【泣いてみろ、乞うてもいい】15話あらすじから結末まで全てネタバレ解説

漫画「泣いてみろ、乞うてもいい」第15話をネタバレありで解説する
友人カイルとの絆を深めるレイラ。しかし、彼女の穏やかな日常に、公爵マティアスの影が静かに、そして確実に忍び寄ります。第15話では、ビルとレイラの親子のようでありながら、それ以上の深い絆が描かれる一方、公爵による理不尽で陰湿な嫌がらせが本格的に始まります。
「世界で一番綺麗な帽子」に込められた想い
物語は、カイルが以前からかっていたレイラの帽子にまつわる、心温まるエピソードから始まります。レイラは、ビルに黙って高価な眼鏡を買ったことで、彼を深く悲しませてしまったことをカイルに打ち明けました。「俺のことが信じられないのか?」というビルの言葉は、レイラにとって大きなショックだったのです。
その気まずい関係を修復するため、彼女は生まれて初めて、ビルに「綺麗な帽子を一つだけ買ってください」とお願いしました。すると、ビルは彼が世界で一番美しいと信じる「花」がたくさん飾られた帽子を選んでくれたのです。レイラにとってこの帽子は、ビルの不器用で、しかし誰よりも大きな愛情が詰まった、「世界で一番綺麗で可愛い帽子」なのでした。
幸せな日常に、突然現れた公爵
ビルとレイラの深い絆の話を聞き、カイルは「なんか妙に妬ける」と、微笑ましい嫉妬を見せます。その後、二人はポーチの椅子に腰かけ、カイルが貸した推理小説に夢中になるレイラと、そんな彼女を愛おしそうに見つめるカイルという、穏やかな時間が流れていました。
しかし、その平穏は、一頭の馬に乗ったマティアス公爵の登場によって、いとも簡単に打ち破られます。カイルは「なんでよりによってこんな時に…!」と、その訪問をあからさまに警戒するのでした。
薔薇を摘むという、理不尽な命令
公爵は、ビルが留守であることを知ると、何でもないことのようにレイラに用事を言いつけます。「薔薇を運ぶくらいならレイラ嬢にも頼めるかな」。彼の私的な空間である「離れ」に飾るための薔薇を、レイラに摘んでくるようにと命じたのです。それは、公爵という絶対的な立場を利用した、断ることのできない命令でした。
心配するカイルの申し出を断り、レイラは一人でその命令を受け入れます。しかしカイルは、婚約者もいる公爵が、なぜわざわざレイラにお使いを頼むのか、その行動に言いようのない不安を覚えるのでした。
繰り返される命令と、公爵の真意
レイラが言われた通りに薔薇を摘み、公爵の待つ「離れ」へ届けると、彼は本から目を離すこともなく、冷たく言い放ちます。「もう一度」「派手じゃない色で」。彼が求めたのは薔薇そのものではなく、レイラを意のままに動かし、困らせることでした。
彼の歪んだ支配欲が、ついに具体的な行動となってレイラに牙をむいた瞬間です。この理不尽な命令に、レイラはどう立ち向かうのでしょうか。彼の執着は、これからどのようにエスカレートしていくのか。物語は、息をのむような緊張感をはらんで次話へと続きます。
まとめ【泣いてみろ、乞うてもいい】15話を読んだ感想
第15話は、前半の心温まるエピソードと、後半の背筋が凍るような心理的圧迫のコントラストが鮮やかな回でした。ビルがレイラのために選んだ花だらけの帽子。その背景にあった二人のやり取りには、不覚にも涙してしまいました。血の繋がりを超えた、深く美しい愛情に胸を打たれます。
しかし、その幸せな空気をマティアス公爵がたった一人で破壊していく様は、見事としか言いようがありません。彼の行動は、嫉妬深い子供のようでありながら、そこには絶対的な権力者としての冷酷さと計算高さが感じられます。特に、カイルとレイラの仲睦まじい姿を見てから、わざわざ彼女を指名してお使いを頼むあたり、彼の陰湿な性格がよく表れていました。
そして、最後の「派手じゃない色で、もう一度」というセリフ。これは、彼がこれからレイラに対して行うことの宣言のようにも聞こえました。彼女という鮮やかな「花」を、自分の意のままの色、つまり無個性で従順な色に染め上げようとしているのではないでしょうか。彼の歪んだゲームが本格的に始まったことを確信させる、恐ろしくも魅力的な引きだったと思います。
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