抱きしめ、「気が済むまで泣きましたか?」と尋ねます

涙の果てに

涙が枯れた後、蓮は樹里を抱きしめたまま「いつまでこうしてるつもりですか?」と優しく問いかけます 。その言葉に、樹里はすべての抵抗をやめ、ただ一言、「…わかったわ」とつぶやくのでした 。それは、彼の狂気的な愛からもう逃れられないという、完全な降伏を意味していました。

まとめ【枯れた花に涙を】37話を読んだ感想

言葉を失うとは、まさにこのこと。第37話は、物語がとんでもない領域に足を踏み入れた、衝撃的な回でした。蓮の「臓器を売りました」という告白は、ここ最近の漫画史に残るレベルの狂気と純愛のハイブリッドだと感じます。もちろん、これが彼の狂言である可能性も残されていますが、だとしても、愛を証明するためにこれほどの嘘を平然とつき、自らの体を傷つけてまで相手の元へ駆けつけるという行動そのものが、常軌を逸しています。

樹里が彼を遠ざけるためについた嘘が、最悪の形で彼を追い詰めてしまった皮肉。そして、その狂気的な愛情を前に、為すすべなく陥落していく樹里の姿は、恐ろしくもあり、同時に抗いがたいほどのロマンスを感じさせました。

特に、部下に「俺を殴ってよ」と命じるシーンと、樹里を抱きしめながら「いつまでこうしてるつもりですか?」と囁くシーンの対比が鮮やかです。彼は目的のためなら手段を選ばない冷酷さと、好きな女性にはとことん甘いという二面性を持っており、その危ういバランスがたまらなく魅力的です。

樹里の「わかったわ」という最後のセリフは、事実上の白旗宣言でしょう。彼女は、蓮の狂気をすべて受け入れる覚悟を決めたのだと思います。常識も、理屈も通用しない、この危険な男と生きていくことを選んだ樹里。二人の関係は、もはや誰も止められないところまで来てしまいました。この先に待つのは破滅か、それとも究極の愛か。ページをめくる手が震えるほどの興奮を覚えました。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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