【枯れた花に涙を】43話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【枯れた花に涙を】第43話をネタバレありで解説する
前話でデートの約束をした樹里と蓮。第43話は、不器用ながらも距離を縮めていく二人の、甘くもどかしいデートの様子が描かれます。過去の傷から素直になれない樹里と、そんな彼女の心を巧みな駆け引きで溶かしていく蓮。大人の恋ならではの、じれったくて愛おしい心理戦が見どころです。
思い出の場所で、重なる想い
仕事終わりのデートは、蓮がバイクで樹里を迎えに来るという、青春ドラマのような始まりでした。しかし、彼が彼女を連れて行ったのは、家とは違う特別な場所だったのです。
帰り道ではない、特別な場所へ
蓮は、樹里を家の近くではなく、二人が初めて出会った思い出の階段の前で降ろします 。バイクから降りる際、背の高い彼のバイクでは足が届かず、彼の助けを借りなければならない樹里の姿は、二人の体格差と関係性を象徴しているようでした 。
「俺も同じです」―素直な彼の告白
「ガッカリしました?」と尋ねる蓮に、樹里は強がって否定します 。しかし、蓮はそんな彼女の心を簡単に見透かし、「もう少し一緒にいたいくせに」と優しく指摘します 。そして、彼は「俺も同じです」とストレートな言葉で自らの気持ちを告白し、彼女を強く抱きしめるのでした 。
手をつなぐだけで、高鳴る鼓動
蓮は、樹里が多忙な日々の中で睡眠時間を削ってまで自分との時間を作ってくれていることを理解しています 。だからこそ、彼は「駄々をこねずにいい子で待ってます」と、彼女を気遣うのでした 。
大切なプレゼントと、過去の自分
樹里は、蓮がまだ薄い手袋をしていることに気づき、自分がプレゼントした温かい手袋を使うように優しく促します 。「ボロボロになったらまた新しいのを買ってあげるから」という彼女の言葉は、かつて大切なものを傷つけたくなくて使えなかった、若い頃の自分自身の姿と重なります 。彼を想う気持ちが、彼女自身の過去をも癒しているかのようでした。
初めてのような、指先の熱
寒そうにしている蓮を見て、樹里は勇気を出し、自ら彼の手を取ります 。蓮はその手を強く握り返し、「あったかい」と嬉しそうに微笑むのでした 。すでに肉体関係まで持った相手なのに、ただ手をつなぐだけで、心臓が大きく高鳴るのを感じる樹里 。その指先に集まる神経が、彼女の戸惑いと、恋の始まりの確かな感触を伝えていました 。
大人の恋の、甘い駆け引き
家の前まで着くと、樹里は過去の経験からくる防衛本能で、再び心にブレーキをかけてしまいます。そんな彼女に、蓮は一枚上手の駆け引きを見せつけます。
「ただそれだけの関係よ」―本心とは裏腹の言葉
「誤解のないように言っておくけど」「私たちはただそれだけの関係よ」 。家の前で、樹里は本心とは全く違う冷たい言葉を蓮にぶつけてしまいます。これ以上傷つきたくないという、彼女の悲しい自己防衛でした。
一枚上手の、彼の切り返し
しかし、蓮は少しも動じません。「いいえ わかりません」と静かに否定し、「あなたが言ったんでしょう? 心がまだなら体だけでもって」と、かつて彼女が口にした言葉をそのまま返します 。そして、何も言い返せない樹里を見ると、今度はあっさりと「わかりました」と引き下がるのでした 。押しては引く彼の態度に、樹里は完全にペースを乱されてしまいます 。
去り際の、狡猾な口実と優しいキス
別れるかと思いきや、蓮は「薬…まだヒリヒリするんですけど」「もう一度塗ってくれませんか?」と、家に上がるための可愛らしい口実を作ります 。呆れる樹里に「だって俺たちそういう関係なんでしょう?」と開き直ったかと思えば、「その代わり一度だけ抱き締めてください」と甘え、彼女にキスをして「また明日」と颯爽と去っていくのです 。
彼の孤独と、秘めたる決意
一方で、一人オフィスに戻った蓮の姿からは、恋に悩む孤独な一面が浮かび上がります。彼の部下である譲二との会話は、蓮の樹里への想いの深さを物語っていました。
風邪をひいてでも、会いたい理由
譲二は、暖房もつけずにいる蓮に「凍え死ぬつもりか?」と尋ねます 。すると蓮は、風邪をひいて、できればインフルエンザにでもなって、彼女の気を引きたいのだと本音を漏らすのです 。彼女に殴られ、傷つけられてもなお、もっと彼女にかまってもらいたいと願う彼の姿は、痛々しいほどに一途でした 。
「明日の夜は…帰らないから」
「初めても純情も全部捧げたのに…まだまだ足りないみたいだ」 。彼の独白は、樹里への想いが遊びではないことを示しています。そして、譲二に「休暇」を言い渡すと、蓮は一人、固い決意を固めるのでした 。「明日の夜は…帰らないから」と 。
まとめ【枯れた花に涙を】43話を読んだ感想
今回は、ひたすら甘くて、じれったくて、読んでいるこちらの頬が緩みっぱなしになる回でした。特に、手をつなぐだけで心臓がバクバクしてしまう樹里の姿には、心の底から共感しました。肉体関係から始まった恋だからこそ、こうしたプラトニックな触れ合いの一つ一つが、たまらなく特別で、愛おしく感じられるものなのでしょう。
そして、蓮の恋愛テクニックには脱帽です。思い出の場所に連れて行き、ストレートに好意を伝えたかと思えば、突き放されても余裕の切り返しを見せる。去り際に「薬を塗って」と甘え、最終的には「一度だけ抱きしめて」と、キスまでしてしまう。この押しては引く、緩急自在の駆け引きは、年下男子の魅力を最大限に発揮した、まさにお手本のようなムーブでした。
しかし、最後のオフィスでのシーンで、彼の印象はまた変わります。彼がただの恋愛強者なのではなく、風邪をひいてでも気を引きたいと願うほど、不器用で一途に樹里を想っていることが伝わってきて、胸が締め付けられました。
「明日の夜は帰らない」という彼の決意。素直になれない樹里の心の壁を、彼は次の一手でどのように壊していくのでしょうか。二人の関係がさらに深まることを予感させる、最高の引きだったと思います。
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