【枯れた花に涙を】7話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【枯れた花に涙を】第7話をネタバレありで解説する
第6話のラスト、新しく始めたコンビニの夜勤で、顔に傷を負った蓮(れん)と再会した樹里 。思わず彼の身を案じてしまった彼女のその一言から、凍りついていた二人の関係は、思いがけない方向へと急速に溶け出していきます。
傷の手当てと、明かされる「不遇」な過去
「どうしたの?その顔…」 。樹里の問いかけに、蓮は「どうすればいいんですか?」「教えてください」と、まるで子どものように彼女に治療を求めます 。
ぎこちなくも優しい時間
樹里は彼の従順な態度に戸惑いつつも、放っておけません。「この際だから敬語はやめるわね」と宣言し、彼をコンビニの外のテーブルへと導きます 。そして、薬を塗りながら「痛い?」と尋ねる樹里に、蓮はこう答えるのです。
「いえ…少し…くすぐったくて」
この、どこか緊張感の漂う、しかし穏やかなやり取りの中で、二人の間にはこれまでになかった親密な空気が流れ始めます。
「俺の家庭環境が不遇なだけです」
樹里が傷の理由を尋ねると、蓮は「ケンカじゃない」「俺のせいじゃありません」と否定します 。そして、ぽつりとこう続けました。
「ただ…不遇なだけです。俺の家庭環境が」
この「不遇」という一言は、樹里の心の最も柔らかな部分に深く突き刺さります。暴力から逃れることができず、貧しさの中でただ耐えるしかなかった幼い日の自分の姿が、目の前の青年に重なって見えたのです 。
「知り合いから始めましょう」―凍った心の雪解け
蓮の瞳に宿る虚ろな光を見てしまい、樹里は彼を他人事として突き放すことができなくなります 。
過去の自分との重なり
前述の通り、蓮の境遇に自身の過去を重ね合わせた樹里。彼女の心の中で、彼に対する感情は「同情」を超えた、より深い共感へと変わっていきます。そして、彼女はついに、自ら閉ざしていた扉を少しだけ開く決意をしました。
樹里からの提案
「この前、仲良くなりたいって言ってたでしょ?」 。樹里はそう切り出すと、はっきりとこう告げます。
「いいわ。知り合いから始めましょう」
これは、彼女にとって大きな勇気のいる一歩でした。蓮が「じゃあ名前で呼んでもいいですか?」と尋ねると、樹里は「ダメよ。おばさんって呼びなさい」と冗談で返し 、二人の間には確かな変化が訪れます。そして、彼の名前が「一ノ瀬 蓮」であることを知り、連絡先を交換するのでした 。
一方その頃…鉄平の下劣な本性
樹里が新たな一歩を踏み出したその頃、元夫の鉄平は会社の飲み会に参加していました。そこで語られる彼の言葉は、彼の人間性を浮き彫りにします。
樹里を的確に侮辱する言葉
上司から「嫌いな女性のタイプは?」と聞かれた鉄平は、悪びれもせずにこう答えます。
「貧相で、おばさんっぽくて、ムードもなくて、旦那に慣れすぎてヨレヨレの下着を着てるような女」
それは、誰が聞いても樹里のことを指していると分かる、悪意に満ちた言葉でした。
新たな獲物との夜
飲み会が三次会にまで及ぶ中 、鉄平の隣では、彼が狙っていた同僚の西野さんがすっかり酔いつぶれていました 。そして、彼女は「あたしと二人きりでもう一杯飲みませんか…」と鉄平に甘え、誘いかけます 。樹里が蓮との新たな関係を育もうとしているその裏で、鉄平はまたしても別の女性と夜の街へ消えていこうとしていたのです。
まとめ【枯れた花に涙を】7話を読んだ感想
これまでの息が詰まるような展開から一転、第7話では樹里と蓮の間に確かな希望の光が見え、読んでいて心が少し温かくなりました。蓮の顔の傷を手当てするコンビニでのシーンは、本作の中でも特に印象的な場面です。「くすぐったい」という蓮のセリフが、二人の間に流れるぎこちないけれど優しい空気を象徴しているようで、とても素敵でした。
そして、蓮の「不遇なだけです」という告白 。この一言が樹里の心を動かし、頑なに閉ざしていた扉を開かせるきっかけになったことに、深く納得しました。人は誰しも、自分と同じ痛みを知る人に心を許してしまうのかもしれません。樹里が「知り合いから始めましょう」と告げた瞬間は、彼女が自らの意志で運命を変えようとする、力強い第一歩に感じられました。
しかし、この物語は決して甘いだけではありません。場面が切り替わって描かれる鉄平の飲み会での下劣な発言 には、改めて強い憤りを覚えます。彼の存在が、樹里のささやかな希望に常に影を落としているようで、やるせない気持ちになりました。
ようやく始まった樹里と蓮の「知り合い」という関係。その一方で、鉄平は新たな裏切りを重ねようとしています。この光と影の物語がどこへ向かうのか、ますます目が離せない展開です。
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