【枯れた花に涙を】5話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

ずっちー
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【枯れた花に涙を】第5話をネタバレありで解説する

土砂降りの雨の中、壊れた傘の下で途方に暮れる樹里の前に、大きな傘を携えて現れた蓮(れん) 。第4話のラストから続く、まるで映画のワンシーンのような再会は、二人の関係を新たなステージへと進ませます。しかし、その先にはあまりにも残酷な現実が待ち受けていました。

雨音が包む、ぎこちない帰り道

蓮の「一緒に行きましょう」という有無を言わせぬ誘いに、樹里は気まずさを感じながらも彼の傘に入れてもらうことになります 。静かな雨音だけが響く帰り道で、樹里は彼の意外な一面に気づき始めます。

歩幅を合わせる優しさ

蓮は、長い脚に似合わないほどゆっくりとしたペースで歩いてくれます 。それは、明らかに樹里の歩幅に合わせたものでした。いつも自分を置き去りにしてさっさと歩いてしまう元夫・鉄平の姿を思い出し、樹里は目の前の男性の細やかな気遣いに戸惑いを隠せません 。この静かな優しさが、かえって彼女の心を乱すのです。

明かされた「ただの友達」

樹里は気を遣うあまり、焼肉屋で蓮と一緒にいた女性(光)のことを持ち出し、「彼女が悲しみますよ」と彼を遠ざけようと試みます 。すると、蓮はまっすぐに樹里を見つめ、こう問い返しました。

俺に彼女がいるって誰かに言われたんですか?

そして、光は彼女ではなく「ただの友達です」と、きっぱりと否定するのです 。彼の明確な言葉に、樹里は自分の早とちりを恥じるしかありませんでした。

核心に迫る告白「仲良くなりたいんです」

蓮に彼女がいないと知り、ますます混乱する樹里。そんな中、二人の間に起きたアクシデントが、彼女の心を確信へと導きます。

勘違いではない確信

その時、一台の車が猛スピードで水たまりを通過し、大きな水しぶきが上がります。蓮はとっさに樹里を自分の腕の中に引き寄せ、彼女をかばいました 。彼のコートの片側だけがびしょ濡れになっているのを見て、樹里は彼の親切が決して「同情」や「勘違い」などではないことを痛感します 。そして、意を決して彼に問いかけるのです。

どうして私に親切にしてくれるんですか?

真っ直ぐな想いと、頑なな拒絶

樹里からの問いに、蓮は悪戯っぽく微笑みながら「バレちゃいましたか?下心があるの」と認めます 。そして続けた言葉は、驚くほどストレートなものでした。

ただ、仲良くなりたいんです

しかし、この真っ直ぐな告白に対し、樹里は「ダメです」と即座に拒絶します 。自分は若くもなく、彼とは釣り合わないと頑なに心を閉ざしてしまうのです

最悪の裏切り―相合傘の下で見たもの

蓮からのアプローチを「ただの他人でいてください」と振り切り、自宅の前で彼と別れた樹里 。彼女は、ふと鉄平が傘を持たずに家を出たことを思い出し、彼を迎えに行くことにします 。彼に尽くすことで、関係を修復できるかもしれない。そんな健気な希望を胸に、雨の中を引き返すのでした。

「家族です」―残酷な紹介

しかし、鉄平の会社の近くで彼女が目にしたのは、悪夢のような光景でした。鉄平が、あの若く美しい同僚・西野さんと一つの傘に入り、楽しそうに歩いていたのです 。樹里の存在に気づいた鉄平は、怪訝な顔をする西野さんに対し、彼女のことをこう紹介します。

この人はその…家族です

妻でも元妻でもなく、「家族」という曖昧な言葉。それは、樹里の存在を都合よくぼかすための、あまりにも残酷な一言でした。

向けられた冷たい視線

西野さんが去った後、鉄平は樹里に向かって「頼んでもねぇのになんで来たんだよ」と、冷たく言い放ちます 。その表情は、先ほどまでの優しい笑顔とは別人のようでした。信じていた(信じようとしていた)最後の拠り所さえも、目の前で崩れ落ちていく。樹里はただ、雨と絶望に打たれながら立ち尽くすしかないのでした。

まとめ【枯れた花に涙を】5話を読んだ感想

第5話は、前半と後半の落差があまりにも激しく、感情が大きく揺さぶられる回でした。雨の中、一つの傘の下でゆっくりと近づいていく蓮と樹里の距離感には、切なくも美しいときめきを感じました。「仲良くなりたいんです」という蓮の真っ直ぐな言葉は、彼の誠実さを感じさせ、どうか樹里の心が少しでも開きますようにと願わずにはいられませんでした。

しかし、そんな淡い期待は、ラストシーンで無残にも打ち砕かれます。樹里が蓮の優しさを振り切ってまで尽くそうとした鉄平が、他の女性と親密に相合傘をしている 。これ以上の裏切りがあるでしょうか。特に、樹里を「家族です」と紹介した場面 。この一言に、鉄平の人間性と、二人の関係の歪みがすべて凝縮されているようで、鳥肌が立ちました。

蓮という新たな光の存在を知った直後に、鉄平という深い闇をまざまざと見せつけられる。この構成はあまりにも残酷で、樹里の心情を思うと胸が張り裂けそうです。すべてを失った彼女が、この先どのような選択をするのか。そして、この事実を知った時、蓮はどう動くのか。物語は最高潮の盛り上がりを見せ、次話への期待と不安が入り混じる、衝撃的なラストでした。

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ABOUT ME
コマさん(koma)
コマさん(koma)
野生のライトノベル作家
社畜として飼われながらも週休三日制を実現した上流社畜。中学生の頃に《BAKUMAN。》に出会って「物語」に触れていないと死ぬ呪いにかかった。思春期にモバゲーにどっぷりハマり、暗黒の携帯小説時代を生きる。主に小説家になろうやカクヨムに生息。好きな作品は《BAKUMAN。》《ヒカルの碁》《STEINS;GATE》《無職転生》
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