【枯れた花に涙を】39話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【枯れた花に涙を】第39話をネタバレありで解説する
第38話、すべての嘘と建前を捨て、ついに心も体も結ばれることを選んだ樹里と蓮。第39話は、その夜の続きが、息を呑むほどに官能的かつ繊細な心理描写で描かれます。これは単なる情事ではありません。長年失われていた「女」としての感覚を樹里が取り戻し、蓮への想いが紛れもない「愛」へと変わる、極めて重要な一夜の物語です。
初めてのように―身体の再発見
夫だった鉄平との行為が、いつしか義務のようになっていた樹里。彼女にとって、蓮との初めての夜は、自身の身体と感情を再発見する驚きの連続でした。
「どうせいつもと同じだと思ってたのに…」
結婚生活の中で、樹里は愛のない行為を何度も繰り返してきました。だから、この夜も同じことだろうと、心のどこかで思っていたのです。しかし、蓮の体は鉄平とは全く違いました。その感触、体格、そして自分にのしかかる重み。そのすべてが彼女にとって初めての感覚であり、忘れていた身体の感度を呼び覚まします。「まるで初めてのときみたいに敏感になった」という彼女のモノローグは、この夜が特別なものであることを示唆しています。
「言うとおりにします」―逆転する主導権
蓮は、焦らすようにゆっくりと彼女を愛撫します。そのあまりの心地よさに、樹里は、蓮に完全に主導権を握られていることが「まるで拷問だな」とさえ感じていました。そして、快感に抗うことをやめた彼女は、ただ「言うとおりにします」と、身も心も彼に委ねることを選ぶのです。
嘘つきへの、甘い「お説教」
樹里の完全な降伏を受け、蓮はさらに彼女を翻弄します。彼の巧みなリードは、樹里を罪悪感と快感の狭間で揺さぶり続けます。
「気持ちよくなったらダメなのに…」
ついに二人が一つになるとき、蓮は「今日嘘ばっかりついてますね…お説教しなくちゃ」と、悪戯っぽく囁きます。それは、彼女がついてしまった悲しい嘘への、甘い罰の始まりでした。樹里は、こんなにも感じてはいけないという理性とは裏腹に、身体の奥から湧き上がる喜びに抗うことができません。「気持ちよくなったらダメなのに、すごく…気持ちいい」。彼女の心は、罪悪感と共に、未知の快感に満たされていきました。
「もう動いてもいいでしょう?」
蓮は、すぐには動こうとせず、じっくりと時間をかけて彼女を焦らします。それは、彼女に最高の快感を与えるための、彼の優しさであり、計算でした。そして、樹里が完全に準備ができたことを見届けると、彼は「もう動いてもいいでしょう?」と、最後の許可を求めるのでした。
涙の理由―「愛おしくて涙が止まらなかった」
その夜、二人は何度も体を重ねました。快感の波が引いた後、樹里の心に残ったのは、虚しさではなく、温かい涙でした。
過去と現在が交わる場所で
この部屋は、つい最近まで鉄平と過ごした場所でした。今は他人になってしまった男と過ごした空間で、新しい男に抱かれている。その事実は、彼女の心を不思議な感慨で満たします。
心からの告白
すべての行為が終わり、蓮の腕の中で眠りにつく樹里。彼女の頬を、一筋の涙が伝います。それは悲しみの涙ではありませんでした。彼の大きな体、優しさ、そして普通ではない危うさ。そのすべてが、たまらなく愛おしい。
「好き…愛おしくて涙が止まらなかった」
それは、理屈も、罪悪感も、すべてを越えた先にある、樹里の純粋で、偽りのない心の叫びでした。
まとめ【枯れた花に涙を】39話を読んだ感想
これほどまでに美しく、切なく、そして官能的な一夜が描かれた回があったでしょうか。第39話は、単なる濡れ場ではなく、樹里という一人の女性が、長年の呪縛から解き放たれ、失っていた自分自身の「性」と「愛」を再発見する、魂の再生の物語でした。
鉄平との惰性のセックスしか知らなかった彼女が、蓮との行為の中で「まるで初めてみたい」と感じる描写には、胸が締め付けられると同時に、彼女がようやく本当の喜びを知れたことへの安堵を覚えました。特に、蓮が「お説教しなくちゃ」と、彼女の嘘を逆手にとって甘い罰を与えるシーンは、彼のSっ気と優しさが同居した、最高の場面だったと思います。
そして、ラストの「好き…愛おしくて涙が止まらなかった」というモノローグ。これ以上に完璧な愛の告白があるでしょうか。彼女が流した涙は、これまでの辛かった人生のすべてを浄化するような、温かくて尊い涙でした。
ついに心と体の両方で結ばれた二人。しかし、彼らの前には、蓮の家族や復讐という、あまりにも大きな問題が横たわっています。この完璧な一夜が、嵐の前の静けさでないことを祈るばかりです。この上なく幸せな絶頂を迎えたからこそ、今後の展開がますます気になって仕方ありません。
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