【泣いてみろ、乞うてもいい】12話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

【泣いてみろ、乞うてもいい】第12話をネタバレありで解説する
第11話で婚約者候補のクロディーヌを前に、気高く抵抗するカナリアに歪んだ独占欲を見せたマティアス公爵。第12話では、そんな彼の前に、またしても予期せぬ形でレイラが現れ、彼の退屈な日常に大きな波紋を広げる、衝撃的かつコミカルな事件が巻き起こります。
公爵の婚約と、レイラの安堵
夏のヘルハルト家では、公爵とブラント伯爵家の令嬢クロディーヌとの婚約話が着々と進んでいました。 レイラは屋敷の使用人たちの会話からその事実を知ります。
公爵が帰還したにもかかわらず、森が静かなのは狩りをしていないから。それは、この婚約という一大事を控えているためだろうと、レイラは一人納得するのでした。 そして、今のうちに森の恵みである野イチゴをたくさん摘んでおこうと、彼女は一人森へ向かいます。
公爵の聖域と、予期せぬ闖入者(ちんにゅうしゃ)
一方、マティアス公爵は、お気に入りの場所である川辺の「離れ」で穏やかな時間を過ごしていました。 この場所は、母や祖母もめったに訪れることがない、まさに彼だけの聖域です。 すべてが決められた完璧な人生に退屈していた彼にとって、ここで静かに過ごす時間は、何よりも代えがたいものでした。
彼が最も好むのは、この離れから川に入り、誰にも邪魔されずに泳ぐことでした。 しかしその日、彼の聖域の静寂は、一人の少女によって破られることになります。野イチゴ摘みを終えたレイラが、休憩のために登った木の上から、彼の姿を目撃してしまったのです。
まさかの遭遇!裸の公爵様!?
レイラの目に飛び込んできたのは、川で泳ぐ一人の男性の姿でした。しかも、その男性は何も身につけていません。そして、その顔を見てレイラは気づきます。「まさかヘルハルト公爵様!?」
思いがけない光景に、レイラは大パニックに陥ります。さらに悪いことに、マティアスはこちらに気づくと、ゆっくりと岸に向かって泳ぎ始めました。 迫りくる裸の公爵様に、レイラは「来ないでくださいってば~!!!」と絶叫しながら、その場から一目散に逃げ出すのでした。
残されたカゴと、4年前の記憶
パニック状態で森を駆け抜けたレイラは、彼女を捜しに来た親友のカイルと遭遇し、その胸に飛び込みます。 「野獣にでも会ったのか?」と心配するカイルに、彼女は「いっそ野獣のほうがよかったかも…」と青ざめた顔で答えるのが精一杯でした。
その頃、レイラが逃げ去った場所には、彼女が集めた山盛りの野イチゴが入ったカゴと、一冊のノートが残されていました。 それを、いつの間にか服を着たマティアスが発見します。彼はカゴの中を見て、「アルビスの野イチゴを絶滅させるつもりか?」と呆れたように呟きました。
そして彼は、木の上を見上げ、4年前に森で出会った少女が、自分の名前を「レイラ・ルウェリン!!!」と絶叫していたことを鮮明に思い出すのです。 彼は「今でも木に登って遊んでいたとは」と呟き、その口元には、面白くてたまらないといった笑みが浮かんでいました。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】12話を読んだ感想
第12話は、これまでのシリアスで重厚な雰囲気から一転、思わず吹き出してしまうような、極上のラブコメ展開でした。まさか、あの完璧で冷徹な公爵様の裸を見てしまうという、とんでもないハプニングが起こるとは誰が想像したでしょうか。
パニックのあまり絶叫しながら逃げるレイラの姿は本当に可愛らしく、彼女の純粋さが際立っていました。一方で、そんな彼女の反応を面白がるかのように、ゆっくりと近づいていくマティアス。彼のSっ気のある行動には、不謹慎ながらも少しときめいてしまった読者も多いのではないでしょうか。
また、マティアスがレイラのことを「4年前に木の上で名前を絶叫した面白い子」として、はっきりと記憶していたことが判明したのも大きなポイントです。彼はレイラというイレギュラーな存在を、明らかに楽しんでいます。婚約という決められた退屈なレールの上を歩いている彼にとって、予測不能な行動をとるレイラは、唯一の刺激的な存在なのかもしれません。
この最悪(最高?)のハプニングによって、二人の距離は否応なく縮まりました。彼の退屈な日常は、レイラによってどう塗り替えられていくのか。奇妙で面白い関係性の始まりを予感させる、素晴らしいエピソードでした。
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