【枯れた花に涙を】4話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
スポンサーリンク

【枯れた花に涙を】第4話をネタバレありで解説する

第3話のラスト、自身のもう一つの職場である焼肉屋で、謎の男性客・蓮(れん)と予期せぬ再会を果たした樹里 。第4話では、この再会をきっかけに、蓮の秘めたる想いと、樹里が囚われる絶望的な日常が、より一層鮮明に描かれていきます。二人の視線が交錯する中で、物語は新たな局面を迎えます。

交錯する視線―焼肉屋での攻防

突然の出来事に、樹里の心は激しく揺れ動きます。一方、蓮のテーブルでは、彼の仲間たちがその視線の先にいる樹里の存在に気づき始めていました。

蓮は「知り合い」だと認める

蓮の友人である快活な女性・光(ひかり)は、彼の様子がいつもと違うことにすぐに気づきます。「蓮…さっきから誰か探してんの?もしかして女?」と核心を突く質問を投げかけると 、蓮は動じません。光がさらに「あのおばさんのこと見てるんでしょ?知り合い?」と畳みかけると 、彼は静かに、しかしはっきりとこう認めるのです。

ああ、知り合いだよ

彼の口から放たれたこの一言は、これまで樹里が「同情」や「勘違い」だと思い込もうとしていた彼の行動が、紛れもない明確な意志に基づいたものであることを示唆しています。

揺れ動く樹里の心

前述の通り、樹里は彼らの楽しそうな雰囲気に疎外感を覚え、必死に平静を装おうとします。蓮の隣に座る美しい光の姿を見て、「きっと花束もあの子のために買ってるんだわ」と自分に言い聞かせることで、心の波立ちを抑えようとするのでした 。しかし、蓮からの真っ直ぐな視線を感じ、彼をまともに見ることすらできなくなってしまいます

絶望のループ―元夫・鉄平の支配

蓮との予期せぬ出来事に心を乱される一方で、樹里の日常は元夫・鉄平からの精神的な支配下にありました。この歪んだ関係こそが、彼女を絶望の淵に繋ぎ止めているのです。

「反吐が出る」―繰り返される暴言

自宅で樹里が鉄平の破れた服を繕っていると 、彼はそれを「嫌味か」「こんなボロいのさっさと捨てろ」と吐き捨てます 。さらに、彼女の服装や下着に至るまで「ババシャツ」「ヨレヨレ」と嘲笑し、「反吐が出る」という、人としての尊厳を根底から否定するような言葉を浴びせるのです 。

暴力と優しさの罠

しかし、鉄平の支配は暴力だけではありません。彼は、樹里を言葉で徹底的に打ちのめした後、まるで何事もなかったかのように彼女を抱きしめ、こう囁きます。

お前には俺しかいねぇだろ?

この「アメとムチ」を巧みに使い分ける行為は、相手の自尊心を奪い、自分がいなければ生きていけないと思い込ませる典型的な支配の手口です。樹里が「私はあなたがいるから乗り越えられる」と自分に言い聞かせる姿は、彼女がこの絶望のループから抜け出せなくなっていることを痛々しいほどに示しています

土砂降りの夜、差し出された一本の傘

物語のクライマックスは、土砂降りの雨の夜に訪れます。一つの壊れた傘が、樹里の限界に達した心と、そこに差し込む救いの手を象徴していました。

壊れた傘と壊れた心

仕事を終えた樹里を待っていたのは、予報通りの激しい雨でした 。鉄平のために綺麗な傘を残し、自分はボロボロの傘で帰路につきますが 、案の定、傘は風にあおられて無残にも壊れてしまいます 。「貧しさは人を静かに食い潰していく」―雨に打たれながら途方に暮れる彼女のモノローグは、あまりにも悲痛です 。

「一緒に行きましょう」

なすすべなく雨宿りをしていると、彼女の頭上に、すっと大きな傘が差し出されました 。顔を上げると、そこにいたのは蓮でした。彼は「家、どこですか?」と静かに尋ねますが 、樹里は遠慮して「大丈夫です」と首を振るばかりです 。しかし、蓮はそんな彼女の言葉を意に介さず、こう告げます。

明け方まで止まないみたいですよ。一緒に行きましょう

優しくも、決して断ることを許さないようなその響き。彼の行動はもはや偶然とは思えず、強い意志を感じさせます。雨の中、一つの傘の下で向き合う二人の姿が、新たな物語の始まりを予感させます。

まとめ【枯れた花に涙を】4話を読んだ感想

第4話は、蓮の行動の意図が少しずつ明らかになると同時に、樹里と鉄平の共依存関係の根深さに、改めて戦慄を覚える回でした。焼肉屋での「知り合いだよ」という蓮の一言 。たった一言ですが、彼の樹里に対する気持ちが単なる気まぐれではないことを示しており、二人の関係がどう進展していくのか、期待が膨らみました。

対照的に、鉄平の振る舞いには今回も嫌悪感しかありません。樹里の人格を否定する暴言の数々と、その後の偽りの優しさ。このDV加害者の典型のような行動に、樹里がいかに精神的に追い詰められ、支配されているかが描かれていて、読んでいて非常に苦しかったです。

特に印象的だったのは、壊れた傘のシーンです。限界が近いのに「まだ使える」と自分をごまかし、ギリギリの生活の中で、自分のことを後回しにし続けた結果、心まで壊れてしまう寸前の彼女の姿が重なり、涙が出そうになりました。

そんな絶望の土砂降りの中に現れた、蓮という一本の大きな傘。彼の「一緒に行きましょう」という言葉が、樹里を長くて暗い雨から救い出す一筋の光になることを、心から願わずにはいられません。

◁前の記事はこちらから

あわせて読みたい
【枯れた花に涙を】3話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【枯れた花に涙を】3話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

▷次の記事はこちらから

あわせて読みたい
【枯れた花に涙を】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
【枯れた花に涙を】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説
スポンサーリンク
ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
記事URLをコピーしました