【枯れた花に涙を】42話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【枯れた花に涙を】第42話をネタバレありで解説する

心と体が結ばれた樹里と蓮。しかし、彼女の心は過去の呪縛から未だ解き放たれてはいませんでした。第42話は、樹里と元夫・鉄平の、あまりにも不器用で痛々しい関係の原点を描き出す、壮絶な過去の回想から始まります。なぜ二人の関係は歪んでしまったのか。その答えが、ラーメンと鼻血から始まった、一つの過ちの夜に隠されていました。

ラーメンから始まった、不器用な初恋の過ち

現在の樹里を苦しめる鉄平との歪んだ関係。そのすべての始まりは、お互いのことしか見えていなかった、純粋で、それゆえに危険な高校時代の一夜にありました。

父親から逃れてきた、彼の家

物語は、まだ二人が高校生だった頃に遡ります。父親が家に帰ってきたため、居場所をなくした樹里は、鉄平の家でご飯を食べさせてほしいとお願いします 。突然の申し出に動揺しつつも、鉄平は彼女を家に招き入れます 。散らかった部屋を慌てて片付ける彼の姿は、恋する相手を前にした、ごく普通の少年のものでした 。しかし、彼の内心は穏やかではありません。密かに想いを寄せる彼女が自分の家にいるという現実に、興奮を隠しきれないでいたのです

鼻血が引き金となった、衝動の夜

「ラーメンしかないけどいいか?」と、鉄平は彼女のために台所に立ちます 。しかし、樹里が手伝おうと近づいた瞬間、彼の緊張は頂点に達しました 。極度の興奮から、なんと彼は鼻血を出してしまいます 。心配して顔を近づける樹里。この、あまりにも近すぎる距離が、彼の理性のタガを外す最後の引き金となりました。彼は衝動を抑えきれず、樹里を押し倒してしまうのです

「鉄平だから」―許しが産んだ、歪んだ愛の原点

初めての経験に戸惑う二人。鉄平は「動画と全然違うじゃねぇか」と悪態をつきながらも、必死に彼女を求めます 。やがて、痛みと戸惑いから涙を流し始めた樹里の姿を見て、我に返る鉄平 。彼は「やめようか?」と行為を中断しようとしますが、彼の欲望はそれを許しません 。そんな彼に、樹里は涙ながらにこう告げます。「平…気よ 鉄平だから」 。この一言が、決定的な言葉でした。彼女からの許しを得た鉄平は、罪悪感から解放され、「好きだ」という告白と共に、ただ欲望のままに彼女を抱くのでした

過去の傷が囁く、臆病な愛の哲学

壮絶な過去の記憶は、現在の樹里の恋愛観に深い影を落としています。蓮との関係に踏み出しながらも、彼女は自ら心の壁を築いてしまうのです。

「どうせそのうち冷めてしまう」

職場で同僚たちの恋愛話を聞きながら、樹里は蓮との関係を冷静に分析しようと試みます 。彼女は「あまり深く考えないことにした」と、自らに言い聞かせます 。どんなに熱く燃え上がった気持ちも、どうせいつかは冷めてしまう。 それが、彼女が長い結婚生活の末にたどり着いた、悲しい愛の哲学でした。

繰り返さないための、防衛線

樹里は、蓮もいつかは自分に飽きるはずだと考えています 。あれほど求めてくれた鉄平でさえ、時間と共に冷たく変わっていったのですから 。彼の無関心や軽蔑さえも、関係を終わらせたくない一心で自分の中に押し込んできた過去 。あの地獄を二度と繰り返さないために、彼女は無意識に心に防衛線を張ってしまうのでした。

理性と本音がせめぎ合う、デートの約束

過去の傷に臆病になる樹里。しかし、蓮からの真っ直ぐな好意は、彼女の固く閉ざした心の扉を少しずつ溶かしていきます。

心の壁を溶かす、彼からのメッセージ

そんな彼女の元に、蓮から「体はどうですか?」というメッセージが届きます 。樹里が「大丈夫よ」と返すと、蓮は「わかってるくせに聞くなんて 意地悪ね」と、彼女の強がりを見透かしたような言葉で、からかうのでした

「いいわよ」―決意とは裏腹な返事

続けて、蓮は「終わったらちょっとデートしませんか?」と、彼女を誘います 。これ以上深入りしてはいけない。気持ちに振り回されてはいけない 。そう固く決意したはずの樹里でしたが、彼女の口から出たのは、理性に反した「いいわよ」という肯定の返事でした 。彼女の心は、過去の痛みと、新しい恋への期待との間で、激しく揺れ動いていたのです。

まとめ【枯れた花に涙を】42話を読んだ感想

読んでいて胸が張り裂けそうになる、非常に重く、しかし物語の根幹をなす重要な回でした。鉄平と樹里の最初の夜が、これほどまでに痛々しく、不器用なものだったとは。

特に、鉄平が興奮のあまり鼻血を出すシーンは、彼の未熟さと、樹里への想いの強さが伝わってくる名場面だと感じます。そして、涙を流す樹里が言った「鉄平だから」という一言。これは、彼女の優しさの表れであると同時に、彼の歪んだ独占欲を肯定してしまった、悲劇の始まりの言葉でもありました。この瞬間に、二人の共依存的な関係のすべてが決定づけられてしまったように思います。

そんな壮絶な過去があるからこそ、現在の蓮とのやり取りが一層輝いて見えます。彼女の強がりを優しくからかいながら、ストレートにデートに誘う蓮の姿は、まさに暗闇に差し込む一筋の光です。

「深入りはしない」と決意しながらも、彼の誘いに「いいわよ」と答えてしまう樹里。頭では過去の痛みを繰り返すことを恐れ、しかし心は正直に蓮を求めている。この抗えない心の動きこそが、恋のリアルなのだと感じました。彼女は過去のトラウマを乗り越え、蓮との未来を選ぶことができるのでしょうか。今後の展開から目が離せません。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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