【枯れた花に涙を】41話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【枯れた花に涙を】第41話をネタバレありで解説する
前話で、すべての嘘と建前を捨てて結ばれた樹里と蓮。第41話は、狂気的とも思えた蓮の愛情表現の「答え合わせ」と、彼によって静かに、しかし確実に変化していく樹里の日常が描かれます。彼の行動のすべてが、不器用ながらも一途な想いから生まれていたことが明らかになる、甘さと切なさが交差する回です。
消された過去と、彼の執着
樹里が手放した過去を、蓮は静かに拾い上げます。彼の執着心は、彼女が思うよりもずっと深く、静かに進行していました。
空っぽになった部屋と、ゴミ袋の中の「過去」
樹里がシャワーを浴びる間、一人部屋に残された蓮は、かつてこの部屋を満たしていたはずの男の痕跡が、跡形もなく消え去っていることを確認します 。ただ、彼は知っていました。彼女が自らの手で捨てた「過去」の在り処を。ゴミ袋の中に、かつての夫との写真を見つけた蓮は、それを無言で見つめます 。彼女の過去ごとすべてを手に入れたいという、彼の静かな独占欲が垣間見える瞬間です。
部下が見た、恋に浮かれる雇い主の姿
場面は変わり、蓮のオフィス。部下の譲二は、どこか満足げな表情を浮かべる雇い主の姿に気づきます 。譲二が「純真な三十路女に今度は何をしたんだ?」と皮肉交じりに尋ねると、蓮は上機嫌に「人生ゲームをやろう」と持ちかけます 。譲二は、蓮が以前とは明らかに違う、どこか浮かれた空気をまとっていることを敏感に感じ取ります 。恋は、冷徹に見えた彼の内面を、確実変化させていたのです。
狂気のあとの、優しい嘘
樹里を繋ぎ止めるために蓮がついた、あまりにも大掛かりな嘘。その真相が、彼の不器用な本心とともに明かされます。
1000万円の真相
食卓を囲みながら、樹里は前の晩に蓮が持ってきた大金について尋ねます 。あれほどの金額をどうやって用意したのか、という彼女の問いに対し、蓮は悪びれる様子もなく、衝撃の事実を告げました。
「実は あのお金 全部偽物なんです」「映画の小道具みたいなもので…」 。臓器売買という狂気の沙汰も、大金も、すべては彼女の気を引くための壮大な芝居だったのです。
「もう会ってくれないと思って」
「だと思ったわ」と安堵しつつも、あきれて「なんでそんなことするのよ」と問いかける樹里 。蓮は、そんな彼女を優しく抱きしめながら、嘘をついた理由を静かに打ち明けます 。
「そうでもしないと もう会ってくれないと思って」 。
彼の常軌を逸した行動の根底にあったのは、好きな女性に会えなくなることを恐れた、子供のように純粋で切実な想いでした。
彼のいない場所で、彼を感じる
蓮の存在は、樹里の日常を静かに、そしてあたたかく変えていきます。彼女は、自分の知らないところで彼に守られていた事実に気づき始めるのです。
見えない場所での、彼の暗躍
翌日、職場で同僚の梨花から「すごく素敵な顔してますよ」と声をかけられた樹里 。梨花は、樹里の元気な姿に安心した、と続けます 。そして、最近、店に嫌がらせをしに来ていた迷惑な客たちが、まるで「薬でも飲んだみたいに急に大人しくなって」ほとんど来なくなったことを不思議そうに話しました 。梨花は気づいていませんが、読者と樹里は悟ります。これもまた、彼女を守るための蓮の仕業であったことを。
鉄平とは違う、確かな温もり
蓮が作ってくれた、少し焦げていて味付けも完璧ではない料理 。それでも、後片付けは自分がやると言う蓮の優しさ 。それは、情事の後でさえラーメンを作ることすらせず、スマホばかり見ていた元夫・鉄平とは全く対照的な姿でした 。蓮の温もりに包まれるうち、樹里は彼のいない場所にいても、彼の声が聞こえるような気さえするのでした 。
まとめ【枯れた花に涙を】41話を読んだ感想
前話までの息詰まるような展開から一転、第41話は蓮の狂気的な行動の「答え合わせ」がされる、穏やかで優しい回でした。
1000万円が偽札だったという真相には、良い意味で裏切られました。あれだけの狂気を見せておきながら、その理由が「会ってくれないと思ったから」という、まるで子供のようなものだったというギャップがたまりません。彼の愛情の深さと、恋愛に対する不器用さが同時に描かれ、蓮というキャラクターがより一層魅力的に感じられました。
また、樹里の知らないところで迷惑客を排除していたという事実も、彼の愛情表現のスケールの大きさを物語っています。やり方は少々強引で怖いですが、すべては樹里を守るため。鉄平との過去の回想シーンとの対比も鮮やかで、樹里が今、どれだけ大切にされているかが伝わってきて、胸が温かくなりました。
ようやく手に入れた穏やかな日常。梨花の言う通り「人生ってまだまだ捨てたもんじゃない」のかもしれません。しかし、彼の部下・譲二が感じていた不穏な空気も気になるところです。この幸せな時間が、次なる嵐の前の静けさでないことを祈るばかりです。
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