【泣いてみろ、乞うてもいい】1話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【泣いてみろ、乞うてもいい】第1話をネタバレありで解説する
物語は、主人公の少女が汽車に揺られる、物悲しい風景から始まります。彼女の名前はレイラ・ルウェリン 。その心には、亡き父と交わした「春に花が咲いたら公園に行こう」 という、今や叶うことのない約束が深く刻まれていました。
父の死後、地獄へと突き落とされた日々
父親が亡くなって以来、レイラの人生は一変します 。この世に一人残された彼女は、親戚の家を転々とする生活を余儀なくされました 。しかし、彼女を待ち受けていたのは、温かい家庭ではなく、残酷ないじめと虐待の日々でした。
従兄弟たちからは「歓迎の儀式」と称して暴力を振るわれ 、叔母には「実の母親にも捨てられた子どもをうちで育てなきゃならないんだよ!」 と罵倒され、邪魔者扱いされます。特に叔父の虐待は酷く、賭け事で負けた日には、その怒りの矛先がすべてレイラに向けられました 。
行く当てのないレイラは、ただひたすら耐えることしかできません 。しかし、そんな彼女のささやかな願いもむなしく、ついに叔母から「どこだろうとここよりはマシでしょ?」 という氷のように冷たい言葉と共に、真冬の路上へと追い出されてしまうのです 。
たらい回しにされた末の、一縷の望み
他の親戚の家を訪ねても、レイラを受け入れてくれる人は誰もいませんでした 。ある者は「
女じゃ特に使い道もないし食費がかかるだけだ」と言い放ち 、またある者は追い出された理由を問い詰め、汚いもののように扱います 。大人たちの身勝手な言葉は、レイラの心を深く傷つけ、自分が「実の母親にも捨てられた」厄介者なのだと、悲しい諦めを抱かせるのでした 。
完全に希望を失いかけたその時、叔父が「ベルク」という土地に住むビル・レマーという人物を訪ねるよう、一枚の紙切れを渡します 。これが最後の望みだと信じ、レイラは生まれ故郷の「ロビタ」を離れ、国境を越える汽車に乗り込むのです 。
公爵家の庭師ビル・レマーとの出会い
ベルクのカルスバル駅に降り立ったレイラは、不安を抱えながらも、亡き父のおかげで話せるベルク語を頼りに目的地を探します 。すると、偶然にも声をかけた郵便配達員が、まさに彼女が探しているヘルハルト公爵家の庭師「ビル・レマー」の元へ向かうところでした 。
思わぬ幸運に導かれ、たどり着いた公爵家の屋敷は、まるでおとぎ話の世界のように美しい場所でした 。こんな素晴らしい場所で働くビル・レマーとは一体どんな人なのだろうか、そして、自分を受け入れてくれるだろうか、とレイラの胸は期待と不安で高鳴ります 。
ついに庭で働くビル・レマー本人を見つけたレイラは、緊張しながらも精一杯の笑顔で自己紹介をします 。そこへ郵便配達員が追いつき、ビル宛てだという一通の手紙を渡しました。それは、レイラを送り出したあの親戚からの手紙だったのです 。
手紙が暴く無責任な真実
ビルが手紙を破り読むと、そこには衝撃的な事実が書かれていました。手紙の差出人は、レイラの父アルバートが亡くなったこと 、そして自分たちの家ではこれ以上面倒を見られないため、ビルに彼女を押し付けるという、あまりにも無責任な内容を綴っていたのです 。
さらに、ビルとレイラの父は20年以上も会っていない「他人同然」の遠い親戚にすぎないことまで判明します 。手紙の最後には「もしそちらも余裕がなければ子どもは施設に入れてください」 という一文が。これには温厚そうに見えたビルも「ふざけやがって!!!!」 と、怒りを爆発させます。
自分のことなど気にもかけず、幼い子どもを一人で国境越えさせた親戚たちへの怒りに震えるビル 。彼の視線の先には、まだ寒さが残る季節にもかかわらず薄着で、痛々しいほど痩せ細ったレイラの姿がありました 。
絶望的な状況を突きつけられながらも、レイラは健気に訴えます。「私そんなに子どもじゃありません」 「文字も読めますし お仕事も手伝えます」 。その必死な言葉を聞いたビルは、大きくため息をついた後、「ついてこい」 と彼女に告げるのでした。この出会いは、地獄のような日々を生きてきたレイラの運命に、どのような光をもたらすのでしょうか。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】1話を読んだ感想
第1話を読んで、まず胸を締め付けられたのは、主人公レイラのあまりにも過酷な境遇です。冒頭から次々と描かれる大人たちの身勝手さと冷酷さには、読んでいて本当に憤りを感じました。特に、親戚たちから投げつけられる言葉の一つひとつが、どれほどレイラの心を深く傷つけたかを思うと、涙が出そうになります。
しかし、そんな絶望的な状況の中でも、レイラは決して心を閉ざしません。最後の望みを信じて一人で汽車に乗り、新しい場所で必死に前を向こうとする姿は、痛々しくも、その芯の強さに心を打たれます。彼女の健気さがあったからこそ、読み進めることができたように思います。
そして、もう一人の重要人物、ビル・レマーの登場は、この暗い物語に差し込んだ一筋の光のようです。彼はぶっきらぼうで口も悪いですが、手紙を読んで本気で怒り、レイラの境遇を不器用ながらも心から憐れんでいるのが伝わってきました。彼がレイラを「クソ野郎ども」から守ってくれるのではないかと、大きな期待を抱かせてくれます。
ラストでビルがレイラに食事を与えようとするシーンは、ほんの少しですが、温かい未来を予感させます。地獄を生き抜いてきた少女と、無愛想だが心根は優しい庭師。この二人がこれからどのような関係を築いていくのか、レイラは本当の安らぎと幸せを見つけることができるのか、続きが気になって仕方がありません。
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